制作スタッフインタビュー
脚本家座談会

根元さんは今回からの参加ですが、話を聞いたときはいかがでしたか?
根元
「キカイダー」ってファンがたくさんいますし、ファンがそれぞれイメージを持ってると思うんですよね。だからTVシリーズが良かったとか悪かったとかじゃなくて、やっぱりあれを見て人それぞれ自分の「キカイダー」と照らし合わせるんだろうと思うんです。だから僕自身も前作を見たときに「僕ならこうしたいな」とか「こんなジローも見たいな」とか感じたことを今回の作品に託したつもりです。それに前作はあの世界観でもう完成されてますから、あの路線で続編をやったら単なる二番煎じになりかねない。今回は娯楽作的な方向だろうなとは監督に会う前から思ってたんですよ。
では監督にも参加していただいて、脚本制作の過程について伺いたいと思います。 監督がこういった要求をした、というエピソードはありますか?
元永
監督は「アーマゲドンゴッド※1を暴れさせるっ」ってわめいてました(笑)。

根元
それは言ってましたねえ。まずはアクションから始めたいってことと、終わりはアーマゲドンゴッドをちゃんと暴れさせてって。

元永
立ってるだけじゃさみしいから。そういう事はお願いしてたんですけど、細かいところはお二人にお任せでした。

根元
紺野さん(キャラクターデザイン)からも色々ストーリーのアイデアもらってましたね。「こういうシーンが見たい」みたいな。そう言った意見の中からおいしいところをつまみながら…。

※1
プロフェッサー・ギルが設計した”最終兵器”。土偶の様な外見をした巨大ロボット。
マンガ版の後半はこのアーマゲドンゴッドを巡る物語になっている。
一応原作には忠実と言っていいんでしょうか?
元永
もちろん原作からすっかり離れてしまうことはないです。あらすじだけ言ったら「ああ一緒だ」って言われちゃうかも。ただやっぱりそのままという訳にはいきませんし、全4巻がぴったり起承転結になるように構成しています。

根元
最初のコンセプトとして4巻合わせて1本の映画のような構成にしようと。もちろんそれぞれのお話に見せ場はあるんですけど。正直、良くおさまったなあとホッとしています。それからアクションばっかりでも見ている方が飽きてしまうので、4巻それぞれ個性的にアクションのシチュエーションにも差を付ける様に気をつけました。
原作から変えたと言えば、僕は大西さんが書かれた最終話の初稿が衝撃的でしたね。誰も想像し得なかった展開ですごいなあと。 (注:あまりに衝撃的すぎたため変更となってしまいました。)

大西
今回根元さんはプロット出さないでポンとシナリオで出してくるから、私もそうやらないといけないのかなと思って(笑)。お互い勢いでどんどんシナリオに入ってました。とにかく筆は走りましたよ。最終話の初稿もやっぱり駄目かなとは思いましたが、一応思いついたので出してみました(笑)。
脚本を読ませていただきましたが、1話目からいきなりすごいアクションですね。
元永
根元君の書いた第1話でのダブルマシーンの登場の仕方はシナリオ読みながら爆笑してしまいました。すごく面白い登場の仕方なんですけど絵的には紙一重だよなあっていう…。

根元
僕は格好いいと信じ切って書いてましたから爆笑されるのは心外なんですけど(笑)。
監督はイチローの「イヤッホー!」にこだわってましたね(笑)。

元永
そう。原作で二人が出会った時に兄弟がいるという嬉しさで「イヤッホー!」って言うんですけど、これを何とか入れたくて。二人が出会うシーンではどうしても流れ的に厳しくて入れられなかったですけど、どこかに入れようと。
(3/4)
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