R&Sレコードから彼はこの「Classics」(93年)と「Deep Space」(95年)の2枚のアルバムをリリースしている(ともに日本盤もソニーからリリース)。そのほかに多数のシングルもリリースしてきているが、彼は常に新しい試みをし続けている。シングル「ジャズ・イズ・ザ・ティーチャー」ではトーマス・フェルマン等とともにジャズ/フュージョンをエレクトロニック・ミュージックと融合させた。また、シングル「ソニック・サンセット」ではハードなミニマル・テクノに叙情的な電子音を加えた傑作である。また、インストゥルメンタルが主流のテクノと言うジャンルの中で、ヴォーカルも積極的に取り入れ、最近のライブはバンドを従えてのパフォーマンスを展開するなど、常にオリジネーターたらんとしている。
 今作「マインド&ボディ」は、ホワン・アトキンスの3枚目のアルバムとなる。レーベルはケンイシイやブンブンサテライツ、デリック・メイ等数々の大物アーティストを擁するベルギーのR&SRecords。新作発表は前作「Deep Space」以来、ほぼ4年ぶりとなる。このアルバムのオープニングはまず、エレクトロで幕を開け、彼が今までずっとこだわってきたエレクトロニック・ファンク・ビートを基本にして、その上にジャズ、ドラムンベース、ダブ、R&B、ミニマルなどが自由自在に重なり合い、融合しあっている。ある時は80年代ニュー・ウエーブの香りをにおわせ、またあるときはディープでハウシーな世界を表現し、エレクトロニック・ミュージックと言う括りの中で様々な表層を見せる。このアルバムはまた、それの持つ自由な色彩が聴く人の感性の自由を束縛せず、また聴く人を選ばない。つまり、その深さがアンダーグラウンドなファン達をとらえ、しかもエレクトロニック・ミュージックを普段聴かない音楽ファンにとっても魅力ある作品に仕上がっている。
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