制作スタッフインタビュー
音楽監督 中武敬文

この仕事に就くきっかけは? 実はバンド出身という噂も…?
”詩人の血”というバンドでキーボードをやってたんですけど。ジャンル的にはポップス…ポップスの中でもソフトロックみたいなジャンルで。昔で言うと渋谷系とか。ちょっと違うけどフリッパーズギターとか、ネオアコみたいな感じ。で、白川さん(SVW社長)に呼んでもらってこの仕事をやり始めました。
初めてこの仕事をやったのが「はれときどきぶた」で、ナベシン(ワタナベシンイチ)さん監督で、今にして思うといきなりハードな仕事から入っていて。それからしばらくして「人造人間キカイダー THE ANIMATION」をやることになって、180度違う作品をやることになって。今はどちらかと言えば「はれぶた」寄りな「パラッパラッパー」(TV)をやりつつ、平行して「キカイダー」の続編の「01」をやっています。
今回のOVA、前作「人造人間キカイダー THE ANIMATION」との違いはありますか?
まずOVAであるってことで、昨日やったようにじっくりとライン引きのような作業が出来て、TVのやり方しか知らなかったので教えてもらうことも多くて。今回は色々と自分自身も学べそうな感じです。
音楽的には、前回はストイックで動きもあったけどどちらかと言えば悩んだりとか内面の方が6割7割くらい占めていたので、見岳章さんのああいう方向の音楽でした。今回は土台に前作のようなモチーフを残しつつも、つまり案内人としてジローはいるんだけれども、01が登場して01の性質上ものすごくアクションが増えて、割合としては7:3くらいと前作とは逆になって。
最初に自分が勝手に思い描いたイメージはジョン・ウイリアムスとジョン・バリー。「インディ・ジョーンズ」って底抜けにアクションが楽しいところがあって、素朴に楽しいっていうか…。最初脚本を読んだときに01のアクションが延々と続くところとか、そういう100%カラッと晴れたアクション音楽みたいなのイメージしました。ジョン・バリーはたまたまジョンで思い浮かんだだけってのもありますけど、初期の007みたいなちょっとエレキがはいったようなオーケストラなんか面白いかなと。まあ底抜けであればというのは部分的なところで、全体的にはキカイダー的なテーマ感が出てくるでしょうけど。
「人造人間キカイダー THE ANIMATION」で「あそこは悩んだなー」とかありましたか?
やっぱり最終回のラストですね。3パターンくらいの中で悩んで。
全体的に結構素※1が似合う作品だったんで、割と音楽無い方が良いって言われたり言われる前に消しちゃったりすると、何か変なリアリティが出ていいなと思ってたんですよね。 あと好きだったのは9話。お母さんの話。あの話は際立っている気がしますね。音楽もあれでなければという感じで。
TVのときは見岳章さんが「さあ遊びなさい!」と言わんばかりにマルチトラックでふんだんにデータをもらえたので、今考えるとかなり遊ばせてもらえました。そういうのは楽しみのひとつですね。TVの場合はどうしても素材が不足していったりするので、ちょっとアレンジしていくというのがね。それに捕らわれてばっかりでもいかんのですが。
※1素(す):音楽をかけてない状態
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