WORDS セイバーズ・オブ・パラダイスの音楽を思い返して、あの音楽を聴き入った者ならすぐに脳裏を駆け抜けるのは、あたかも刃物のような硬質でキンキンしたブレイクビーツとメランコリックでダークなメロディだろう。そしてトゥ・ローン・ソーズメンといえば水中で鳴っているウッド・ベースのような響きと、シンプルなようでいてよく聴けばきめ細かいエレクトロニックなテイスト、そしてやはりメランコリックなメロディだ。 1994年にウェザオールは(ジャグズ・クーナーとゲイリー・バーンズとの)セイバーズ・オブ・パラダイスのアルバム『ホーンテッド・ダンスホール』のリリースを最後にこの名義での活動を終え、1995年1月に新しく設立した彼自身によるレーベル「オーディオ・エミッション・アウトプット」からキース・テニスウッド(デヴィッド・ホームズの『レッツ・ゲット・キルド』のエンジニアで知られる)との新しいプロジェクト、トゥ・ローン・ソーズメン名義での作品を発表するようになる。ウェザオールは過去数多くの名義で作品をリリースしてきたが(ボカ・ジュニアーズ、セイバーズ、デヴィッド・ハロウとのブラッド・シュガーにプラネット・4・フォーク・カルテット、デヴィッド・ヘッジャーとのローズ・オブ・アフォード)、最近はテニスウッドとのプロジェクトがその活動の中心にあり、ふたりは今のところザ・リノ・スクエアーズ、ルード・ソロといった名義でも作品をリリースしているが、やはりもっとも名前が知られ、そして多くの作品を出しているのはトゥ・ローン・ソーズメン名義によるものだ。

 トゥ・ローン・ソーズメン名義で今のところリリースしているものを順に挙げると、シングル「ザ・サード・ミッション」(1996年)、シングル「ザ・テンス・ミッション」(1996年)、そしてファースト・アルバム『ザ・フィフス・ミッション』(1996年)、2枚組シングル「スウィミング・ノット・スキミング」(1996年)、同じく2枚組シングル「ストックウェル・ステッパズ」(1997年)がある。セカンド・アルバムにあたる本作『ステイ・ダウン』の前にはシングル「ア・ボブ・オブ・ブルー・スパークス」がリリースされる予定になっているが、これらはワープ・レコードからのリリースになっている。1998年の夏、ワープからリリースされたコンピレーション・アルバム『ウィ・アー・リーズナブル・ピープル』にも彼自身が主宰するパーティと同じ名前の曲“サーキュレーション”が収録されていた。