Tobynation / DJ Toby インタビュー

クリックすると拡大ウインドウが出ます「マルチ・マイク」のDJミックスを手掛けたのは、日本はもちろんヨーロッパでも大活躍し、日本とドイツのテクノ・ネットワークの架け橋としても重要な存在であるトビーネーションことDJトビー。

昨年のレインボー2000での大暴れも記憶に新しい、テクノ・シーンのやさしいお兄さんである彼に、その歴史から「マルチ・マイク」に至る経緯や思いなどを聞いてみました。

-トビーさんは、DJをいつ頃から、どういったきっかけで始められたんですか?

クリックすると拡大ウインドウが出ますテクノに関わり出したのは1990年から。それまではバリ島に住んでてその後オーストラリアに行ったんだけど、そこでテクノに出会ったんです。それ以来イビザ島とかドイツとかいろんな国のパーティーに行って、プロモーター的なことを始めたんですよ。DJになったのは1993年になるのかな?


-いろんな国のパーティーに参加していくうちに、自分のその世界により深く関わるようになったというわけですね?

まあ、そうですね。

-何かその頃に思い出ってあります?

初期の頃、六本木のバーでプレイすることになった時のこと。そこではWADAさんが廻してて、やっぱあの頃の六本木だからイケイケ系のディスコなおネエちゃん達がいっぱいいるところで、WADAさんはうまく場に合わせた選曲ができてたんだけど、ボクはテクノしか持ってなかったからすんごい緊張して、WADAさんに「今日モニター壊れてるから」て言われても「あ..そ、そうですか...」って感じで。しかも親指とかつっちゃって針が持てなくなって、左手で一生懸命やってたりしたのを覚えてるよ(笑)。

-あっはっは。そういう時代もあったと。で、まあそうしてるうちにイエロー(西麻布のクラブ)とかでのパーティーのコーディネートとかするようになったわけですよね。最初はどういった感じだったんですか?

クリックすると拡大ウインドウが出ます90年イビザ島でぷらぷらしてた時にミュンヘンのDJオラフに会ったんですよ。で、彼を通じてスヴェン・バースとか、マーク・スプーンとかと知り合って、どうやらフランクフルトが熱いらしいってことで行ってみたんですよ。その翌年にベルリンに行ってラブ・パレードに行って、Dr.モテとかと会って...友達が増えていったんですよ。

-日本にラブ・パレードを紹介したのもTOBYさんだったんですよね。

そう。実は91年にドイツにいた時は、ラブ・パレードの1週間前にイビザに行っちゃったんですよ。そのこと知らなくて。その時はラブ・パレードもまだ2回目か3回目くらいで、規模も小さくて2〜3,000人くらいのものだったかな?それに1週間前なのにそれに気付かない程パブリシティーも少なかった。

-で、翌年こそはという感じで行ったわけですね。

そうK.U.D.Oさんたちと。その時撮ったビデオを日本に持ち帰って編集して、みんなに見せたんですよ。それが段々広がっていって、フロッグマンのKEN=GO→くんとか佐藤大くんとかも盛り上がってくれて、エレキングがラブ・パレードの特集を組んでくれたんですよね。

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-マイク・ヴァン・ダイクとの出会いはいつ頃ですか?

ボクはあんまり覚えてないんだけど、彼はよく覚えているらしくて(笑)。
多分92年か3年かな?ボクがドイツで居候してたところにマイクが遊びに来たらしいんですよ。彼が言うにはそこにボクがいたと(笑)。
で次の年くらいにMFSのアーティストが集まっているところにボクも行って、そこでちゃんと面通ししたって感じ。
でもその時はまだ「へえマイク・ヴァン・ダイクっていうんだ。マイクログローブ?ああそっか。」ってくらいしか認識してなくて、でもすごく仲良くなったのは、94年にイエローでのゼロ・ターボっていう毎月やってたテクノ・パーティーのコーディネイトをしてた頃にマイクのアルバムとシングルが出て、そのジャケットの裏にボクの名前が何故か書いてあって。それがきっかけかな。日本でも「TOBYさんってここに書いてあるTOBYさんですか?」「多分そうだと思うよ。」とか言ってて(笑)。で、日本でもマイク熱が熱いらしいって感じて、「じゃあ、日本にマイク・ヴァン・ダイク呼んだらみんな遊びに来てくれる?」って聞いたら「うん。行く行く!」って盛り上がったんで、じゃあって呼んだのが94年の年末かな?それまで全然一緒に遊んだことないんですよ。で、改めてマイクに電話して、「マイク、TOBYだけど、日本に来たい?」って聞いたら「うん!行きたい行きたい!」って喜んでくれて。いろいろ話してみたら、彼は日本の漫画大好きで、ビデオ・ゲーム大好きで、「じゃあ全然話合うじゃん!」ってことで。 "Special Frog"っていうやつで、フロッグマンの1st アニバーサリー・パーティーだったんだよね。場所は渋谷のクラブ・クアトロだった。

-で、マイクは日本のことを気に入ってくれたと。

もちろんすごく気に入ってくれて。
で、ちょうどその頃電気グルーヴの「ドラゴン」が出てて、ボクが車の中でマイクに「虹」を聴かせたんですよ。そしたら彼が「これ、誰が作ったの?」って聞いて、「卓球っていうんだよ。パルスマンって知ってる?」「知ってる。知ってる!へえそうなんだ!」って。で、たまたまその時ボクが卓球くんと一緒にDJする機会があって、そこら辺からいわゆる彼らの繋がりが出来てきたんだよね。

-なるほど。Tobyさんの紹介で彼らも意気投合して...

そしてドイツで「虹」のリリースに至ると。

-さらにはそのシングルに「Tobybation リミックス」も入ってと。

そうそう。

-で、今回の企画なんですけど、どういった形で持ち上がったんですか?

クリックすると拡大ウインドウが出ますう〜んと、まず佐藤大くんが言い出しっぺで、企画書も書いてくれて。今までマイクはこの4年間日本に8回くらいプレイしに来てて、一枚も日本盤が出てないのはおかしいと。で、ファンもすごく多いし根強いし、プレイステーションの「攻殻機動隊」のサントラもやってるし、マイクのプロジェクトをやりましょうよ!と。
で、取り敢えず、マイクのミックスCDと、去年リリースされたアルバム「GLOW」の日本発売が決まったんですね。

-で、このミックスCDは日本独自の企画ですよね?ミックスCDっていう案は、マイクはこれまで莫大な量のリリースをしてて、それを全部一気にフォローするのは無理だし、かと言って古いものの中でも名曲はたくさんあって、そういうものをコンパイルしたものを出すのが一番いいんじゃないかと。で、普通にコンピレーションにするよりは、ミックスCDにした方は楽しいし。で、そのミックスをするのはTOBYさんが適任だと。

これは自分で言うのも何だけど、大くんが言うにはマイクの曲を一番よくプレイしてて、一番良く知ってるのがボクじゃないかと。ボクのDJセットの中には、後半の30分が全部マイクの曲だったりってことがよくあるし、大くんもそれをよく聴いてるし。

-個人的な交流、そして普段のプレイでのセレクト、さらには日本とドイツの交流を深めるきっかけを作ったTOBYさんが、いろんな意味でこの企画の適任者だということですね。

ありがとうございます(笑)

-では最後に、この「マルチ・マイク」を聴くみなさんに向けてのコメントをお願いします。

クリックすると拡大ウインドウが出ます今回のレコーディングに当たっては、死ぬほどマイク・ヴァン・ダイクを聴きました(笑)。
しかもこれまでいろんな国で、いろんなパーティーで、死ぬほどこういうセットをやってきたんですよ。
でも何回やっても、何回聴いても飽きない(笑)。
それにボクこれまでたくさんのDJを日本に招いてきたんですけど、ほとんどはみんなただプレイして帰っていくのね。でもマイクとスヴェンだけが、もっと深いところでボクたちと交流してくれたんですよ。マイクは日本がもともと好きだったっていうとっかかりはあったけど、それ以上に彼って人間的に素晴らしくて、すごくいい友達です。
そういった意味でこの「マルチ・マイク」が出るのは、ボクたちの今までの楽しかった思い出とかを形にできたみたいで、本当に嬉しいですよ。

-どうもありがとうございました。


Tobynation / DJ Toby プロフィール

1990年より、主にドイツのテクノシーンと交流。ベルリンの一大テクノ・イベント「ラブ・パレード」及び、スヴェン・バース(Sven Vath)、ドクター・モテ(Dr. Motte)、マイク・ヴァン・ダイク(Mijk Van Dijk)等ドイツのテクノアーティストを日本に紹介する。
93年よりDJ活動開始。東京のマニアック・ラブ等、国内のクラブ/イベントはもとより、フランクフルトのOmen、ベルリンのTresorなど、ドイツ、オーストラリア、チェコ共和国、フィンランド、ロシア等、欧州各国で活動中。
又、マイクログローブ(Microglobe)、電気グルーヴ、カガミ(Kagami)等のリミックスを手掛け(*)、最近ではミュンヘンのDJ オラブ(Olaf)と共に、サイバー・フグ・インターナショナル(Cyber Fugu International)を設立している。

e-mail:[email protected]


(*)Tobynation
ドイツの友達がTobyにつけたあだ名で、それをプロジェクト名にしたもの。最初はマイクと一緒に「Trust」をリミックス。それ以来電気グルーヴの「虹」やマイクの「Shelter」のリミックスを手掛ける等。最近はTobyのソロユニットとして機能している。


ディスコグラフィー
Microglobe "Trust" Tobynation remix MFS
Denki Groove "Niji" Tobynation remix MFS
Mijk van Dijk "Shelter" Tobynation remix Superstition
Nova Mute compilation (compile) Pony Canyon
Kagami "Pachi Pachi" Tobynation remix Frogman
Club Sega "Sonic 3" Tobynation remix MMV
Brothers in Raw "A-So!" EP - coming soon Frogman
"multi-mijk" mixed by Tobynation SME(J)
Dj's Works vol.1 (compilation) - coming soon Music Mine


マルチ・マイクについて〜マイク・ヴァン・ダイクのメッセージ
マイク・ヴァン・ダイク/バイオグラフィー
CD「マルチ・マイク」収録曲
マイク・ヴァン・ダイク・ディスコグラフィー
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