スリー・デイズ・グレイス
ニール・サンダーソン(dr)、ブラッド・ウォルスト(b)、アダム・ゴンティア(vo)、バリー・ストック(G)

 スリー・デイズ・グレイスは、カナダはオンタリオ州の人口1,500 人のノーウッドという小さな町の出身、1997年にアダム・ゴンティア(vo)、ブラッド・ウォルスト(b)、ニール・サンダーソン(dr)の3人で結成された。彼らは地道にライヴ活動を行い、小さなライヴ会場はもちろん映画館の少しの空き時間でも演奏をして、実力に磨きをかけていった。転機を迎えたのはトロントに拠点を移し、プロデューサーのギャヴィン・ブラウンとの出会いだった。彼の指揮の下、のちにモダン・ヘヴィ・ロックの新星と一気に注目を浴びることになるシングル「(I Hate) Everything About You」をレコーディング。その後JIVE Recordsとの契約がすぐに決まり、2003年にデビュー・アルバム『Three Days Grace』をリリース。すると、”彼らはネクスト・ビッグ・シングだ” という評判がモダン・ヘヴィ・ロック・シーンを駆け巡った。ダイナミックなロック・チューンを軸に、繊細かつスリリングに展開されるマイナー・メロディで独自の音楽スタイルを1作目にして早くも築き上げていたからだ。デビュー・アルバムにもかかわらず、全米で100 万枚以上のセールスを記録、ヒット・シングルを3 曲も生み出した。多くのバンドと廻ったツアーで着実にファン・ベースを築き、その後2 年に渡りヘッドライン・ツアーを敢行。公演のほとんどをソールド・アウトにし、実力と人気と知名度を上げていった。
 しかしデビューしていきなりブレイクを迎えた彼らは突然の環境の変化になじむことができず、特にフロントマンであるアダムは想像を超える孤独感と疎外感に襲われた。メンバーは彼らの原点であるオンタリオに戻り、次作の曲作りに専念、ギタリストとして新たにバリー・ストックが加わる。プロデューサーにハワード・ベンソン 、ミキサーにクリス・ロード・アルジという最強の布陣を迎えセカンド・アルバム『One-X』が完成。期待と人気に応えるべく、2006年6月に発売されたアルバムは、全米アルバム・チャートで堂々の初登場5位を記録。ファースト・シングル「Animal I Have Become」はモダン・ロック・チャートで1位を記録、その後のシングルもチャートの常連となるほどヒットを飛ばし続けた。
 彼らが直面した苦しみから生み出されたアルバムは、誰もが共感できる言葉で綴られる歌詞、ダークでドラマティックに展開されるメロディと重厚感で埋め尽くされ、出来上がったすべてはヘヴィ・ロック・ファンのアンセムとなった。2003年のデビュー当時からステージを共にしている同郷のニッケルバックとのアリーナ・ツアー、ステインドやフーバスタンクとのジョイント・ツアーから、ヘッドライナーのツアーまで積極的に止まることなく続け、定評のあるライヴはより多くの集客を呼び1作目に続きセカンド・アルバムでもミリオン・セールスを達成した。そのライヴの実力は大御所ザ・ローリング・ストーンズに認められ、彼らの2006年カナダ・ツアーのサポートに大抜擢されたことで明らかだ。世界中のファンをライヴで魅了している彼らだが、来日したのは2007年7月2日の東京一公演のみ。来日を待ち望んだファンで満員になった会場で、最初から最後まで大合唱と歓声は鳴り止まず、凄まじい熱気の中、エネルギッシュで迫力のあるパフォーマンスを展開。日本のファンとスリー・デイズ・グレイスが一体となった最高にエキサイティングな一夜となった。今となっては幻のライヴとなっている。
 スリー・デイズ・グレイスはもはやモダン・ヘヴィ・ロック・シーンを代表する重要なポジションを担うバンドへと成長、人気を不動のものにした。世界中のヘヴィ・ロック・ファンが待ち焦がれる中、遂にスリー・デイズ・グレイスの第3章を完成させ、彼らがシーンに戻ってくる。