アントネッロ・マナコルダ

アントネッロ・マナコルダ(指揮)

アントネッロ・マナコルダは、その豊富で説得力のある様式に基づいた解釈で、オーケストラから美しい旋律を引き出すことに長けていることから、「生粋のメロディスト」(『ターゲスシュピーゲル』紙)と称されており、高い芸術的創造力と協調的な音楽づくりの両面において優れた真のアーティストである。マナコルダの指揮者としての多才さは、文化的、音楽的なバックグラウンドに由来している。

イタリアのトリノでフランス・イタリア系の家庭に生まれ、アムステルダムで教育を受けた。アバドが設立したマーラー・チェンバー・オーケストラの創設メンバーの1人として、長年にわたりコンサートマスターを務め後に、スウェーデンの伝説的指揮者ヨルマ・パヌラのもとで指揮を学ぶ。2010年からはカンマーアカデミー・ポツダム(KAP)の首席指揮者兼芸術監督を務めている。ソニー・クラシカルから発売されたKAPとのメンデルスゾーンとシューベルトの交響曲全集は各紙から高評価を得て、2015年にはドイツの権威あるエコー・クラシック賞にて「ベスト・オーケストラ・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。これまでにシュターツカペレ・ドレスデン、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団、メトロポリタン歌劇場(モーツァルト《フィガロの結婚》)、また、バイロイト音楽祭等で演出を手掛ける注目の演出家ディミトリー・チェルニャコフによる新演出のウェーバー《魔弾の射手》をバイエルン州立歌劇場で上演したのをはじめ、欧米各地のオーケストラ、歌劇場から招かれている。

2021/22年シーズンには、R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》でベルリン国立歌劇場にデビュー、フランクフルト歌劇場とバイエルン州立歌劇場ではプッチーニ《蝶々夫人》を、またモーツァルト《フィガロの結婚》、《後宮からの誘拐》でウィーン国立歌劇場、ヴェルディ《椿姫》で英国ロイヤル・オペラ・ハウスに再び登場。オーケストラでは、2022年5月に、シューベルト《未完成》とバリトンのクリスティアン・ゲルハーヘルをソリストに迎えたマーラー《リュッケルト歌曲集》他によるプログラムでベルリン・フィルハーモニー管弦楽団にデビューし、7月には紀尾井ホール室内管弦楽団で日本デビューを果たした。そのほかに、デンマーク放送交響楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団への客演ならびにエイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団とのツアーが控えている。

antonello-manacorda.com/

 

 

カンマーアカデミー・ポツダム(KAP)

ドイツのポツダムに本拠を置くモダン楽器による室内オーケストラ。ブランデンブルク州都ポツダム市の公認オーケストラ。2001年、ポツダムのペルシウス・アンサンブル(指揮者なしの弦楽オーケストラ)とベルリンのアンサンブル・オリオル(木管・金管・弦楽の室内アンサンブル)のメンバーを統合して創設された。金管楽器とティンパニにピリオド楽器を取り入れた生命力に富む演奏で注目され、ピーター・ルンデル、セルジオ・アッツォリーニ、アンドレア・マルコン、ミヒャエル・ザンデルリンクら歴代の芸術監督のもとでその個性を育んできた。2010年からはアントネッロ・マナコルダが首席指揮者兼芸術監督に着任し、2011年にシューベルトの交響曲第3番・第7番《未完成》で開始されたソニー・クラシカルへのレコーディングで一躍脚光を浴び、これまでにシューベルトとメンデルスゾーンの交響曲全集やモーツァルトの後期三大交響曲集などが発売されている。

ポツダムのニコライザールを本拠に、ブランデンブルク州におけるさまざまな年齢層を対象とした数多くのコンサート・シリーズを開催。バロックから現代音楽に至るさまざまなオーケストラ作品を取り上げる一方で、ポツダム新宮殿内のシュロス劇場で開催される「ポツダム・ウィンター・オペラ」でピットに入るなどオペラの演奏にも注力している。ポツダムとブランデンブルク州の文化使節として、ヨーロッパ各地へのツアーも行い、音楽祭にも参加。2017年には、モデルプロジェクト「Musik schafft Perspektive(音楽が展望を生み出す)」によってドイツ連邦政府文化・メディア委員会(BKM)特別賞「Kultur öffnet Welten(文化が世界を開く)」を受賞している。2018年には若手奏者の育成を目的にオーケストラ・アカデミーが設立された。

kammerakademie-potsdam.de/