ブルース・スプリングスティーン

20世紀が産んだ類い希なるROCKERであり優れた作家である、ブルース・スプリングスティーンというアーティストはデビュー以来“今”を自分が感じた通りに歌い続けてきた。それは自分自身のことであり、自らの周りで起こった事実であり、生きていく上での喜び、苦悩、葛藤、そして社会が抱える様々な矛盾、問題を歌い続けてきた。いつの時代も若者達はその歌に共感し、彼の圧倒的ライヴ・パフォーマンスに打ちのめされる。“The Boss”とまで称されアメリカを代表するアーティストとして肩を並べる者のない圧倒的存在。デビューから一貫して自らの姿勢を貫き通して、全てを自らの歌に込めてきたブルースの表現活動。それはいつしかその結果としての名声、成功を勝ち取っていくとともに、自分の意志とは関係なく社会の中で次第に偶像化されていく自分のイメージに対する矛盾、葛藤に悩んでいく。その度に自身を見つめ直し、一人の人間としての自分自身を確立していくその人間的生き様。ブルースは歌の中で様々な矛盾を抱えた社会と、その中で生きていかざるを得ない人間、その中で自分の道を切り開いていこうとする意志の大切さをいつも教えてくれる…。ブルース・スプリングスティーンというアーティストは自らと葛藤しながらも、“自分”と“自分を支えて続けてくれているファン”と、そして“R&R”に忠実なソング・ライターなのである。どんなときにもその時の自分の葛藤、悩みをただ、誠実に歌い続けてきた…。