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情報だけを気にしながら何かを作っていく人もいれば、 その情報を遮断するかのように意識だけを研ぎ澄まさせて何かを作っていく人もいる。 しかし、宇多田ヒカルは情報(オープン)と意識(インナー)を同時に繋ぎ合わせ、 それを巨大なエネルギーとして発散することが出来る。情報は人間が生み出すものであり、 その情報と生きているという実感とがごちゃ混ぜになって、我々の生の緊迫感が生まれる。 そういうことを宇多田ヒカルは本能的に理解しているアーティストだ。だからこそ『DEEP RIVER』という アルバムは、彼女の成長と共に、彼女の混沌や不安までをもポジティヴに表現出来ているのだと思う。 そしてこれだけへヴィーな作品にもかかわらず、またもや多くの人々の心の中にすっと入っていけたのだと思う。 かつてなくディープでかつてなく情熱的で、かつてなく自分の運命を捧げながらかつてなく正直に音楽と対峙している。 宇多田ヒカルがこの作品でやり遂げたことはとても大きなことだし、同じ時間を生きるものとしてとても希望や勇気を持てることだとも思う。 だからこそ、彼女がこういうインタヴューという形で自分の心の中をディスクローズしていくことの気持ち良さも計り知れないのではないだろうか。
最後に。7月3日、宇多田ヒカルは元気でした。表情が輝いていて、エネルギーを静かに飛び散らせていました。

文:鹿野 淳 写真:森山大道
       (※インタビュー写真は除く)


「※掲載写真はDEEP RIVER発売日に全国主要レコード店舗で開催された森山大道パネル展より」






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