SOUND OF SPEED

TOKYO Nov.22 (Sat)

@ TERADA 倉庫

PLAID 1 Warpからの最新アルバムNot For Threesを引っさげて、2年ぶりの来日となるPlaid。彼等をフィーチャーした開催されたパーティー、"Sound of Speed"は、今回が第1回目となる。

開催地は、11月21日金曜日が大阪のベイサイド・ジェニー、翌22日の金曜日が東京の芝浦にある、寺田倉庫だ。
ここでは、東京でのパーティーの状況を報告することにする。

かつてはEmma等がプレイするパーティーが開かれていたこのハコは、しばらくの間は閉鎖していたものの、ここ最近リニューアルしてオープンしたばかり。前日にはローラン・ガルニエもプレイしていて勢いのあるこのスペースは、今後の東京の新しいスポットとして注目されていくことだろう。

さてこの"Sound of Speed"は、渋谷にあるバー「吾」を運営する山崎氏がオーガナイズするパーティーで、出演したのはこのPlaidとKey EnergyのDJ MIk、Susumu Yokota、Ebizoo(live)、KEN=GO→といった面々。

それまでちらついていた雨も運良く止み、スタートしたパーティーは、まずSusumu Yokotaのプレイから、DJとしての彼の最近のプレイは、HarthouseやSublimeからリリースされている楽曲とはひと味違って、4つ打ちのダンサブルなハウス。さっそくクラブらしい雰囲気を見事に作ってくれていて、フロアーも徐々に温まっていった。

さらにこの日はサブルームがメインフロアーの横に設けられていて、ここではアンビエントやドラムンベースなどがプレイされており、中盤にはMikとともに今年のレインボー2000にも出演したユニット、DrumGatheringがライブ・プレイしていた。床一面には羽毛が蒔かれていて、何とも浮遊感のある雰囲気だ。

メインフロアーでは、ハイセンスなYokotaのプレイに替わってEBIZOOのライブ。R&Sからのリリースの後、MikがA&Rを勤めるレーベル「NS com」とも契約を交わした彼は、ブレイクビーツを多用したハイスピードな楽曲を披露。フロアーの温度が一気に上がるのを感じ取れた。


していよいよPlaidの登場だ。

PLAID 2プレイ前のインタビューでは、大人しくもありながらブレイクダンスの話でハッスルした彼等。

彼等がステージに立つと、そのサウンドのひとつひとつを聴き逃したくないオーディエンスがぞろぞろ集まってきた。

そうして静かに始まったライブは、得意なブレイクビーツに根ざしたリズムに、彼等しか出せない音を織りまぜたスペーシーなサウンド。

PLAID 32曲目に演奏された"Not For Threes"の最初に収録されている"Abla Eedio"の美しいパッドが聴こえた頃には、フロアーの世界は完全に塗り替えられていた。限りなく深く、そして限りなく高い。

バスドラムの重さは、レコードで出せるものを遥かに上回って腰を否応なく揺らす。しかし踊り慣れた4つ打ちのそれではなく、かと言って規則正しく配置されたブレイクビーツとも違い、計算的にぎこちなくずらされたこのリズムは、言葉通りビートをブレイクしている。

この超重量級のキックとは遠く離れた遥か高方から聴こえてくるシンセパッドや、耳を突き刺すように直撃するシャープなスネア(やスネアのような音)、エキセントリックなメロディーに、これまで見たことのない情景を感じ取ったオーディエンスも多かったことだろう。

PLAID 4アルバム"Not for Threes"からは、さらに"Headspin"も演奏。そして楽し気な"Myopia"で一風変わった南国風味を味わせてくれたかと思うと、終盤のドラムンベース・ライクな高速ブレイクビーツや、ラストから2曲めの"Ol"の4ビートでは、それまでゆったりした変則ビートに重く深く腰を揺らしていたフロアーも、一層盛り上がり最高潮を迎えた。

1曲1曲を繋ぐことなく演奏し、演奏を終える度にあがる歓声は曲を追うごとに増し、そうしてラストを迎えたこのステージは、こういったテクノ系のライブでは珍しい1時間(通常は30分から45分程度)にも及ぶものだった。

ここまで多様で個性的なサウンドを、飽きさせることなく聴かせてくれるライブはそうそうないことだろう。


Plaidのライブが終わるとMikのDJがスタート。

怪し気なフリーケンスのSEから4つ打ちのビートが入って、踊る人々の心をときめかせる。

Mikは最近ブレイクビーツをフィーチャーしたプレイと、かつての4つ打ちのダンストラックとの試行錯誤を繰り返してきていたが、この日は一貫してハードめなミニマル・トラックをプレイ。しかし持ち前のトランシーな雰囲気で、他のミニマルDJとはまた違ったものを形作っている。同じ曲でもDJによってこれだけ違う聴こえ方がするものかと、改めて実感。古くからのKey Energyファンも大満足だったようだ。「やっぱりプレイは一貫したものにしようと思う」とは、本人の弁。

2時間30分のMikのプレイで爆発したフロアーを引き継いで、トリを勤めたのはKEN=GO→。

最近気に入っているというハウシーなトラックに、LFOの"Tied Up"というサービスもあり、まだまだ踊り足りないというフロアーを最後まで沸せてくれていたのだった。

(Mark Bell(LFO)は、アーティストの都合により急遽キャンセルとなりました。)


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