『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』先行試聴会&トーク・イベント完全レポート!

2019.05.13

 

5月15日(水)リリースされるヴァンパイア・ウィークエンドの6年ぶり4枚目のアルバム『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』の日本盤発売に先駆け、4月25日(木)に、Sony Music Studiosで先行試聴会とトークイベントが行われました。当選された30名の皆さんにご参加いただいた、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)氏とライターの妹沢奈美氏によるスタジオ内でのトークイベントの模様がこちら。新作のサウンドやエズラ・クーニグ(Vo&G)へのインタビューの話など、盛りだくさんの内容をどうぞお楽しみください。

 

 

後藤正文(以下後藤):皆さん大きいスピーカーで聴いたんですよね?いいですね。

 

妹沢奈美(以下妹沢):いいですね。皆さん、お顔が笑顔だから良かった。この新作は5月15日にリリースされますが、そもそも後藤さんがヴァンパイア・ウィークエンドを最初に知ったきっかけは?

 

後藤:当時ブルックリンのブームというか、ニューヨークのインディー・ロックがめちゃくちゃ盛り上がったとき、ヴァンパイア・ウィークエンドが出てきたんで、楽しく聴かせて頂きました。あの時、僕らも「ニューヨークだ!」って、『マジックディスク』っていうアルバムをニューヨークで録音しましたからね。一応、ニューヨークのインディーロックになりたいと思って、作ったんです。

 

妹沢:なりたいと思って(笑)。色々良いのが出て来てた時代ですね、あの頃は。

 

後藤:そうですね。ポップなモードに変わりつつあったというか、そういう空気になってきていた。2000年代って、レディオヘッドの『キッドA』で幕開けしたから、2000年代前半はみんなトム・ヨーク・ワナビーじゃないけど、ちょっと憂鬱な時代が続いて。でも段々カラフルな音楽が出てきて、ヴァンパイア・ウィークエンドとかアンサンブルがすごくカラフルですよね。だから、新しい時代が始まるんだと感じました。

 

妹沢:まさしく。私はたまたま取材でニューヨークに行った際、『SPIN』という雑誌に、「期待の新人」みたいな感じでアルバム・デビュー前の彼らの記事が載ってたんですね。その写真を見て、あ、なんて神々しいんだろう、と。

 

後藤:(笑)佇まいが良かったってこと?

 

妹沢:そう。それでよくよく読むと、「僕たちは既存のロックイズム的なことは絶対やりたくない」と。これまでロックバンドがやってきたことを全部やらないことだけがルールだ、と。

 

後藤:そうですね。当時からロックのやり方じゃなく別の、例えばカリブとかの民族音楽というか、フィーリングをいっぱい入れてましたね。他のバンド、例えばダーティー・プロジェクターズとかも、多分ブルガリアとかのコーラスワークとか勉強してやったりとか。新しいやり方でロックを更新しようとしてましたね。

 

妹沢:確かに。ヴァンパイア・ウィークエンドのこれはすごいと特に思ったところってありましたか?

 

後藤:フィーリングがいいなと思いました。新しいサウンド、フレッシュな音っていうか。それがインディーロックっていうところから出て来てるところも良くて。僕らが90年代に聴いてたロックと、ちょっとタッチが違う。例えばギターがほとんど歪まず、クリーントーンだったりとかね。あと、もうちょっと複雑なリズムで、「ドーン、パーン、ドドンパーン!」じゃなく、ちょっと跳ねたビートだったり。アメリカのロックのビートじゃなくて、もう少し色んな国の、民族的なビートとかをやってるみたいでしたね。デヴィッド・バーンとかがやってたことを、ダンサブルに、フレッシュに、また違う地域を参照しながらってやったような感じ、っていうか。

 

 

妹沢:うんうん。そしてこの4枚目のアルバムのサウンドを、後藤さんはどう聞かれましたか?

 

後藤:サウンド的にはものすごく変わりましたね。上から下までめちゃくちゃ広がった。特にボトム。低音がすごく低いところまで沈み込んでいて、サウンドがアップデートされてる。ここ何年かでアメリカのポップミュージックの音が変わったんですけど、それに対応したものが出て来てる。逆に、2013年の前作を一緒に並べて聴くと「あれ?」と。スカスカに聴こえる、っていう。

 

妹沢:今日聴かれた皆さんも、驚かれたんじゃないんですか?『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』と、だいぶ音が違っていて。

 

後藤:そうなんです。あのアルバムも当時は最先端だったんですけど、ここ何年かで本当に音が変わったから。今回のアルバムは、例えばビリー・アイリッシュとかと並んでも、いいねと思ってもらえるような音の構造を目指してるような。それが当たり前のルールとして向こうのエンジニアとか、ミュージシャンは共有してるんじゃないかんと思いますね。

 

妹沢:なるほど。今作で大きく変わった点として、ロスタム・バトマングリという、ソングライティングやサウンドの重要な存在が脱退したんですよね、実は私、それがちょっと心配だったんですよ。特に前作は、エズラが歌詞を書き、ロスタムが曲を書くという分業にしていた。そのロスタムがいなくなることで、エズラを中心にしたヴァンパイアの曲というのが、ちょっと想像がつかなかったんですよね。

 

後藤:うんうん。

 

妹沢:そしたら、新作を聴いて「あ、自分らしい音をきちんと見つけてきたな」と思いました。エズラに取材をしたんですが、まず2014年に前作のツアーなどが終わった後2年間何もしないでちょっと音楽から離れようと思った時期があったと。その時期を経たことで、次の年に、どんどん曲が生まれたそうです。ただ、プロデューサーのアリエル・レヒトシャイドが、ちょうどハイムの制作をしていて、なかなか一緒に作れなかった。それが終わってようやくヴァンパイアの録音が始まったこともあり、本人は前作からの6年を長かったと思っていないし、音楽をまた好きになったからこそ、この作品ができたという話をしていました。

 

後藤:6年間びっちり休める経済力がうらやましい(笑)。でもほんと、すごい良くまとまっているというか、色んなトレンドが影響与えていると思いました。ギターとかも、歌ってるときに休んでたり。

 

妹沢:歌ってるとき休む、とは?

 

後藤:や、ガシガシ弾くと埋まっちゃうんですよ。要は、音って周波数5khzから40khzまでの間にしか音は置けないんです。5khzとか聴こえないから、30Hzから20kHzとか、ここからここまで、って決まっていて、その中で色んな楽器が空間を奪い合ってるだけなんです。

 

妹沢:へぇー!

 

後藤:だから、余計な音がない状態、音数が少ない方が、それぞれの音を聴かせやすいんです。いっぱい重ねたらミルフィーユみたいになっちゃって、膜で隠れて、上に出てきたものだけ良く聞こえる、みたいになる。

 

妹沢:後藤さんよく、音を語るときに「ローが響いているかどうか」を大切にされてるじゃないですか。

 

後藤:はいはい。

 

妹沢:今のお話で腑に落ちたんですが、今回のヴァンパイアは、ローがある音だなと私は感じたんですよね。

 

後藤:はい、今回はローが出てますね

 

妹沢:それも、工夫があったからこそ?

 

後藤:そうですね、ベースが下に動くと、スペースが空くんです。ギターの一番下の低い弦の音だったり、声の一番低いところも、ベースが上まで埋めたら隠れちゃう。で、それを下げることで、ボーカルとかギターの存在感も凄い際立つ。

 

妹沢:なるほど、面白いですね。

 

後藤:でもやっぱりヴァンパイア・ウィークエンドなんで、不自然な感じではないところがいいですね。ただ出せば良いってわけじゃなくて、チュラルに処理をしたんだろうなって感じがしますけどね、聴いていて。

 

 

妹沢:あえて伺いたいんですが、特に気になった曲や好きだった曲というと?

 

後藤:えっとね、「ディス・ライフ」が好きでしたね。サウンドがいいな、面白いなと。でも全体的にどの曲も良くて、ボーカルにかかってるエフェクトとかも、奥で揺れながら効いていたり。そういうサウンドデザインが、前作と全く違う。すごく凝った作りになってるな、と思いました。バンド感はさすがにちょっと薄れるけど、サウンドデザインとしてすごくいい。インディー・ロックも含め、ロック・バンドってずっと行き詰まってきたと思うんです。録音をどうしよう問題、みたいな。

 

妹沢:うんうん。

 

後藤:で、色んなバンドがそれぞれの解答を出してきている。ダーティー・プロジェクターズのやり方も面白かったし、レッチリですらかなりバキバキに解体してやっていて。『OK Computer』でレディオヘッドがやったことを、もうちょっと違う解像度で今の人たちはやらなきゃいけない。っていうのも、低音の構造が変わっちゃったんで。でも、ヴァンパイアはなんか、バンドの骨や身を変えずに成し遂げた感じがあって、凄いなと思いました。

 

妹沢:過度に力を入れずに、という感じ?

 

後藤:そうそう。ガラッとサウンドデザインが変わったように聞こえるわけじゃなくて、なめらかに、楽曲の構造とかそんな変わらずあのヴァンパイア・ウィークエンドのまま、ただ単に音がめちゃくちゃ良くなった、みたいな感じで聴けたんです。

 

妹沢:それはミュージシャンの目から見ると、難しかったりするんですか?ほら、変わると言えども、色んな変わり方があるじゃないですか。

 

後藤:やっぱりバンドって、結局バンドであろうとしちゃうところがありますよね。例えば、ドラマーは打ち込みにするのが嫌なんですよ、多分ほとんどのバンドがそう。「俺の出番がない」みたいな感じになっちゃうから。そういう頑固さが、変化を阻むことがあったり。

 

妹沢:なるほど。

 

後藤:でも、この新作はそういうのを感じないですよね。本当にナチュラル。不思議。メンバーが、疎外されてる印象も全くないし。

 

妹沢:ないですね。全然ない。

 

後藤:ないですよね。聴いていると「他のメンバーは大丈夫か?」みたいな作品もあるじゃないですか。

 

妹沢:ありますね(笑)。

 

後藤:ヴァンパイアはそういう心配させないのがいいなと、聴いてて思いました(笑)。ただ、音が良くなった。バンド的なバージョンアップをしないで、ただ単にナチュラルに音が良くなるっていうのは、意外と難しいと思うんですよね。

 

妹沢:面白いですね!ちなみに今回のアルバムのポイントとして、エズラがまず挙げたのが「ソングライティング」で、次が「ギター」だったんですよ。こんなに楽しくギターを弾いたのは久しぶりで、エズラいわく、自分はヘソ曲がりなところがあるから、世の中が「ギターって格好悪いんじゃないの?」っていうモードになってきてるから、あれ、でもギターってそんな悪いものじゃないよねというところで、僕は今回はギターを弾いてみようと思った、と。

 

後藤:いやー、それねー、いい! 素晴らしいですね! 

 

妹沢:(笑)。

 

後藤:最近、音楽のストリーミング・サービスなんかで一番飛ばされる瞬間って、ギターが鳴った時らしいんです。どこでみんながそのアルバムを離脱したかが、データでわかるらしくて。ギターが鳴った時に、特に若い子たちが、次の曲にスキップすることが多いっていう話を聞いて、すげぇショックだなと思って。僕は、ギターだけ弾いてここまで来ちゃったから。

 

妹沢:確かに(笑)

 

後藤:そういう意味でも今作は良いですよね。一曲目からギターが色々動いたりとかして、すごく楽しい。今流れているこの「ディス・ライフ」のギターも、ヴァンパイア・ウィークエンドのままなんですよね。でもなんだろう、なんかちゃんと新しい音になってる。新しいミックスのされ方で。

 

妹沢:新たな地点ですね、彼らにとっては。

 

後藤:うん、だからそれはやっぱりサウンドデザインなんだなと思って。スタジオ見学したいぐらいです。

 

妹沢:(笑)アリエル・レヒトシェイドの自宅スタジオで録音してますね、今回。

 

後藤:そうそう、見てみたい。うん。やっぱり向こうはね、文化がありますから。

 

妹沢:アリエルと一年ぐらいかけて作り上げていったみたいですから、エズラは空気を感じながら作るそういう方法が好きなのかもしれませんね。

 

後藤:うん。あとミックスエンジニアとかは、向こうの人たちはアーティスティックですよね。アリエルはコンポーザーですから、作曲もして、自分も元々バンドマンでエンジニアもやる。日本だと主に録音とかのメカニカルなことをやるっていう役割が強かったりするんです。だからその辺は、うらやましいなと。アメリカ人とかと仕事すると、すごく凝ってるというか気にするところと、めちゃくちゃ気にしないところのラインが不思議なんです。

 

 

妹沢:それで思い出したんですが、今回、細野晴臣さんの曲をサンプリングした『2021』がありますよね。

 

後藤:そうですね。

 

妹沢:最近はマック・デマルコとか、先ごろ来日していたコナー・モカシンをはじめとして、細野さんや山下達郎さんや大貫妙子さんを再発見して日本の当時のシティ・ポップの音の作り方に影響を受けた、みたいな動きがアメリカのインディーズにあるじゃないですか。

 

後藤:はいはい。

 

妹沢:で、今回エズラが細野さんの当時の音をサンプリングしたのは、アナログの音作りとかにも関心があったのかな、とか。どうなんでしょうね。

 

後藤:そうですね。スタジオの機材を見てみたいですけど、でも多分、結構アナログ機材を通してると思うんですよ。テープを使ってるかどうかはわかんないですけど。割と今、ヒップホップもプラグインでみんなやるんですけど…プラグインというか、アプリケーションですよね。要は、コンピューターの中で完結することが多い。アラバマ・シェイクスとかはね、録音の時はプラグインでやったけど、結局最後同じ機種で音を通し直して。本物の機材でやる、みたいな。

 

妹沢:へぇー。こだわりの音作り。

 

後藤:こだわり。まぁ、ちょっとやっぱ、変わるんですよね。なんかね、何が変わるかわかんないんだけど、不思議な倍音が増えたりとか、音が絡み合ったりとかね。ただそのミックスで何を使ってるかは、ちょっとわからない。今後多分、情報が出てくるはずなんで、見てみたいなって思います。

 

妹沢:後藤さんがもし今作に関して彼らに何か一つ質問できるとしたら、何を聞いてみたいですか?

 

後藤:そうですねー。うーん、一つだけとなると…。

 

妹沢:(笑)三つでもいいですよ。

 

後藤:ミキシングに使った機材を教えてほしい。あと、どんなマイクを使ったか。あと録音で、ラインを多く使ったのか、マイクを多く使ったのかのバランスを聞きたいですね。今は結構ライン録音が多いんですけど、彼らはどのぐらい使ったのかなと。

 

妹沢:ああ、確かにマイクで録音したような凄く空気感のあるギターの音ですよね。

 

後藤:そうなんですよ。でもそれも、今やラインで録音して後から(ミックスが)できる時代なんですよね。あとから、さもホールでやった様にミックスできる時代なんで。だから、その辺りがどの程度なのか、なんなら全部生演奏だったのかとか、そういうの聞いてみたいですね。

 

妹沢:逆に全部生演奏だったら、これまでのヴァンパイア・ウィークエンド的なイメージと反対だから、面白いですね。

 

後藤:そうですよね。

 

妹沢:作りこんでいく人たちでしたから。

 

後藤:だから、ギターはパーツで録ってったのかなとも思います。ダビングを重ねて面白くしていったような感じはするので。ただ例えばリズムセクションはどうやって録ってるのか、ドラム一発で回したのかとか、そういう録音の行程を、どの曲かにフォーカスして聞いてみたい。どういう手順で録ったかに、興味があります。でも多分ね、その話を読みたい人って日本でもあまりいないかも。

 

妹沢:(笑)読みたいです。ちなみに、このスタジオも今作でヴァンパイアは使ったんですよね。後藤さんも、前に使ったことがあって。

 

後藤:使いましたね。

 

妹沢:ここは、特徴としてはどういう感じなんですか?

 

後藤:ここはね、あのね、バブリーです(笑)。ザ・バブリー。やたら高いっていうね。

 

妹沢:あははは(笑)。

 

後藤:ソニーのミュージシャンが借りても高い(笑)。だからクレジット見て「ソニー乃木坂スタジオ」って書いてあったら、あ、制作費あるんだなって思ってもらっていいスタジオなんで。

 

妹沢:(笑)なるほどー。でも良いですね、彼らは6年ちょっとかけて、リラックスしながら自分たちらしさを取り戻して、自然に曲ができて、アメリカの大らかなところで録音して、きっと音録りも凄く工夫しながら録って。ミュージシャン冥利に尽きるんじゃないですか? 

 

後藤:や、本当に音が良いですね、この新作。ここ6年くらいで、コンピューターの中のプラグインってやつがものすごく発達したところもあるんで、そういうの影響もあるんでしょうけど、それににしたってやっぱり音が良い。アメリカのトップを走るようなバンドはサウンドが凄いなと思って、感激しました。

 

 

妹沢:そういえば前に後藤さん、向こうのエンジニアさんが録音の時にヘッドホンで出音を確認したりしてると、実はむしろ良い音のアルバムができたりする、みたいな話をされてましたよね。

 

後藤:日本でやるとね、みんな小さいスピーカーだけで完結させようとするんですよ。そうするとめちゃくちゃ小さいサウンドデザインになって、良くない。そういう悪い慣習があって。

 

妹沢:私ね、今作をヘッドホンで聴いたんですか、「あーここも面白い、ここも面白い」っていう発見があったんですよ。

 

後藤:そうそう、だから小さいスピーカーだけで録音するんだったら、ヘッドホンでやった方が絶対良くて。アメリカ人とは僕はロックのサウンドでしかやったことないけど、いきなり一番デカいスピーカーでドラムのチューニングとか始めるんです。ボーン!とか鳴ってて、うるせー!と思って、「大丈夫なのこの人たち!?」って見たら、スタジオにいっぱい耳栓が転がってた(笑)。他の人も一応うるさいと感じてるんだなと、安心したんですけど。(笑)でもデカい音で聴かないと、でかい口径のスピーカーで聴かないと、低音が聞こえないんですよね。

 

妹沢:なるほど。

 

後藤:でも最近イヤホンとかヘッドホンも、安いやつでもめちゃめちゃ性能が良いんで。ちゃんと選んで買うと、よくわかる。だからデスクトップだけで作ってるアメリカ人のトラックメイカーの方が、サウンドデザインが良いというマジックが起きるんですよ。

 

妹沢:そっか。いや、この新作はすごく面白い音作りだから、もしかしたらヘッドホンで色々聞きながら制作したのかな、どうなのかな、なんて思ったんですよね。

 

後藤:そうですよね。でも多分アメリカは、デフォルトで音が良いんだと思います。建物がデカかったりとか、構造として音がちゃんと抜けて反響しないようになってたり。部屋のチューニングが良くできてるんじゃないですかね。あと、文化もあると思います。カリフォルニアとかロスって、ローをちゃんと聴く文化がある。ダンスミュージックとかハードコアパンクとかの人たちでも、ウーファーで鳴らすようなローを体感するカルチャーがあるらしくて。やっぱあっちの音楽はドゥーンってくるところがありますね。

 

 

妹沢:あと残された時間が2分だそうです。最後の話になりますね。私はライナーを今回書きまして、良ければそちらも是非読んでみてください。あと、ボーナス・トラックも面白いですよと、一言(笑)。

 

後藤:あ、そうですね、ボーナス・トラック。ボブ・ディランみたいな曲がある(笑)。急にディランみたいになったから、びっくりした。

 

妹沢:あと、驚きの一曲があったりもする。

 

後藤:そうですね。あまり言っちゃいけないと言われたんですけど。呟かなくてよかった、と思った。(笑)

 

妹沢:(笑)。では後藤さん、最後に一言お願いします。

 

後藤:僕はこの新作は、とにかくサウンドデザインそのものが、インディーロックの新しいものを提示していて、インディーロックはそのままアップデートできるということを証明したと思いました。もう少し化学調味料みたいなのをいっぱい入れないと変わらないのかなと思ってたら、「いや、できますよ」みたいな。天然素材で良いものを作っちゃったという作品です。もちろん色んな、例えばここで弾く弾かないみたいな細かい工夫はありますが、それでも後続のロックバンドたち、特にギターを弾いている人たちにとっては、音作りの参考になる大きな一枚になると思います。めちゃくちゃ高いクオリティで、本作はそれを成し遂げています。

 

 

(Photos by Kayoko Yamamoto)


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