Kygoの日本独占インタビューが公開!
みんなにも僕のアルバムを聴いて、幸せな至福感に包まれてほしいんだ。だから『クラウド・ナイン』というタイトルを付けた。
━━アルバムのプロモーションなどで世界中を飛び回っているようですが、現在はどこにいますか?
今は家だよ。戻って2〜3日くらいかな、ちょっとゆっくりしているところ。すごくリラックスしているよ。
━━ファースト・アルバム『クラウド・ナイン』が今月末、日本でもリリースになりますが、まず『クラウド・ナイン』というタイトルを付けた理由を教えてもらえますか?
僕の音楽はハッピー……というか、少なくともそういう音楽を作りたいと思っているから、『クラウド・ナイン』(=至福の状態)というのが近いんじゃないかと思ったんだ。曲を作る時には、そういう至福の状態を描きたいと思っている。みんなにも僕のアルバムを聴いて、幸せな至福感に包まれてほしいんだ。だから『クラウド・ナイン』というタイトルを付けた。
━━アルバムを聴いて正しくそういう気持ちになりました。いつもトロピカル・ハウスを引き合いに語られるわけですが、トロピカル・ハウスという呼び名に関してはどう考えていますか?
いいんじゃないのかな…と思うよ。サウンド的にもそのフレーズは言い当てているし、確かに僕の音楽にはトロピカルなムードが溢れているからね。パンフルートやボンゴ、スティールドラムといったカリビアンな楽器をいっぱい使っているし、そういったサウンドから影響を受けている。トロピカル・ハウスという表現はいいんじゃないかな。ただ僕自身は、その音楽だけに限定されたくないという気持ちもあって、やってる音楽の全てがトロピカル・ハウスだとは思われたくはないんだ。様々なタイプの音楽を作るプロデューサーだと自負している。実際アルバムにはトロピカル・ハウスではない曲も収録されているしね。
━━そうですよね。アルバムには様々なゲスト・ヴォーカリストが参加していますが、デビュー作を作るにあたって、どういう作品にしたいと考えましたか?
ゲスト参加してもらった人たちは、全員、僕が一緒に仕事をしたいとずっと願ってきたアーティストばかり。このアルバムのために一緒に仕事ができればいいな、と思った人たちの長いリストから選択したんだ。影響を受けたり、憧れていた人たちの多くと、こうして実際に仕事ができて、本当にラッキーだった。そう、このアルバムに参加してくれた人たちの大半が、ずっと長い間、願っていた人たちばかりだよ。
━━様々なタイプのシンガーが揃っていますが、何か共通点や選んだ基準はありますか?
声を聴いた途端に「あ、あの人だ!」とすぐに分かるようなシンガーやアーティストだね。ジャンルやスタイルに関わらず。だからこのアルバムに参加している人たちは、みんなユニークな声を持っているし、歌い始めた途端すぐさま顔が浮かんでくる。そこを一番重視したかな。
━━異なるバックグランドを持った異なる国のシンガーたちが、世界中から選ばれていますが、その点にも留意されたのですか?
勿論そうだよ。僕の音楽は世界に発信するグローバルなものだと考えているから、アメリカのアーティストとしか共演しないとか、ある国の人としか仕事をしないとか、そういうことはない。そもそも才能溢れる人と共演したかっただけなんだけど、たまたま世界中にいたわけで、勿論、意図していたことだった。
━━北欧のような寒い国からトロピカル・サウンドが誕生した事実には誰もが驚くわけですが、その理由に関してはどう考えていますか?
何でだろうね。僕にも分からないんだ(笑)。僕はスタジオで楽しみながら音楽を作っていただけだけで……いろんなことを試しているうちに、最終的に今のサウンドに行き着いたって感じかな。なぜトロピカルなサウンドになったのかは、僕にもよく分からない。スタジオで音楽を作っているうちに、いいサウンドが出来た! と思ったのがコレだった。いいフィーリングだし、ハッピーなバイブを持っている。ハッピーな音楽から夏を連想する人って多いよね。1年のうちで、一番ハッピーな季節といえば夏だから。メロディなんかも、夏のバイブがあると思うんだ。
キーボードを弾いたり、ライヴ演奏を披露する。その方がインプロヴァイズなども出来て僕自身も楽しいんだ。
━━幼い頃に日本をはじめ、様々な国に住んでいたそうですが。
実際に日本には住んでたわけじゃなくて、1か月間ほど、家族と日本で過ごしたって感じかな。ブラジルにもいたし、生まれたのはシンガポール……でも人生の大半はノルウェーで過ごしてきたよ。
━━そんな海外での経験が、何でも柔軟に受け入れる姿勢や、グローバルなサウンドに繋がっているとは?
確かにそれはあると思う。世界の知らない国を旅したり、見てきた経験は、広く受け入れる心を育んでくれたんじゃないかって。住んでる国とはまったく違う国々の人たちと会ったり、文化を見聞きしたり、どんなふうに生きているのかを知ることって重要だよね。特にブラジルでは、自分の知らなかった貧困などの実態を目の当たりにして、ノルウェーでは想像もつかなかったから……広い心を持てるようになった気がするよ。
━━それが音楽的な幅にも繋がっている?
まあ、少しはね。でも僕自身がいろんなスタイルの音楽を好きってことが大きいんじゃないのかな。異なる国の異なるスタイルの音楽に触れることができたのは良かったと思う。でも音楽に関しては、多くの場合は、そういった地理的な理由よりも、聴いた音楽からの影響の方が強いと思うんだ。
━━アルバムにはジョン・レジェンドが参加、R.ケリーとはステージ共演を果たし、さらにマーヴィン・ゲイの「セクシャル・ヒーリング」のリミックスも人気を呼びました。そういったUSのR&Bとの接点というのは?
マーヴィン・ゲイの「セクシャル・ヒーリング」やR.ケリーの「イグニション(リミックス)」などは、僕が子どもの頃に聴いていて、すごく影響を受けた曲なんだ。だからそれらの曲と大きな接点を持っているのは確かだよ。幼い頃によく聴いていたんだ。そういった曲のリミックスを手がけたり、R.ケリーとステージ共演できたのはすごくクールな体験だった。
━━USのR&Bはノルウェーでも人気があったんでしょうか?
うん、僕の友人たちはみんなR.ケリーのことを知ってるし、中でも彼の「イグニション(リミックス)」に関しては、誰もが聴いたことのある曲だった。ノルウェーでも間違いなく人気はあったよ。
━━アルバムにはジョン・レジェンドの参加した「ハッピー・バースデイ」という曲が収録されていますが、どんなふうに出来上がったのですか?
LAにいた時に作った曲なんだけど、同じ週にジョン・レジェンドと彼のワイフの懐妊ニュースが公表されたんだ。子どもが生まれるってね。2人でそんな話をしてから、僕がピアノを弾き始めたんだ。ちょっとした曲のアイデアもあったし、お気に入りのコーラスもあったから、それを披露したら、彼もすごく気に入ってくれて、メロディを歌いながら、歌詞を付けていってくれたんだ。それが新生児に関しての歌になったんだ。その子は、2〜3週間ほど前に誕生したよ。というわけで、「ハッピー・バースデイ」という曲が出来たんだ。
━━アルバムからの次のシングル、もしくは推し曲は決まっていますか?
いや〜〜、まだ決まってないんだよね。リスナーからの反応の良い曲がどれかを見ながら、選ぶことになると思うんだ。
━━特にお気に入りの曲というのは?
全ての収録曲が好きだよ。全曲、苦労して作った曲ばかりだから、1曲を選ぶっていうのは難しいよね。う〜ん、でも「フラジャイル」は、これまでに僕がプロデュースしてきた曲とは全然違っているから好きかな。あと、ほとんどアコースティックとも言える「フォー・ホワット・イッツ・ワース」とかね。これも発表してきた曲とは全然違っているから自分でもよく聴いている。みんなから反応の良い曲という意味では「キャリー・ミー」の人気が高くて、よく再生されているようだから……さあ、どうなるかな。まだ決めていないんだ。
━━ライヴではアコースティック楽器を演奏したり、実際にシンガーたちが生歌を披露しているようですが、そのあたりに拘りは?
僕がヘッドラインを務めるショーではピアノを演奏する。子どもの頃からピアノを弾いてきたし、スタジオでメロディなどの録音は全てキーボードを演奏してやっているからね。ステージでもそういう部分を披露したいと思っていて、キーボードをステージに持ち込んでいる。それがコンセプトというか拘りかな。キーボードを弾いたり、ライヴ演奏を披露する。その方がインプロヴァイズなども出来て僕自身も楽しいんだ。ステージを楽しめる。あとはシンガーたちにも実際に出演してもらって、コンサートではDJセットとはまた異なる部分も見せたいと思っている。
━━『ノーベル平和賞』の式典でA-HAと共演しましたよね。どうでしたか?
すごくクールだったよ。A-HAは歴史に残る大ヒット曲を持っているアーティストだし、ノルウェーのレジェンドといえる存在。すごくクールな体験だったよ。彼らとステージに立つことができるなんて、夢にも思ってなかった。クールなサプライズだったよ。
━━アルバムのジャケット・デザインを手がけたのはミスター・ブレインウォッシュですよね。どういったコンセプトの元に作られたのですか?
クールで他とは違っているものにしたかった。あとシンプルって点にも拘った。数人のアーティストにアイデアを出してもらったんだけど、ミスター・ブレインウォッシュの作品を一目見て、これだ!と思った。シンプルだけどクール。何を意味しているのかすぐさま分かるっていうのもポイントだった。すごくシンプルでクールなところが気に入ったんだ。
アメリカ、ヨーロッパをツアーして、できれば早く日本にも行きたいと思っているよ。
━━アーティストとしての今後の目標はありますか?
僕としては音楽を作り続けることが大切かな。出来ることなら、ずっと一生、音楽を作って暮らせるといいと思っている。今やってることを続けることが、僕の目標と言えるかな。
━━他に共演したいアーティストはいますか?
ああ、いっぱいいるよ。いつか一緒に仕事ができたらと願う人たちのリストなら、すごく長いのがあるよ。その中のひとりが、エド・シーラン。いつか共演できたらと思っているんだ。
━━自分用のプライベート・スタジオは持っていますか?
ホーム・スタジオ的なやつならあるけど、MIDIキーボードとアップル・ロジック・プロさえあればいいからね。あとはスタジオ用スピーカーかな。そんなに大したものじゃないよ。そのうち、将来的にはプロ仕様のスタジオを作りたいと思っている。でも今は、持ってる機材で十分ってところかな。
━━ノルウェー語だったのでよく理解できなかったのですが、あるテレビ番組であなたの自宅訪問みたいなことをやっていましたよね。あれは両親の実家だったんですか?
2回ほど取材されたけど、君の言ってる番組がどれなのかは分かる気がするよ。そう、両親の実家だよ。
━━今でもあそこに住んでいる?
いや、今は小さなアパートに住んでるよ。でも最近ノルウェーに新しい家を買ったばかりなので、そこに引っ越して、その後ちゃんとしたスタジオを作りたいなと考えている。
━━最後に今後の予定を教えてもらえますか? ツアーのほか、“クラウド・ナイン・フェスティヴァル”も開催しますよね。
そうそう、ヘッドライナー・ツアーをやって、8月にはホームタウンのベルゲンで僕の主宰するフェスを開催する。その後、またアメリカ、ヨーロッパをツアーして、できれば早く日本にも行きたいと思っているよ。
#CloudNine Tour, Madrid pic.twitter.com/Y9G3LZXYXQ
— Kygo (@KygoMusic) 2016年4月16日
━━年内とか?
できれば年内と思っているけど、もしかしたら来年になるかも。でも、突然急に話がまとまったりすることもあるから、それまでアルバムを聴いて待っててね!
【リリース情報】
カイゴ
デビュー・アルバム『クラウド・ナイン』
日本盤2016年6月29日発売
SICP-4640 期間限定スペシャル・プライス¥1,800+税
<日本盤特典>
初回仕様限定デジパック仕様/ステッカー封入
ボーナス・トラック2曲収録
歌詞対訳/解説付き
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