新作『アンブレイカブル』全米1位記念!ジャム&ルイス日本独自インタビュー第1弾公開!(連載4回)

2015.10.13

80年代から長きに渡ってシーンをリードし続けてきたジャネット・ジャクソンが、前作から7年ぶりとなるニュー・アルバム『アンブレイカブル』をリリースした。マイケル・ジャクソンの不慮の死を乗り越え、また、大富豪との結婚という人生の転機を迎えた彼女は、自身の代表曲にちなんで名付けられた新レーベル「リズム・ネイション」を立ち上げ、また、その代表曲を共に作り上げてきたジャム&ルイスと再タッグを組んでいる。ボーイズIIメン、アッシャー、マライア・キャリーなど蒼々たる面々をクライアントに抱えるこの大御所プロデューサー・デュオが『アンブレイカブル』の制作秘話を中心に語るロング・インタビューを数回に渡ってお届けする。
(インタビュー/文:荘 治虫 通訳:渡瀬ひとみ)


 

●第1回
 ジャネットが久々に新作アルバムをリリースした。前作『ディシプリン』から7年ぶりという長期のインターバルだっただけにファンの喜びもひとしお。しかも今回、彼女がタッグを組むのがジミー・ジャム&テリー・ルイスとなれば、騒ぐなというのが無理な話だ。というのも、『コントロール』以来、「ミス・ユー・マッチ」「アゲイン」「ダズント・リアリー・マター」「それが愛というものだから」「オール・フォー・ユー」といった眩いヒット群を共に作り上げてきたジャム&ルイスとの黄金のタッグを、前作では解消していたからだ。まずはこの再タッグのいきさつから聞いてみよう。


ジミー・ジャム:2年ぐらい前だったかな、一緒にランチをしたんだよね。音楽のことは何も話さなかった。お互いの人生の近況を報告し合ったりして。それから彼女のマネージメントの人と会うことになって、彼女が新しいレコードを作ろうとしている、という話を聞いてね。僕らと一緒に仕事が出来たら夢のようだってジャネットが話してると言うんだ。テリー曰く、そういうことであれば話は早い、僕らが彼女に電話をすればいいだけのことだからって。マネージメントとか、彼女の弁護士を通さなくても、一緒にレコード作らないか?って彼女に聞けばいいだけのことだからね。そうしたら、「もちろん、やりましょう!」ということになって、それで実際に作ることになったってわけさ。1年ぐらい前にこういった会話をして、9ヵ月ぐらい前にスタジオに入ったので、アルバムのレコーディングにはトータルで6ヵ月ぐらいかかった。1月から7月ぐらいまでかな。8月に入ってからはミキシングみたいなことをやっていたからね。

――今回、久しぶりに一緒に仕事をしてみていかがでしたか? 
ジミー・ジャム:素晴らしかったよ。僕らは昔から友人だから一緒に仕事をしていて心地好いんだ。お互いに対する信頼も出来ているしね。『コントロール』をレコーディングしたのは30年も前だよ。自転車に乗るようなもので、ずっと乗っていなくても、乗ればすぐ感覚が取り戻せるようなものだった。そんな感覚かな。

――今回はクレジット欄がすっきりしたアルバムですね。基本的にあなたがたジャム&ルイスとジャネットによる、以前の制作体制に戻ったわけですが、その理由は?
テリー・ルイス:プロダクションにおいてひとつの統合された頭脳集団が確立されると良い作品が出来る、と僕は信じている。すべてのプロジェクトを同じプロデューサー陣で固めた方がいい作品が出来るんだ。それはどんなものにおいてもだ。こっちで一曲やって、また違うところで一曲やって、という手法で成功するというやり方をけなすつもりはない。僕らがよく使う表現なんだが、アルバム全体のフィーリングを作っていくっていうことかな(笑)。この表現、みんな使わなくなっているよね(笑)。でも、こういうことができる頭脳集団がいるというのは大事なこと。僕らがプロデュースすることによって、ひとつの統一した流れが出来る。どういった曲を選んでいくのか、どんなプロデューサーたちが関与すればいいのか? 関わるべきなのか? 僕らが書いて、レコーディングしていくすべての曲において統一感のあるものになっていくと思うんだよね。


 前作『ディシプリン』はジャネットの当時の恋人であるジャーメイン・デュプリと彼女との舵取りで、ロドニー・ジャーキンズ(マイケル・ジャクソンの『インヴィンシブル』を手がけたプロデューサー)にニーヨ、トリッキー&ザ・ドリーム(リアーナの「アンブレラ」を手がけたプロデューサー)などR&Bの著名クリエイタ
ーを結集した賑やかな造りのアルバムだった。前々作『トゥエンティ・イヤーズ・オールド』はジャム&ルイスとジャーメイン・デュプリという、船頭が2チームいる状態での制作だったから、ジャム&ルイスとのシンプルなタッグは久々なのだ。とはいえ、今回も完全に彼らだけで作っているわけではなく、フレッシュな才能を適宜引き入れている。とくに目を惹くのはデム・ジョインツだろう。


―― 若手のプロデューサー、ドウェイン“デム・ジョインツ”アバナシーの起用が意外でした。起用することになった経緯を教えてください。彼はドクター・ドレーの『コンプトン』にもプロデューサーとして参加していますね
ジミー・ジャム:そうだよ。実際に彼は、ジャネット作品のプロデュースと同時期にドクター・ドレーの作品をやっていたんだ。ドクター・ドレーのスタジオとジャネットのスタジオを行き来してた。とても忙しくしてたね(笑)。彼とはBMGを通して出会ったんだ。BMGはジャネットのレーベル、リズム・ネイションのパートナーだから。BMGのクリエイティヴ部のザッツ・キャットとヴィーナス・ブラウンに紹介された。才能のあるプロデューサーや作曲家陣をいっぱい知っているから、興味があったら紹介出来ると言われていたんだ。どんな作品を作っているのかを聴きたいって言ったら実際に彼らはスタジオにやって来て、3、4曲かけてくれた。「これは誰が作ったんだ?」って訊いたらデム・ジョインツという奴だと言われた。それで言ったのさ。「こいつに会いたい!」って。彼の作品をもっと聴きたいというより、とにかく会いたいって思ったんだ。なぜかというと、彼のサウンドには深みがあったから。とても現代的であるのと同時に僕らがやろうとしていることと合致していた。実際に会ってみたらとてもいい人でね。個性もある。そして僕らはファミリーになったんだ。もう一人、今回のアルバムの共同プロデューサーでトミー・マクレンドレンというやつがいて、ミスター・マクレンドレン名義でやっている。トミーは、ジャネットとずっと前からの知り合いで、彼女の甥っ子の作品にも関わっている。彼女がある日、彼の作品を僕らに聴かせたいと言ってトラックを送ってきたんだ。これが素晴らしくて驚かされてしまった。彼とは何か一緒にやるべきだ、って思ったね。彼が入って来てからは、もうこれで決まり!という感じで、ほかにどうにかする理由はなかったね。テリーがさっき言ってたような頭脳集団が出来たんだ。デム・ジョインツとミスター・マクレンドレンがいて、それ以上必要なかった。ミッシーが関わった「バーンイットアップ!」はちょうどいい具合に挟み込むことが出来たと思うけれど、それ以外はいらない感じだったね。ミッシーは最高だよ。でも、今回関わった人達はそれだけ。とてもよくまとまった作品だと思う。ジャネットに合う音楽、というテーマに絞られてるんだ。ほかの誰かの音楽ではなく彼女に集中して作った音楽だったから、すごく上手くいったんだ。

――トミー・マクレンドンは、トミー・ランプキンス=トーマス・パーカーと同一人物だそうですね。
ジミー・ジャム:作者としては、ランプキンスという名前を使っているみたい。プロデューサーとしては、ミスター・マクレンドレン。僕にはよく分からない。3人か4人か、同時にいろいろな人になろうとしているのかもしれない。僕には分からないね。
テリー・ルイス:彼はスーパーマンのような存在だよ。クラーク・ケントみたいにさ。
ジミー・ジャム:まったくその通りだ。


 トミー・マクレンドンが関わっているというジャネットの甥っ子とは、ジャネットの姉リビーの息子であるオースティン・ブラウンだ。オースティンは2012年に『Highway 85』というアルバムをリリース。ジャクソン5~ジャクソンズを思わせる70年代調をベースに、80年代エレクトロと90年代的打ち込みのエッセンスを振りかけて現代化したようなサウンドとジャクソン家らしい人懐っこい歌声が魅力的な作品だった。そこに制作陣として参加していたのがトミー。ジャネットとは、2009年の『ザ・ベスト・オブ・ジャネット・ジャクソン』に収録された「メイク・ミー」の作者のひとりとしてすでに顔を合わせていたわけだが、今回の起用によって劇的に注目度が上がることは間違いなさそうだ。


<第2回>J.コールとミッシー・エリオットのゲスト参加について


写真提供:Getty Images


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