6/12 パーヴォ・ヤルヴィ最新録音2タイトル同時発売~ヤルヴィをブルックナーの豊饒な世界へと導いた因縁の作品が、鮮烈な解釈で蘇る。

2019.05.19

PAAVO JÄRVI 2019
2019年6月12日発売|日本先行発売
私淑するワーグナーへの敬愛の念を凝縮させた交響曲第3番。
ヤルヴィをブルックナーの豊饒な世界へと導いた因縁の作品が、鮮烈な解釈で蘇る。
パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送響|ブルックナー:交響曲全集 VOL.8
ブルックナー:交響曲第3番
パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送響
Bruckner: Symphony No.3/ Paavo Järvi & Frankfurt Radio Symphony  

■品番 1CD:SICC-10278 ■発売日: 2019年6月12日* ■定価: ¥3,000+税
■ハイブリッドディスク / DSD Recording  
SACD Multi: 5.1 channel | SACD Stereo | CD Audio: DDD STEREO  
*当初の発表から発売日が変更・延期になりました。ご了承ください。

■曲目
ブルックナー
交響曲 第3番 ニ短調 WAB103 [1889年第3稿(ノーヴァク版)]
SYMPHONY NO. 3 IN D MINOR | 1889 [ED.: LEOPLOD NOWAK]

1_I.   Mehr langsam, Misterioso     20:15
2_II.   Adagio, bewegt, quasi Andante     13:04
3_III.   Ziemlich schnell - Trio      06:43
4_IV.   Allegro       11:51

Total Time:     51:54


フランクフルト放送交響楽団
FRANKUFURT RADIO SYMPHONY
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
PAAVO JÄRVI | CONDUCTOR


[録音]2014年3月19日~21日、フランクフルト、アルテ・オーパーでのライヴ・レコーディング
[仕様] DSD Recording  SACD Multi: 5.1 channel/ SACD Stereo /CD Audio: DDD STEREO [レコーディング・プロデューサー]ウド・ヴュステンドルファー [サウンド・エンジニア&ステレオ・ミキシング]リュディガー・オルト [マルチ・ミキシング]ウド・ヴュルステンドルファー  [DSDマスタリング/SA-CDオーサリング]24-96 Mastering(カールスルーエ) http://24-96.com/ DSD Mastering  SACD Multi: 5.1 channel/ SACD Stereo /CD Audio: DDD STEREO


■パーヴォ・ヤルヴィとフランクフルト放送響とのブルックナー・チクルス第8弾は、初期の創作活動を締めくくる傑作・第3番。作曲当初は敬愛するワーグナーに捧げられたため、「ワルキューレ」や「トリスタン」からの引用も含まれる長大な作品でしたが、改訂を繰り返したため、第2番と並び複雑な稿態が残されています。ヤルヴィは、現在最も一般的に演奏される、ブルックナーが交響曲第8番第1稿を完成させた後に着手し、円熟の筆致により凝縮され密度の濃い1889年第3稿を用いています。

■経験を積んだ老齢の指揮者のみが名演を成し遂げるというイメージがあるブルックナーの交響曲ですが、ヤルヴィは、速めのテンポで音楽を息づかせ、細部を緻密に仕上げつつ、各モチーフの音楽的な連関性をクリアにし、ブルックナーの特徴である巨大なブロック構造を明晰に提示しています。ヤルヴィはこの交響曲をフランクフルトでのチクルスの最初に演奏・録音していましたが、演奏に満足せず、再度取り上げた際にライヴ録音されたものです。

■解説:パーヴォ・ヤルヴィ、横原千史

■ 2019年6月来日時には、6/14・15のN響C定期で演奏予定です。
https://www.nhkso.or.jp/news/22102/


■私にとってのブルックナー初体験曲
パーヴォ・ヤルヴィ

 ブルックナーの交響曲第3番は、私が演奏会で指揮した最初のブルックナーの作品だ。1990年代初頭、スウェーデンのマルメ交響楽団との演奏会だった。また第3番は、私が最初に聴いたブルックナーの交響曲でもある。子供のころすでに、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるこの交響曲のLPレコードを繰り返し聴いて耳馴染みになっていたのだ。第3番はブルックナーの音楽の素晴らしい世界へと私の心を導いてくれ、そのすべての交響曲を熱烈に好きになった。ブルックナーの他の交響曲や異なる稿を、毎年1曲ずつゆっくりと勉強し始めたのは、第3番を実際に指揮してからのことだ。
  マルメでの第3番の初演奏がうまくいったかどうかを今判断するのは難しい。ブルックナーの交響曲は手っ取り早く勉強して演奏すればいいという類の音楽ではない。書かれた音符を音にする以上のことが求められる。ブルックナーの音楽世界の核心に迫る必要があり、そのためには十分な時間が必要なのだ。 それから10年以上が過ぎ、フランクフルト放送交響楽団とは第0番を含むブルックナーの10曲の交響曲すべてを演奏することができた。フランクフルトでもまた、最初に取り上げた――そしてディスクとしての発売を前提に録音したーーブルックナーの交響曲は第3番だった。しかしこのディスクでお聴きいただけるのはその時の演奏ではない。2006年から2013年にかけてフランクフルトで第1番から第9番までの交響曲を取り上げてから、私たちは2014年に再び第3番に立ち返った。その時の演奏をディスクとして発売することにしたのだ。
 交響曲第3番は、普段みなさんが馴染んでおられるであろうブルックナー晩年の交響曲のイメージを真の意味で明確に備えた最初の交響曲だ。私には、それまでの第0番、第1番、第2番は、まだシューベルトやシューマン、あるいはメンデルスゾーンのような初期ロマン派交響曲の形式からはそう離れてはいないように思える。そして第3番で初めて、ブルックナーは独自の音楽的語法を、それまでの作品よりもより明確な形で開花させた。第3番でブルックナーが生涯にわたって彼の交響曲で使うことになる独自の音の身振りや作曲技術を使い始めたのだ。その意味で、交響曲第3番は「交響曲作家」ブルックナー最初の「円熟作」といってもよかろう。
 ブルックナーの交響曲で最も心に残るのは、私の場合、緩徐楽章であることが多い。規模が大きく表現に深みのある第3番の第2楽章アダージョは、その後のブルックナーの交響曲のいくつもの素晴らしいアダージョの原型ともいえる。また前進するリズムが密やかに脈打つ第1楽章の冒頭も、作品全体の構想の大きさを予見する見事な開始といえるだろう。第4楽章では、ブルックナーがドイツの教会の内部で音が響き合う様をオーケストラで再現している部分(提示部第3主題)が型破りで面白い。石造りの教会の巨大な空間では、残響が常にずれて聴こえる。この少しずつずれて聴こえるサウンドの効果を、ブルックナーはオーケストラで演奏できるようにあえて音符に書き起こしているのだ。さらに興味深いのは、このぎこちないエコー効果の第3主題は、再現部では扱われず、その代わりに、続くコーダでは第1楽章冒頭部分が輝かしく再現されるのだ。 交響曲第3番には複数の稿があるが、私が選んだのは1889年の最終稿(第3稿)。なぜならこの第3稿が音楽の構造上最も簡潔でしかも論理的であるからだが、それに加えて、私が親しんでいたセルのLPがこの稿を使っていたこともこの選択に影響しているかもしれない。
[訳:田岸亜矢]


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