マーズ・エレクトリック

若いバンドにとって、踏み固められたロックの軌跡からはずれた道を歩むのにはガッツがいる。だがMARS ELECTRICの4人は、曲作りと演奏の才能から生み出されるストレートなロック・ミュージックによってそれを実現させる。アラバマ州バーミンガム出身である彼らが、一度耳にしたら忘れない鮮やかなメロディーとクラシカルなコード進行を得意とする。それによって彼らは高尚なスタイルと楽曲の良さとのバランスをとり、モダンでメインストリームなロックと、生き生きとした彼ら独自のエンターテインメント・サウンドを合体させる。



MARS ELECTRICのデビュー・アルバム、「Beautiful Something」では、ヘヴィ・ポップなフックと、怒濤のギター・サウンド、そしてエキサイティングなボーカル・ハーモニーを提供している。ファースト・シングル"Someday"は伝統的なロック・ギター、ポップなフックと存在感のあるコーラス・パートを組み合わせた楽曲だ。ボーカルのJacob Buntonの特徴のある声がバンドのオリジナリティーを強めている。アディショナル・トラックで、ライターをゆらしながら聴きたくなるバラード "Another Day"や、アリーナ級のコンサート会場用に作った"Far Away"は純粋な聖歌で、MARSELECTRICの才能、オリジナリティ、そして情熱をはっきり示している。アルバム最後の"Lucid"さえもユニークなスタイルを持っており、NIRVANA的な新しさと、伝統的なハード・ロックのきらめきを両方持ち合わせている。ドラマー、Matt Finnは思いつくところで最高の新人ドラマーだ。このアルバムは多様なスタイルとアイデアの宝庫なのだ。「安っぽく聞こえるかもしれない。」そうJacob Buntonは前置きする。「でも俺達はみんな、アリーナ級のアーティストの音楽を聴いて育った。だから同じような効果を狙ってるんだよ。ただしもっと今風でより良いフックにするけどね。」忘れないで欲しい、メンバーは一番の年長者でもまだ26才なのだ。



1996年、WISHと言う名前でバンドを結成したMARS ELECTRICは、彼らが子供の頃に聴いていたようなロック・スターになる事を目指し、バーミンガムの音楽シーンに飛び込んだ。リーダーのJacob Bunton(ジェイコブ・バントン)(Vo.G.)、Carl Hopper (カール・ホッパー)(B.)、Matt Finn(マット・フィン) (Dr.)、そしてChris Simmons(クリス・シモンズ)(G.)からなるMARS ELECTRICは、音楽が人生の全てと信じて育った。



MARS ELECTRICの音楽の才覚と野望は、多くのレーベルを惹き付ける事となった。その中で米Columbiaレーベルの重役でA&RでもあるJohn Kalodnerが彼らの昔ながらのストレートなロック・サウンドを聴き、自身のレーベルPORTRAITと契約をさせた。PORTRAITから新人がデビューするのは彼らが初めてだ。「俺達は今の状況に満足している。」Buntonは魅力的な笑みを浮かべて語る。「うまくいくように頑張るよ。この業界で成功したいからね。この初めてのアルバムは初めてだからこそやらなくちゃなって俺達は考えているんだ。」



Buntonはこれまで、MARS ELECTRICの夢を叶えるためにやれる事は全てやってきた。彼はミュージシャンへの支払いや、初のニューヨーク行きの旅費を含むバンドを維持する費用をかせぐために長時間労働もいとわなかった。



カントリー、メタル、80年代のニューウェーブの全てに影響を受け、MARS ELECTRICはそれらのサウンドではなく、そのメロディーへの情熱やハングリーさを自身の音楽に反映させる努力をしてきた。「俺はラジオを聴いて育った。」幼い頃から音楽への関心を表していたBuntonは語る。「ラジオなしでは生きられないよ。俺の作る曲にある種の傾向があるのもその影響だと思う。」人を楽しませたいという願いと、良い素材を組み合わせると、成功への公式がはじき出される。プロデュースはGreg Archilla(Collective Soul , Matchbox 20 , Neil Young)、ミックスにはKevin Shirley(Aerosmith , Black Crowes , Silverchair)が担当したアルバム「Beautiful Something」は白熱したサウンドとキリっとした仕上がりを聴かせてくれる。



「俺が幼い頃、MOTLEY CRUEのコンサートに行った時、」Buntonは回想する。

「俺はブッとんで自分もロック・スターになりたいって思ったんだ。いつも良い音楽を作り、良いライヴをやる事を考えてきた。今そのチャンスが巡ってきたんだ!!」