ラヴ・トレイン〜フィリー・ソウルの全て

  • 33の伝説的なアーティストによる全71曲、4時間を越えるCD4枚組
  • 最新デジタル・リマスター
  • 未公開写真を満載した64Pのカラーブックレットにはギャンブル&ハフやトム・ベルのインタビューを始めとして関係者の解説、年表などを掲載
  • 別冊ブックレットには曲目解説と歌詞・対訳を掲載

マンハッタンズ 2009年来日公演決定!

3/31(火)〜4/1(水)ビルボードライブ東京 (問)03-3405-1133
4/2(木)ビルボードライブ大阪 (問)06-6342-7722
4/4(土)ビルボードライブ福岡 (問)092-715-6666

エディー・リヴァート of オージェイズ 2009年来日公演決定!

5/6(水)〜9(土) ビルボードライブ東京 (問)03-3405-1133
5/11(月)・12(火) ビルボードライブ大阪 (問)06-6342-7722

詳しくはコチラ http://www.billboard-live.com/

南フィラデルフィア出身のギャンブル&ハフは、地元のインディペンデント・レーベルの数々でセッション・マンおよびソングライターとして経験を積みながらヒット曲を次々に制作しました。二人は、1971年、フィラデルフィア・インターナショナルを設立、モータウン以来、どこもなし得なかった成功を手にします。わずか1年余りで、オージェイズ「裏切り者のテーマ」、ハロルド・メルヴィン&ブルー・ノーツ「二人の絆」、ビリー・ポール「ミー&ミセス・ジョーンズ」等の大ヒットを送り出すのです。こうして大衆音楽の巨大市場に打って出る足がかりを得たギャンブル&ハフは、巧妙な新スタイルを考案します。それが、ザ・サウンド・オブ・フィラデルフィアで、荒々しいゴスペル、滑らかなジャズ、繊細なポップをほどよく混ぜ合わせた音楽でした。10年以上に渡って作られたヒット曲群、美しく磨き上げられた作品の数々は、どれも大衆音楽の良い手本となり、何十年も過ぎた今でもそれは輝き続けており、このBOXに愛情豊かにまとめられました。

CDの解説より一部抜粋

フィラデルフィア・ソウル(フィリー・ソウル)という言葉を聞いただけで胸躍る音楽ファンも多いだろう。アメリカ東海岸はペンシルヴァニア州フィラデルフィアから発信されたソウル・ミュージック。その華麗にして躍動感のあるサウンドと、それをバックに歌うアーティストたちの熱くソウルフルなヴォーカルは、これまで世界の多くの音楽ファンを熱狂させてきた。現在もカヴァーやサンプリングなどを通して、フィリーのサウンドは絶え間なく聞こえてくる。古今のポピュラー・ミュージックに与えた影響は、それはもう絶大。日本でも歌謡曲〜ジャパニーズ・ポップスにおいて、そのサウンドをお手本にした曲を見つけることは難しくない。フィリー・ソウル全盛期の74年にも、フィリー・サウンドを信奉する日本のミュージシャンたちが、同年の東京音楽祭に出場して金賞を獲得したスリー・ディグリーズに楽曲を提供していたほど。「にがい涙」(作詞:安井かずみ / 作曲:筒美京平)や「ミッドナイト・トレイン」(作詞:松本隆 / 作曲:細野晴巨)といった曲がそれで、これらが日本でのフィリー・ソウル人気に一役買ったことも忘れられないところだ。

そんなフィラデルフィア・ソウルの立役者がケニー・ギャンブルとリオン・ハフというプロデューサー / ソングライター・チームだったということは、今や多くの人が知るところだろう。71年にフィラデルフィア・インターナショナル・レコーズ(PIR)を始動させ、そこから数多くの名曲やスターを送り出したギャンブル&ハフ。2008年にロックンロールの殿堂入りも果たした彼らは、今やソウル・ミュージックを超えたアメリカン・ポップスのアイコンである。そのギャンブル&ハフが主宰したPIR発のナンバーを中心に、フィリー・ソウルの名曲を71曲収録したのがこの『ラヴ・トレイン:フィリー・ソウルの全て』だ。

97年にも『The Philly Sound:Kenny Gamble,Leon Huff & The Story Of Brotherly Love(1966-1976)』というCD3枚組のボックス・セットが出ていたが、今回は4枚組。ギャンブル&ハフがPIR設立前に制作した楽曲を含むのは前回と同じだが、今回は、ギャンブル&ハフと共同作業をしていたフィリー・ソウルのもう一人の立役者トム・ベルがプロデューサーとして関わったナンバーなども交え、より広くフィリー・ソウルを見渡せる内容となった。また、97年の時点では、76年以降のPIR音源はジャクソンズ(彼らの音源はエピックが管理していた)を除いてソニー・ミュージックに発売権がなかったのだが、現在はソニーBMGがその権利を取り戻したため、80年代半ばまでの楽曲も収められている。言ってみれば、これは前回の3CDボックスのパワー・アップ版である。

本ボックスに収録されている楽曲は、そのほとんどがMFSBによって演奏され、ボビー・マーティンらのアレンジによってシグマ・サウンド・スタジオで録音されている(ミキシングはジョー・ターシア)。MFSBとはMother,Father,Sister,Brotherの略で、リズム隊、ストリングス隊、ホーン隊からなる人種混成の音楽集団。中核メンバーは、ノーマン・ハリス(ギター)、ロニー・ベイカー(ベース)、アール・ヤング(ドラムス)、ヴィンセント・モンタナ(ヴィブラフォン)、ラリー・ワシントン(パーカッション)、ボビー・イーライ(ギター)、ローランド・チェンバ−ス(ギター)、レニー・パキュラ(オルガン)といった面々で、彼ら以外にも多くの有能なプレイヤーが顔を揃えていた。ドン・レナルド率いるストリングス隊には、現在のフィラデルフィア・アーバン・ミュージックのシーンを裏で支え、数多くのR&B / ヒップホップ作品でストリングス・アレンジを手掛けているラリー・ゴールドがチェロ奏者として在籍していたことも記しておきたい。ただし、70年代中期にはMFSBメンバーの多くがサルソウル・オーケストラに移動したため、それ以降(本ボックスだとDisc 4あたりから)のバック・ミュージシャン、特にリズム隊のメンツは、それまでと大きく入れ替わっている。シカゴ・ソウルのクイントン・ジョセフ(ドラムス)らが起用され、制作面でもデクスター・ワンセルやシンシア・ビッグスが腕をふるうようになり、サウンドも徐々にメロウな感じになっていくのだ。

もっとも、黒人レーベルとしてのプライドを保ちながら幅広い層にアピールし、愛と平和を唱えたギャンブル&ハフの思想はずっと一貫していた。そこらへんのことは、ギャンブル&ハフやトム・ベルのインタビュー、ボビー・イーライの回想などを載せたブックレットの文章(どれもワクワクするような内容だ!)を読んでいただくとして……新しい大統領の誕生によってアメリカが新たな時代を迎えようとしている今、変化や希望を謳ったフィリー・ソウルの名曲を集めたボックス・セットがリリースされるというのは非常に意義深いことだと思う。

ラヴ・トレイン。4時間を超える長い列車の旅をお楽しみください。