【ソフィーがママになった】

2000年、春、ソフィー・セルマーニから3枚目のアルバムが届けられる。

ファースト・アルバムからセカンド・アルバムまで2年、それから2年で今回のニュー・アルバム。きっちりと同じ時間をかけてソフィーの歌がやってきた。

けれど、それぞれのアルバムにかけられた2年という時間は、ソフィーにとってまったく別のものだった。いきなり世界へ押し出されるようにスターダムにかけのぼり、めまいがするほどの興奮に巻き込まれた最初の2年。
自分の音楽が歩いている方向を確認したこの2年。

ミュージシャンとしての経験を積み上げたこともあるけれど、もうひとつ、大きな出来事が彼女に落ちついた時間をもたらした。

1999年、春、ソフィーはママになった。

「以前はいつも何かを求めていて、いつも何かが足りないような感じがしていたの。その感覚が娘のエッタが生まれてからは消えた。なんだか満たされた感じがしているの。彼女のことだけではなく、なんでも楽しく感じられるのよ」
自分のことを語りたがらないソフィーにしては珍しく、はっきりと、自分の変化を口にした。インタビューが苦手で、「この曲はアナタの経験がもとになっているの?」と聞かれるたびに、「それは聴く人それぞれが考えてくれればいい」と答えるソフィーが、「このアルバムに収めた「My」はエッタのことを歌った歌」とはっきり口にするほど。