KEN ISHII TALKS ABOUT "SLEEPING MADNESS"

制作期間としてはどれくらいの時間がかけられたんですか?

そうですね、曲の原形がかなり前からあったものなんかもあるんですが、具体的なレコーディング期間としては1年半くらいですね。

じゃぁ、まさに前作「Metal Blue America」がリリースされたころにはもうこのアルバムの制作に入っていたということですね?

とういか「Metal Blue America」のミックスダウンの頃にはもう構想としてはあったんですけど...。

Metal Blue America」あたりからアコースティックな音が盛り込まれてきたように感じるんですが、ケンイシイさん自身の中でエレクトリックな音とアコースティックな音のミクスチュアのような観点で意識している部分というのはあるんですか?

所謂「デジタルビートにアコースティックな音を足してみました」的なものには全然興味はなくて、あくまでさっき言ったみたいに予測不可能な部分、自分のコントロールできない部分の音をどう自分なりのテイストで処理するかという部分に興味があって。ただそれは具体的にはテクニカルな部分とか、いろんな意味で困難な部分が多いんですよ。今まではもう、どこをどういじればどういう音が出るとかってことはほとんどわかってきたつまりミディ制御の中での創作をやってきたわけで、その先を意識したときに自分なりに新しい課題を与えたかったし、それが困難なだけに今では自分のテーマのひとつのようになっているところはありますね。プレーヤーの演奏する音っていうのはタイミングにしても100%ジャストというのはあり得ない訳で、ヴェロシティ(*1)にしても、どんな人が演奏しても1音1音違っていますよね。そういうランダムというか、スポンテニアスという感じが今一番面白いですね。

その「新しい課題」に取り組んでいるという点でシンパシーを感じるようなアーチストっていますか?

今回アルバムの制作に参加してもらったタルヴィン・シン、DJ スプーキー、コフュージョンなんかはそうですね。コミュニケーションをとってきて同じヴァイブをもって音楽に接しているという点ではお互い解りあえていて、皆に共通しているのは何か一つのジャンルに括られることに抵抗を感じていて、アイデアレベルからいろんなことを試してみたいという気持ちを持っているんです。だから他者と組んで結果として異物が出てくるようなことにも恐れを抱かないような、そういう意味でも今回参加してもらったアーチストたちには興味ありますね、勿論他にもそういうアーチストはいると思いますけど...。

*1: 音の強弱の意味。
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