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―Kiss―
 すでに12月上旬からCrystal Kay本人が出演しているCMで流れている「Kiss」が16thシングルとしてリリースされる。前シングル「Bye My Darling!」では今までのイメージを心地よく裏切ってくれたロック・チューンを届けてくれた彼女だけど、「Kiss」はその心地よい裏切りをさらにまた裏切ってくれる壮大なバラードになった。

--軽快なロック・チューン「Bye〜」の次のシングルが雰囲気たっぷりのラヴバラード「Kiss」。この振り幅は凄いですよね。
「ですよね(笑)。「Bye〜」は本当に私が今まで歌ってこなかったタイプの曲だったし、見た目にしても髪がボンバッちゃったので(笑)、これまでとの変化がとてもわかりやすかったと思いますね。きっと周りの人はビックリするようなイメージ・チェンジだったと思うんですけど、自分としてはようやく表に出せたジャンルだったので、楽になれました。私にはまだまだ歌いたい歌がたくさんあるっていう気持ちを「Bye〜」という作品でみんなに届ける事ができたので、もうね〜、どんなタイプの曲でも来い!来い!!って感じなんですよ」
--両手を広げてカモーン!って感じ?
「うん。まさに!なんかね、すごくいい感じで気持ちがシャキッと切り替わったというか・・・。ホント、すっきりしてる。もっともっとこれからいろんなことができるんだってすごく思う」
--で、「Bye〜」はガラリと雰囲気が変わったバラード曲「Kiss」がリリースされる。
「「Kiss」を最初に聴いた時は「Motherland」(14thシングル)と似ているところはあるんだけど、でもまたそれとは違う新しい世界だなと思ったんですよ」
--「Motherland」よりもちょっと年令が上がっていて大人っぽい。
「たぶん、そのあたりが「Motherland」との大きな違いかな。なんかね、結婚式で(この曲を)かけてもらったり歌ったりしてもらえそうだなって思った。そういう曲って今までのクリの曲にはなかったでしょ?」
--確かに(笑)。片想いの歌や別れの歌は・・・。
「結婚式じゃちょっと歌えないよね(笑)。ま、クリも2月でラストティーンに突入なんで、こういうタイプの歌を歌ってもOKな年令になってきたのかなって」
--「Bye〜」の次に「Kiss」のようなJ-POPの王道のバラード曲を出そうというのはどのような経緯で決まったの?
「「Kiss」以外にもいろんなタイプの曲のデモが私の手元に集まってて。それは次のアルバムに向けての準備でもあるんだけど、その中には踊れる曲やアップテンポの曲もあったんです。で、いろんな曲の中にこの「Kiss」のデモがあったんですけど、歌ってみた時に新しい感じが感じられて、なんかいいなぁっていう。でね、パッと聴いた時の第一印象は“堅ちゃん(平井堅さん)に似合うバラードだなぁ”だったんです(笑)。」
--わかるわかる(笑)。J-POPのバラードってところでね。
「うん。で、そういう第一印象が、私としては自分が歌うっていうところで考えるとすごく新鮮で・・・。この曲ってとてもわかりやすいんですよ。わかりやすくて、シンプルな王道のバラードを歌うっていうのもなんかすごくおもしろそうだなと思って作業を進めていったんです。」
--今まではそういうJ-POPの王道のバラードに対してはどんな風に思ってたの?
「最初の頃は正直言ってこういうタイプの曲をクリは歌わないんだろうなと思ってましたね。そういう風に自分の中で意識してたというか・・・。デビューしたての頃はR&Bの色が強かったし、やっぱり15、16才でラヴバラードを歌うっていうのがどうもピンとこなかった。ただ、デビューしてから色んな事にチャレンジしていく中でこれは私が歌うジャンルじゃないなっていうような部分がどんどんなくなってきたし、私には何ができるんだろうっていう興味がどんどん広がっていったので、いろんなものに対して柔軟に考えられるようになっていったんですよ。」
--「Motherland]もその柔軟さのひとつですもんね。
「だと思います。きっとね、「Motherland」があったから「Kiss」も自然と受け入れられたんじゃないかな。」
--「Kiss」は、大人の恋の歌ですよね。恋をはぐくんでいる優しさと温かさがある。
「大人が恋をしている歌ですよね。やっぱり15、16じゃ歌えないです、これは!(笑)。うわぁ〜「Girl's Night」を歌ってたクリが、こんな歌を歌うようになっちゃったんだぁ〜」
--自分の成長と共に歌の世界も成長してるって事ですよ。
「長くずっと歌い続けていける歌があるのと同時に、ハイスクールな感じの若い年令の時にしか歌えない歌もあるんだなぁって今初めて感じちゃった!!うわぁ〜。もう「Girl's Night」みたいな歌には戻れないってこと!?」
--いえいえ、まだまだ大丈夫ですってば!
「不思議な感覚だなぁ。歌い続けていくってこういう事なんだ・・・。でも、さっきも言ったけど、15、16才の頃のクリだったら「Kiss」は歌えない歌だったと思うし・・・。でもね、デビューした頃から変わっていない部分もちゃんとある。それは歌を歌う上でいつも気をつけてる事なんですけど、言葉を大切にして歌うこと。すごく単純な事だけど、ハッキリ言葉を大切に歌うっていうのは、歌を伝えるっていう部分のいちばん大事なところだとクリは思ってるし、歌の中に自分が入り込むっていうのは大事にしたいから・・・」
--歌に対してだけではなく、レコーディングで大切にしていることはありますか?
「「Kiss」に限った事ではないんですけど、歌い手として心がけていたいのはスタッフたちとのやりとりかな。今回「Kiss」のアレンジをしてくれた冨田恵一さんとは初対面だったんだけど、最初からバンバン言いました。コミュニケーションって、ひとつの作品を一緒に作るうえでとても大切な事だと思っているので、お互いの意見をちゃんとやりとりしたいんですよね。それは音楽的なことでも、漠然としたイメージでも、オケのことでも、歌い手として伝えなきゃいけないことはしっかり言うようにしてます。」
--satomiさん(作詞家)の詞は、普通の言葉で書かれていて、親近感がありますよね?
「日常の生活の中に普通にある言葉だし、心の中でふっと思うような言葉なのに、あまり詞では使わないような書き方だなと思った。しゃべり口調みたいなの。だからきっと聴く人にも自然と張り込む詞になるんだろうなぁって・・・。ホント、わかりやすい詞ですね。」
--Crystal Kayにとって“Kiss”のイメージって?日本人ってどうしても特別な感じに思っちゃうものだけど。
「ですよね。日本人だと恋人限定って感じですもんね。私にとっては身近なものというか。それこそ親とも女友達ともラフにするもので普通のあいさつとしてKissをするし・・・。でも、この歌だとそういうラフなKissではなく、この物語の中にいる2人が始めてデートしたときにチュウしたことを思い出しているとこから始まってるので、イメージとしては淡いピンク色のKissかな。なんかね、歌っててちょっと照れちゃうような感じが自分としてはすごく良くて・・・」
--どうして?
「自分の中で少し背伸びしてる感じが・・・なんかいいんですよ。うまく説明できないんですけど。うーん。何て言えばいいんだろ。きっと・・・たぶん・・・クリはまだこの歌の主人公のようにまだ結婚を意識してないからなのかな。そりゃあいつかは!っていうのはあるけど(笑)、まだそんなに現実的なものとしてとらえてなくって・・・。こんな風に思える人が現れたらいいですよね、ホントに。うらやましーいって感じもありつつ(苦笑)。」
--さて、カップリングに収録した「got to move on」と「Sweet Friends」の話しも聞かなくては。
「「got〜」は濃いですねぇ。別に「Kiss」が王道のバラードだからカップリングには濃いものをってわけではなく、とにかく新曲をたくさん入れたかったんですよ。「Bye〜」のシングルにもカップリングには新曲を2曲入れたんですけど、シングルでタイトルチューン以外に新曲を入れるのっていろんな歌や曲調を入れる事で今のCrystal Kayはいろんな曲を歌いたがってるんだよっていうのをわかりやすくみんなに伝えられるなぁとすごく思って・・・」
--「got〜」では詞曲を共作してるし。
「今年の夏にクリがNYに行く前に、この曲のプロデュースと作曲をしてくれたアシュレイ・イングラムとちょっとセッションしたんです。この曲はその時にできた曲の中にあった1曲なんだけど、帰国してから固めていったんですよ。」 --王道のラヴ・バラード「Kiss」。R&Bテイストの濃いところが出た「got〜」。軽快なパーティ・チューン「Sweet Friends」。「いろんなクリがいるよね。「Bye〜」と「Kiss」の2枚のシングルで計6曲のいろんなクリを届けたけど、この6曲は次のアルバムのプレビューみたいな感じかも」
--12月初めからオンエアされているCrystal Kay出演のCMも話題ですけど、どんなエピソードがありますか?
「クリが大人っぽいんですよ(笑)。CMでは「Kiss」をアカペラで歌ってるし、メイクも大人っぽいし、鼻の所に注目だし(笑)、衣装も今まで着たことのないような全身真っ黒のファションだし・・・。新製品のCMにクリが一人で出るっていうのも、すごく嬉しかったですね。撮影は朝7時から23時までかかったのでかなり長かったんだけど、楽しんで撮影してました。ホント、自分で見ても大人っぽい〜ってビックリするんで、CMを見て“これ誰!?”って思ってくれたらまたおもしろいかな、なんて」
--では最後に。Crystal Kayは05年をどんな一年にしたいですか?
「今まで以上にアクティヴな1年になりそうな気配がありますね(笑)。『CK5』以降、特に私の中でいろんなタイプの曲を歌っていきたいっていう思いがどんどん大きくなっているので、えっ、これがCrystal Kayなの!?っていう歌にもチャレンジしたい。でも、かといって今までの自分を全て切り離すわけじゃなくて、これってCrystal Kayだよねって歌も歌っていきたいんですよ。だってまだ10代だし、ガールちっくな歌も歌いたいもん!!うん。今のクリの歌を歌ったらいいと思う。2月で19歳だしね。10代最後を思いっきり楽しみたいです」

interviewer:松浦靖恵


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