ザ・ミスティーズ、ジャケット秘話。
この地球上でお気に入りの場所はレアハム(Lerhamn)の海岸だ。家から150mの場所にあり、インスピレーションを得る為ほぼ毎日散歩に行く。たくさんのメロディやアイデア、歌詞がここで生まれた。デンマークが目の前だから、晴れればビルが見えたりする。日々違った表情をみせるインスピレーションに溢れた場所なんだ。そこに何が落ちているかなんて知らないだろう 何本もの流木(Driftwood)があったなんて!
人間はここに何千年も住んでいた。僕の父親はアマチュアの熟練考古学者で、何年にも渡って驚くような発見をしてきた。だから僕もそうだった。1万年前から、石器時代、青銅器時代、鉄器時代、そう名付けられた時代が続いていて、矢じりや斧、青銅のナイフや焼き物が出てくる。ここには長い歴史があったんだってよく分かる。かつての海岸線はもっと僕たちの家に近かったから、家には砂が大量に残っている。
この湾の全長に渡って小さい簡素な壕が並んでいるのは、第2次世界大戦の名残りだ。長いこと放置されたまま、以降僕も含めた子どもたちが中に入って遊ぶようになった。
トランポリンズの最高のプロモツアーから帰ってきたときのことだった。東京から戻って、そのままレアハムの海岸へ真っすぐ泳ぎに行った。ツアーで得たもの全部を消化しようとした。すばらしい世界が二つあったんだ!って思ったことを覚えている。
『ドリフトウッド』の日本盤アルバムジャケット写真を初めて見た時、家の近くのレアハム(Lerhamn)の海岸とよく似ていることに驚いて、すぐに日本でデザインしてくれたデザイナーの方へ聞いてみたんだ。“こんなことがあり得る?写真を見たことがあるの?”って。そうしたら見たことはないって言われたけど、“音楽を聴いていたら風景が浮かんできた”んだって。信じられない、感激だよ!
―――ヨハン・ステント―プ(The Misties)