エレナ
“エレナ”ことエレナ・パパリズー(Helena Paparizou)は、1982年1月31日、スウェーデンのボロース生まれ、イェーテボリ育ち。ギリシャ最高のポップ・スターである彼女は、ギリシャ人の両親の元に生まれ、北欧のスウェーデン育ち。幼いころから歌やダンス、演技のレッスンを受け、そうした自分の才能を大きく開花させるため、やがて学業と並行して本格的に学び始める。

 17歳のときに、ニコという幼なじみと一緒に“アンティーク(Antique)”というダンス・ポップ・デュオを結成。スウェーデンとギリシャで活躍したアンティークは、すぐに当時のスウェーデンの新興レーベルであったボニアー(Bonnier)と契約。アンティークのデビュー・シングル「Opa Opa」は、いきなりスウェーデン国内で爆発的ヒットを記録し、ヒット・チャートのNO.1とゴールド・ディスクを獲得。このデビュー・シングルの大ヒットの勢いに乗って、2001年にはデビュー・アルバムのリリース、そしてアバやセリーヌ・ディオンなどのスーパースターを輩出したヨーロッパで最も権威のあるユーロヴィジョン・ソング・コンテストにギリシャ代表として出場。そのエントリー曲「I Would Die For You」の美しさと、チャーミングな彼らのルックスは強烈な印象を与え、その年のユーロヴィジョン・ソング・コンテストで3位に輝いている。このユーロヴィジョン・ソング・コンテストで大きな注目を集めるようになった彼らのアルバムはプラチナ・ディスクに輝き、ヨーロッパ・ツアー、そしてギリシャをはじめとするヨーロッパ各国のさまざまなアーティストとのコラボレーションも実験するなど、ヨーロッパ圏で大きな成功を収めている。

 しかし、2003年にアンティークは解散。その後、ソロとしてのキャリアを歩むことに決めた彼女とSONY BMGギリシャが契約。2003年12月には有名なシンガー・ソングライターのクリストス・ダンティスが、彼女のソロ・デビューのために書き下ろしたシングル曲「Anapandeetes Klisis (Missed Calls)」をリリース。このソロ・デビュー曲も、ギリシャ国内のラジオのエアプレイ・チャートとセールス・チャートの両方でNO.1に輝き、ゴールド・ディスクを獲得するロング・ヒットを記録。さらに2003年のウィンター・シーズンから2004年にかけてエレナは、ギリシャで大人気の男性シンガー、アントニス・レモスが持つ国内最長記録と並ぶ25日間のステージをアテネのクラブで開催。2004年春には『Protereotita (Priorities)』と題したソロ・デビュー・アルバムをリリースし、そこから4曲のシングル・ヒットが生まれ、アルバムそのものもプラチナ・ディスクに輝く爆発的ヒットを記録している。

 さらに2005年5月21日、ウクライナの首都キエフのスポーツ宮殿(パラーツ・スポールトゥ)で開催された、記念すべき第50回目の“ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2005”に、エレナはアンティーク時代に続いてギリシャ代表として2度目、ソロとしては初めて出場。そのエントリー曲「My Number One」は、ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト史上で歴代4番目の245点という高得点をはじき出して優勝。この曲のシングルは、ギリシャでプラチナ・ディスクに輝き、スウェーデンではゴールド・ディスクを獲得する爆発的ヒットとなった。

 その後も彼女は、ヒット曲を連発。2005年11月にリリースされた「Mambo!」は、ギリシャ国内のチャートで10週連続NO.1に輝き、プラチナ・ディスクに輝いたほか、全英のクラブ・プレイ・チャートでもトップ10に入る大ヒットを記録。この「Mambo!」は、ダンサブルなヒット・シングル「Gigolo」を含む15曲の新曲と、9曲のライヴ音源が入ったヘレンのセカンド・アルバム『Iparhi Logos』に収録されている。

 こうしたヨーロッパでの成功を背景に企画されたエレナのインターナショナル・アルバム『The Game of Love』は、2006年10月にヨーロッパ各国、北米、オーストラリア、南アフリカなど、全世界的にリリースされた。すでに多くの国でプラチナ・ディスクに認定されているこの世界デビュー・アルバムは、彼女のセカンド・アルバム『Iparhi Logos』の収録曲(「Mambo!」「Gigolo」「The Game of Love」「It’s Gone Tomorrow」「Let Me Let Go」「Heart of Mine」「You Set My Heart on Fire」)の英語ヴァージョンと、同じくスウェーデンでレコーディングされた6曲の新曲(スウェーデンでNO.1に輝いた「Heroes」は、スウェーデンのイェーテボリ市で開催された2006年ヨーロッパ陸上選手権のテーマ曲、そのほか「Somebody’s Burning」「Voulez Vous?」「Seven Days」「Carpe Diem (Seize The Day)」「Teardrops」)を収録。さらにボーナス・トラックとして、マノス・ハドジダキスが1962年にフランスで大ヒットさせたギリシャ語往年の名曲であるダリダの「Oti Axizi Ine I Stigmas」のカヴァーも追加収録されている。

 そして2007年1月、エレナは2005年のアルバム『My Number One』の爆発的ヒットによって、ヨーロピアン・ボーダー・ブレイカーズ・アワードを受賞。そのセレモニーがフランスのカンヌで開催され、主催者のヨーロピアン・ユニオンは、デビュー・アルバムが文字通り国境を超え、自国以外のヨーロッパ各国でも大きなヒットを記録した新人アーティスト10人に賞を与えた。エレナもそのうちのひとりに選出され、こうした重要なヨーロッパの音楽賞を獲得したギリシャ人は、彼女が初めてという栄誉も手にしている。