【FOALS来日直前最新インタビュー】(ジャックの日本愛溢れるインタビューです!)
【FOALS来日直前最新インタビュー】
今年に入り、NMEアウォーズのベスト・ライヴ・バンド賞受賞(2月12日)、ブリット・アウォーズ・ノミネート(2月18日、ベスト・ブリティッシュ・グループ賞受賞!)、ウォー・チャイルドのためのチャリティ・ライヴ出演、さらにはベーシストの交替、次作の構想浮上まであり、フォールズの身辺が大変に騒がしい。
この辺の最新情報を整理すると共に、バンドとして初のUK NO1を獲得した『エヴリシング・ノット・セイヴド・ウィル・ビィ・ロスト‐パート2』をたずさえての日本公演が一体どんなものになるのか、バンドの意気込みを聞くために、ドラマーのジャック・ベヴァンにインタビューした。
この中で発覚したジャックの止まらない日本ラブ!
ツアーでは時間がなさ過ぎて、と独自に観光で来日したり、その後またツアーがあると、今度はバンド仲間をお気に入りの店や旅館へ案内する積極的なガイドぶり。
こんなジャックの日本への熱い想いも併せてお届けします。
■近況
――まず最初に、NMEアウォーズのベスト・ライヴ・バンド賞受賞おめでとうございます!
ジャック・ベヴァン(以下J):ありがとう! 最高だよ、誇りに思うよ。ライヴ・バンド賞は欲しかった賞なんだ。とにかくツアーをたくさんやり、力の限りを尽くし、バンドとしてライヴ・パフォーマンス能力の底力をつけたと思うから、それに見合う賞をもらえてうれしい。
――オリジナル・ベーシストのウォルター・ジャーヴァースが抜けたあと彼の後釜を務めていたエヴリシング・エヴリシングのジェレミー・プリチャードが自分のバンドに戻ったと聞きました。新しいベースは誰になるんですか。
J:新ベースは、ジャグウォー・マのジャック・フリーマンなんだ。「ジャック」が2人になる。彼らとはツアーを共にしたことがあるし、このバンドのメイン・ソングライターの一人でプロデューサーのジョノとはレコーディングをしたこともある。ジャックはすごくいいヤツで、すでにバンドになじんでいる。この2週間、彼を含めてリハをやってるんだが、すごくいい感じなんだ。一緒にツアーに出るのが楽しみだ。
――ジャグウォー・マの方は、ベースがしばらくいなくなっちゃって大丈夫なんですか。
J:大丈夫みたいだよ。僕たちはオリジナル・ベースが脱退してしまった割には恵まれている。去年はジェレミーが本当によくやってくれた。しっかりバンドに溶け込んでくれ、皆彼のことが好きだった。今度のジャックもすごくいい。バンドにうまくハマッてくれそうだ。
■アルバム
――最新作『エヴリシング・ノット・セイヴド・ウィル・ビィ・ロスト-パート1』、『パート2』という壮大な叙事詩のようなアルバムを2枚作ったあと、フォールズは一体どこへ向かうのでしょうか。
J:自分たちでも見当がつかないね。まだ話し合ったわけでもないし、曲を作り始めたわけでもないし。でも、この間ヤニスがちょっとした新曲のアイデアを出してきてね。それを聞いて気持ちが高ぶった。何しろ、前作2枚の制作を終えてから初めて聞く新曲だったから。さぁて、どうなるかな。めっちゃポップな方向へ行くかもしれないし、どうしようもなく変わったことをするかもしれない(笑)。
――そのヤニスの新曲ってすごく気になるんですけど。
J:何というか、イントロがちょっとストーンズの「ギミー・シェルター」みたいで、中身はレッド・ツェッペリンぽくもある正統派ロック。ベストな意味での正統なロックだね。
――いち早く教えてくれて、ありがとうございます。フォールズの曲は、とてもドラマチックなため、たくさんの曲がイギリスではドラマなどに使用されています。『パート1』からの「In Degrees」が最近BBCのドラマ「ギリ/ハジ」に使われたり。近作2枚から他に番組や映画に曲が使われる予定はありますか。
J:それが、自分たちでは全然わからないんだ。イギリスでは、楽曲使用料は自動的に支払われるけど、曲の版権所有者に知らせる義務がないんだ。だから、たまたまTVを見ていて自分たちの曲が使われているのを発見して、おっ、クールじゃん、なんて思ったりする。
――御本人たちが把握してないとは知りませんでした。
J:してないんだよ。この間なんか、「エンバレッシング・ボディーズ」という体の醜い部分の悩みを皆が語り合う番組でいきなり「Cassius」がかかってビックリした。
――「The Runner」みたいな曲が、たとえばの話、東京オリンピックのTV中継のテーマソングなんかに使われたらかっこいいんじゃないかとひらめいたんですが。
J:ほんとだ。歌詞といい、曲の雰囲気といいぴったりだね。おもしろいよね、曲を作っている時は、何かに使用しようなんて一切意識してないのに、あとから、あれにいいかもこれにいいかも、と思いつく。「The Runner」はヘヴィ・ロック・チューンだから、そう言われてみれば、スポーツにうってつけだね。
――今年は東京オリンピックの年ですが、スポーツやオリンピックに関心ありますか。
J:大いに。十代のころサッカーをやっていたし、ここ数年はサイクリングに凝っている。オリンピックって、人間が膨大な時間を自己に投資してスポーツを極めた最高の姿を見せてくれる場。すばらしいよ。2012年のロンドン・オリンピックもまだ記憶に新しい。国全体が盛り上がれる機会でもあるよね。日本にとっても、今回のオリンピックは特別なものになると思う。
――ジャックはスケートボードをやると聞いてますが、今度のオリンピックで初めてスケボーが種目に含まれるんですよね。
J:あっ、それ、聞いたよ。いいことだと思う反面、変な感じもする。スケートボードってとてもクリエイティブなものだから、あれが正式なスポーツと位置づけられてしまうことにちょっと抵抗がある。でも、ま、いいか。僕も長年スケボーやってきているから、技を極めた人の演技を楽しむことにするよ。
■日本
――3月に単独日本ツアーが予定されています。
J:そう。もう何回目になるかな。数えてみると、少なくとも僕は5、6回日本へ行っている。ツアーだけじゃなくて、個人的に旅行もしてるから。
――個人的にも行ってるんですね!
J:そう。ツアーで行くと、一都市に1日しかいられないから、自分で旅行し直したんだ。数年前に。京都へ行ってみたかったし。ツアーでは回れないところを訪ね。ツアーではできない体験をしてみたかった。リョカンに泊まったりとか。発音違ってたらすみません。
――大丈夫、合ってますよ(笑)。
J:リョカンに2軒泊まった。最高にエキサイティングだった。イギリスにはない形態の宿泊施設だから。あと、けっこう食べ物にこだわる方なんだけど、中でも日本食が大好きで。日本へ行ったら、食べ歩きが楽しみ。特に何って、もう挙げきれないよ。アイ・ラブ・ヤキニク、ラーメン、シャブシャブ、スキヤキ。築地が引っ越す前にスシも食べにいったよ。目の前で魚をさばいて、世界一新鮮なスシだね。
――京都でどこへ行ったか覚えていますか。
J:とにかくお寺をたくさん訪ねた。奥行きのある長い商店街にも行った。カプセル・ホテルにも泊まってみた。
――本当ですか!
J:あれは楽しかったな。他でできない体験だ。とはいえカプセル・ホテルって、ちょっとツアー・バスで寝るのに似てるんだ。だから、どこかなじんだ感覚でもあった(笑)。バーにも何軒も入った。本当にいい旅だった。新幹線、最高。新幹線に乗るのって、景色を見るのにベストな方法じゃない? 景色がよく、静かで速くて、イギリスの列車と大違いだ。
――そのほかに日本の印象的な思い出はありますか?
J:桜を見たことだね! 旅行はガールフレンドと行ったんだけど、彼女は日本が初めてだったので、ぜひいろんなことを体験してほしいと思った。京都にいる間中桜は開花せず、大阪に行った時もダメ。だけど、東京に戻って、帰国する前日になって一斉に花開いたんだ。その美しかったこと。明治神宮の隣の大きな公園で見た。彼女も感動してた。来月また日本へ行くんで、彼女にうらやましがられているんだ。
――あまり時間がないでしょうが、次回日本で行ってみたいところ、やってみたいことはありますか。
J:何とか1日だけ自由時間が取れそうなんだ。そうなったら、京都に1泊したい。ヤニスはまだ京都へ行ったことがないので、ヤツを連れていきたいんだ。前に泊まった旅館を予約しようと思ってる。バンドでツアーしてると、どうしても無味乾燥なホテルにばかり泊まりがちになるから、途中に旅館を入れると新鮮だし、いい思い出になると思う。
――サマーソニックをふり返って、日本のオーディエンスの反応はどうでしたか。
J:すごくよかったよ。特に、前作『What Went Down』のツアーでは日本へ行けず、すごく久しぶりだったから、新曲を披露でき、それに対して温かい反応を返してもらってうれしかった。日本では、ミート&グリートで直接ファンに会うのも楽しい。みんな熱いしフレンドリーだし。
――3月の日本公演はどんなものになりますか。
J:フェスティバルの時は時間が短いので、どうしてもヒット曲中心になるが、単独公演だと1時間半から2時間あるので、曲数を格段に増やし、全体もっとディープなセットが構成できると思う。『パート2』からの曲もたくさんやる予定。聞きどころは、アルバムのラストの曲「Neptune」。壮大で、エネルギーあふれる曲だから、ライヴも聞き応えのあるものになるだろう。フォールズをよく知る人にも、ライヴを初めて見る人にも楽しめるものにしたい。よく知られている曲とツウ好みの曲を織り交ぜて。去年から、大昔のアルバム『Total Life Forever』の曲を掘り起こして演奏してるんだけど、いい反応が返ってきてるし。年頭で、皆やる気にあふれていて、何もかもが楽しみだ!
――ビジュアルの方はどうですか。
J:『パート2』に関連したビジュアルも作ってるし、一方、曲は幅広く演奏したいから、どの曲にも当てはまるビジュアルも作っていて、両方を配合することになるだろう。今回は数パターンがあって、まだどれをアジア・ツアーに持っていくか決まってないので、詳細は言えないけど、クールなライトショーが見られる、これは確か。曲も増え、本物のビッグ・ショーができる立場になったので、『パート2』をたずさえてのライヴを早く見てもらいたいな。
――では、最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
J:長年に渡る愛とサポートをありがとう! 日本は世界一好きな国。こんなに好きになった理由の一端は、ファンが熱心に応援してくれたことにあるんだ。
アイ・ラブ・ジャパン。ラブリー・ガイズ。3月に会うのを楽しみにしているよ!
(取材・文:清水晶子Akiko Shimizuロンドン在住ジャーナリスト)