広島の被爆から75年の年に行なわれた広島交響楽団による「平和の夕べ」コンサート。被爆した「明子のピアノ」にインスパイアされた藤倉大が作曲したピアノ協奏曲(広島交響楽団委嘱)の世界初演を含むライヴの模様を高音質なハイブリッド・ディスクで聴く
広島の被爆75年という節目の年である2020年8月に広島で2日にわたって行なわれた広島交響楽団(広響)による「平和の夕べ」コンサート。「被爆75年」…それは広島に原子爆弾が投下された1945年8月6日から数えた歳月を指します。広響は毎夏この日に思いをはせ「平和の夕べ」コンサートを催してきましたが、2020年のコンサートは特別なものになりました。
被爆した「明子さんのピアノ」が、奇蹟的に修復されて保存されていることを知ったロンドン在住の作曲家、藤倉大がそのピアノからインスパイアされ、広響の委嘱により作曲した新しいピアノ協奏曲は、藤倉の申し出を快く受け入れた巨匠マルタ・アルゲリッチを迎えて行われる予定でしたが、折からのコロナ禍により来日できず、かわって広島出身のピアニスト、萩原麻未によって初演されました。管弦楽とピアノが協奏する前半部はグランド・ピアノで、ピアノだけが演奏する「カデンツァ」とされた後半部はアップライトの「明子さんのピアノ」を使って弾かれたこの「Akiko`s Piano」は、単なる鎮魂の曲ではありません。その響きが意味するものは……それはぜひ聞き手のみなさんに考えていただきたいと思います。
演奏会ではほかにメモリアル・イヤーだったベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番の所謂「カヴァティーナ」と呼ばれる第5楽章の弦楽合奏版(この曲をベートーヴェンは涙を流しながら作曲したと伝えられています)、世界で活躍するメゾソプラノ、藤村実穂子を迎えたマーラーのオーケストラ歌曲「亡き子をしのぶ歌」、小澤征爾など多くの優れた音楽家を育てた齋藤秀雄によって管弦楽化されたバッハの無伴奏ヴァイオリンのための「シャコンヌ」などが演奏されました。そのほとんどを収録したこのライヴ・アルバムからは、間違いなく未来への希望が聞き取れることでしょう。
高音質ハイブリッド・ディスクでのリリースとなります。またDSDを含むハイレゾ配信も同時に行われます。
商品情報
『藤倉大:Akiko's Piano-広島交響楽団2020「平和の夕べ」コンサートより』
演奏:下野竜也(指揮)広島交響楽団 萩原麻未(ピアノ)藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)
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収録曲目
1.藤倉大:ピアノ協奏曲第4番「Akiko's Piano」(広響委嘱・世界初演)
2.ベートーヴェン:カヴァティーナ(弦楽四重奏曲第13番より・弦楽合奏版)
3.マーラー:歌曲集「亡き子をしのぶ歌」
4.J.S.バッハ(齋藤秀雄編):シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より・管弦楽版)
ハイブリッド・ディスク:SICX-10011 3,000円+税
日本盤発売日:2021年3月24日(水)
ハイレゾ配信(DSD2.8/PCM96kHz/24bit)同時