視聴率60%を記録!巨匠ティーレマンがウィーンの香りに満ちたニューイヤー・コンサートを指揮、収録からわずか5日で本日先行単曲配信スタート。
Photo:Heinz Peter Bader
1月1日に行なわれたウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートが収録後わずか5日で本日からデジタルでの先行シングル配信がスタートした(国内盤CDは1月24日発売予定)。
今回が2019年以来2度目の同コンサート登場となるクリスティアン・ティーレマンの指揮のもと、黄金のムジークフェラインザールに集ったフルキャパシティの聴衆、そして放送やオンラインで中継された世界90ケ国(日本も含む一部の国では録画放送)が見守る中で午前11時15分から開催された地元オーストリアでは、TVの視聴率が何と60%に達する高視聴率となった。オーストリア国内だけで114万人が見た計算となる。
ウィーンの地元紙『クーリエ』は、「新年のスタートはウィーンの香り満点・・・美の饗宴」、「マエストロ・ティーレマンは絶好調で、聴き手を魅了」と絶賛している。
今年のニューイヤー・コンサートでは、ティーレマン自身が年末の記者会見で述べた「ここ数年で強化されたウィーン・フィルとの絆と大きくなった相互の信頼関係」を強く感じさせる、実に息の合った華やかな演奏が繰り広げられた。毎年注目が集まる初登場曲は、公式演目15曲のうち9曲。初登場曲の目玉は、今年2024年に生誕200年を迎えているブルックナーの作品で、リンツ時代に作曲したピアノ曲にヨーゼフ・ランナー協会のヴォルフガング・デルナーがオーケストレーションを施した「カドリーユ」(本日より配信中)が演奏されたことだろう。ニューイヤー・コンサートでブルックナーの作品が取り上げられるのはこれが初めて。ティーレマンといえばブルックナーの交響曲を十八番とする巨匠であり、昨年10月にはウィーン・フィルとの共演で交響曲11曲を収めた全集録音をソニークラシカルから発表したばかり。シンフォニスト・ブルックナーとは思えないチャーミングな作品にも、指揮者・オーケストラと作曲者との親和性が息づいていた。
またヨハン・シュトラウス2世の遺作「イシュル・ワルツ」は、風光明媚なリゾート地として知られ、ヨハン2世も含む名士たちがこぞって訪れたバート・イシュルが、今年の「欧州文化首都」に選ばれていることにちなんで取り上げられた。またウィーンの上水道開設(1873年)を機に作曲されたエドゥアルト・シュトラウスのワルツ「山の湧水」は、地球規模の課題である環境保護の重要性を訴えるべく演目に組まれ、ウィーン・フィルからオーストリア・アルプス協会の環境保護プロジェクトに10万ユーロが寄付されたことが発表されている。
ウィーン・フィルとゆかりの深いヘルメスベルガー2世のバレエ曲「イベリアの真珠」の間奏曲「学生音楽隊のポルカ」は、その前の「新ピチカート・ポルカ」とともに、ニューイヤー・コンサートの選曲時にティーレマンが「ピチカートの入った曲を演奏しよう」という希望を受けて選ばれたものである。
アンコールは人気のポルカ・シュネル「騎手」のあと、定番の「美しく青きドナウ」(配信中)と「ラデツキー行進曲」(配信中)が続いた。前者の演奏前にはティーレマンがいつもより長めのスピーチ*を行い、後者では客席が一丸となった拍手をティーレマンが巧みにコントロールして、華やかにコンサートを締めくくった。また同時にヨハン2世の生誕200年アニバーサリーとなる2025年のニューイヤー・コンサートの指揮者がリッカルド・ムーティであることも発表された(2020年以来7度目の登場)。
*ティーレマンのスピーチ訳
「戦争や不寛容によって引き裂かれた世界はとても不愉快なものです。本日、皆様が聴いておられるとても美しい音楽は、人々の気持ちを変えてくれるでしょう。時には感傷的で、時には大げさなくらい感情を際立たせた、素晴らしく変化に富んだこれらの音楽について、皆様がそれぞれの思いを抱かれておられると思います。それらについてどう考えるか、何を望むかは、すべて皆さんひとりひとりに委ねられています。それでもこのホールにいるほとんどの人の考えや望みは一致していると思います。それゆえに、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と私はみなさまにこうして新年のご挨拶を申し上げます:あけましておめでとうございます。」
Photo:Heinz Peter Bader
発売概要
[アルバム・タイトル/アーティスト]
ニューイヤー・コンサート2024 / クリスティアン・ティーレマン&ウィーン・フィル
[発売日]
◎デジタル配信(通常配信および24ビット96kHzハイレゾ配信・ストリーミング)
先行単曲配信(3曲)2024年1月5日
ブルックナー:カドリーユ WAB 121 ‣配信リンク
ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」作品314 ‣配信リンク
ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲 作品228 ‣配信リンク
アルバム全曲 2024年1月12日予定 ‣アルバムリンク
◎国内盤(日本プレス)
2CD:SICC 2352~3 2024年1月24日予定 定価\3,190
ブルーレイ:SIXC 105 2024年2月14日予定 税込\6,270
◎輸入盤(ヨーロッパ・プレス)の日本発売予定日
2CD:19658858932 2024年1月19日予定
DVD:19658858949 2024年1月26日予定
BD:19658858959 2024年1月26日予定
3LP / VINYL:19658858971 2024年1月26日予定
いずれもオープン価格
■CD
[収録曲]
CD 1
[第1部]
カール・コムザーク2世
1 アルブレヒト大公行進曲 作品136★
ヨハン・シュトラウス2世
2 ワルツ「ウィーンのボンボン」作品307
ヨハン・シュトラウス2世
3 ポルカ・フランセーズ「フィガロ・ポルカ」作品320★
ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世
4 ワルツ「全世界のために」★
エドゥアルト・シュトラウス
5 ポルカ・シュネル「ブレーキかけずに」作品238
[第2部]
ヨハン・シュトラウス2世
6 オペレッタ「くるまば草」序曲
ヨハン・シュトラウス2世
7 「イシュル・ワルツ」遺作ワルツ 第2番★
ヨハン・シュトラウス2世
8 「ナイチンゲール・ポルカ」作品222★
エドゥアルト・シュトラウス
9 ポルカ・マズルカ「山の湧水」作品114★
CD 2
ヨハン・シュトラウス2世
1 「新ピチカート・ポルカ」作品449
ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世
2 バレエ「イベリアの真珠」から「学生音楽隊のポルカ」★
カール・ミヒャエル・ツィーラー
3 ワルツ「ウィーン市民」作品419
アントン・ブルックナー
4 カドリーユ WAB 121 [管弦楽編曲W. デルナー]★
ハンス・クリスティアン・ロンビ
5 ギャロップ「あけましておめでとう!」★
ヨーゼフ・シュトラウス
6 ワルツ「うわごと」作品212
[アンコール]
ヨハン・シュトラウス2世
7 ポルカ・シュネル「騎手」作品278
8 新年の挨拶
ヨハン・シュトラウス2世
9 ワルツ「美しく青きドナウ」作品314
ヨハン・シュトラウス1世
10 ラデツキー行進曲 作品228
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン
*シュトラウス一家の作品名は日本ヨハン・シュトラウス協会刊の『ヨハン・シュトラウス2世作品目録』(2006)、『ヨーゼフ・シュトラウス作品目録』(2019)に従っています。
★ニューイヤー・コンサート初演奏の作品(9曲)
[録音]2024年1月1日、ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング