アンドレア・バッケッティ

1977年、イタリア、ジェノヴァ生まれ。早くから音楽の才能を示し、4歳でピアノを学び始める。ジェノヴァ・パガニーニ音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム、パリ高等音楽院で学ぶ。ザルツブルクでは指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの目にとまり、貴重なアドバイスを受ける。11歳でミラノにおいてクラウディオ・シモーン指揮イ・ソリスティ・ヴェネティとの共演でプロ・デビュー。ルドルフ・バウムガルトナー率いるルツェルン祝祭合奏団とは、ルツェルン音楽祭への出演を含むヨーロッパ・ツアーを行なう。ルツェルンでは名ピアニスト、ミエチスラフ・ホルショフスキの知己を得、薫陶を受ける。また同じく名ピアニストであるニキタ・マガロフにも称賛を受けた。イモラ音楽アカデミーでのマスタークラスを終えて、国内外で本格的な演奏活動を開始。1996年プレミオ・ヴェネツィエ・コンクール、2006年ウンベルト・ミケーリ・コンクール入賞。作曲家ルチアーノ・ベリオに認められ、2000年から2001年にかけて作曲者監修のもと、1990年までに作曲されたベリオのピアノ独奏曲全曲をデッカに録音(2004年発売)。

 レパートリーはバッハから20世紀作品まで幅広く、特にバッハのクラヴィーア曲は最も重要なレパートリーであり、中でも「ゴールドベルク変奏曲」を好んで取り上げている。そのほかソロ・リサイタル・協奏曲のレパートリーとしては、ベートーヴェン(ソナタ第1番~第3番・第30番、ピアノ協奏曲第2番・第4番)、モーツァルト(ピアノ協奏曲第4番・第7番・第9番・第11番~13番・第17番・第27番)、メンデルスゾーン(ピアノ協奏曲2曲、華麗なるカプリッチョ)、シューマン、ショパン(練習曲全曲、即興曲全曲ほか)、フランク(交響詩「鬼神」、交響的変奏曲)、リスト、ブラームス(作品79・作品109・作品116)、グリーグ(ピアノ協奏曲)、スクリャービン、ラフマニノフ(音の絵、前奏曲集)、プロコフィエフ(ソナタ第4番)、ドビュッシー(喜びの島)、ショスタコーヴィチ(ピアノ協奏曲第1番)、ガーシュウィン(ピアノのための前奏曲)、そしてチマローザからベリオにいたるイタリア人の作曲家によるピアノ作品などがある。

 録音にも早くから積極的で、Arts Music(クレメンティ:グラドゥス・アド・パルナッスム、メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番、華麗なるカプリッチョ、華麗なるロンドほか[プラハ室内管弦楽団の弾き振り、2004年録音])、Decca(バッハ:イギリス組曲全曲[2005年録音]、ベリオ:ピアノ独奏曲全曲[2000年~2001年録音])、Dynamic(バッハ:インヴェンションとシンフォニア全曲、フランス組曲第6番、パルティータ第2番、前奏曲集[以上2008年録音]、ゴールドベルク変奏曲[2010年11月録音]、トッカータ全曲[2010年10月、12月録音]、モーツァルト:ピアノ協奏曲第11番~第13番)などのレーベルに多数のアルバムを発表しているほか、Arthausからは映像による「ゴールドベルク変奏曲」(2006年ヴィツェンツアで収録、ボーナスCDとして2007年サヴォーナでのライヴ録音付き)をリリースしている。

 2006年からイタリア・ソニーに録音を開始。RCA Red Sealレーベルには、ケルビーニ(2006年録音)、ガルッピ(2007年)、B.マルチェッロ(2010年)、ドメニコ・スカルラッティ(2012年)とイタリアの作曲家による作品集を手稿譜や筆者譜に基づいて録音するプロジェクトを継続する一方で、2011年にはSony Classicalレーベルに、「バッハ:鍵盤作品全曲録音」を開始。フランス組曲全曲(2011年録音、同年録音のトッカータBWV914、パルティータ第2番も収録)を皮切りに、2013年にはイタリア協奏曲を含む「イタリア様式のバッハ」を発表している。

 2005年初来日。2012年にはファビオ・ルイージの推薦でパシフィック・ミュージック・フェスティヴァルに出演し、モーツァルトのピアノ協奏曲第17番と室内楽を演奏、「バッケッティは天才ピアニスト」と絶賛を博す。2014年7月、日本での初のリサイタル・ツアーが予定されている。


オフィシャル・ホームページ http://www.andreabacchetti.net/