ウェルドン・アーヴィン
ニーナ・シモンのブレインとしても有名なキーボード奏者/コンポーザー=ウェルダン・アーヴィンは、ジャズ・ピアニストとして活動を始めたがその後テクノロジーの発展と共に多くのキーボードを操るようになり、70年代に入り自主制作で2枚、インディ・ジャズ・レーベルから1枚のアルバムを残した後、RCAに移籍し彼の経歴の中でも特にソウル色が強いといわれる3枚のアルバムを残した。

その後本人名義での活動は影を潜めたが、90年代に入り、レア・グルーヴ、ジャズ・ファンク・ファンの間で再評価されたり、マスターウェル名義で、ヒップホップの12インチ・シングルを出したり、ATCQのニュー・アルバムにも参加したりと、影ながら活動を続けていた。

いまだにジャズ・シーンよりもクラブ系のリスナーやDJからの人気の高いキーボーディストで、彼のフレーズの多くがヒップホップ系のアーティストたちにサンプリングされてきたが、近年若くして自らの手により命を絶ってしまった。

しかし多くのブラック・ジャズ・リスナーや、ヒップホップ・アーティストからもリスペクトされ、彼の功績は語り継がれている。 ビースティ・ボーイズらのリミックスやアルカホリックスなどのプロデュースでも知られる名ヒップ・ホップ・プロデューサー=MADLIBもトリビュート盤を出しており、最も影響を受けたアーティストの一人として挙げているほど。 黒人音楽を凝縮したようなウェルドンのスピリチュアルな演奏は当時から革新的で、今でもそのサウンドは全く古く感じない。