ヴェッセリーナ・カサロヴァ
ブルガリア生まれのヴェッセリーナ・カサロヴァは、今日の最も目ざましいメゾ・ソプラノ歌手の一人。ピアノ部門でコンツェルトのディプロマを得た後、歌の道に進むことを決意し、その後まもなくソフィア歌劇場(ブルガリア)で多くの役をこなすようになる。ドイツ北部の都市ギュータースローで行われた「新しい声(Neue Stimmen)」コンクールで優勝し、1989年、チューリヒ歌劇場と契約を結ぶ。1991年にザルツブルク音楽祭に出演してからは、常連として招かれている。

 1991年にロッシーニ《セヴィリアの理髪師》のロジーナ役でウィーン国立歌劇場にデビューして以来、当地で2年間アンサンブルのメンバーを務めた。その後は――特にモーツァルトおよびベルカント・オペラのたぐいまれなスペシャリストとして――、ミラノのスカラ座やニューヨークのメトロポリタン歌劇場など、一流の歌劇場で出演を続けている。ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場ではグルックの《オルフェオとエウリディーチェ》で、多くのファンを魅了した。最近ではミュンヘン放送管弦楽団とともにモーツァルトの《皇帝ティートの慈悲》で現代最高といわれるセストを歌っている(ライヴ・レコーディング発売中)。

録音も多く、ロッシーニ《タンクレーディ》、マスネ《ウェルテル》、ドニゼッティ《ファヴォリータ》(フランス語版)、ベルリーニ《カプレーティとモンテッキ》、ウェーバー《オベロン》などのオペラ全曲盤に参加しているほか、モーツァルトのオペラ・アリア集、ロッシーニのアリア&デュエット集、フランス・オペラ・アリア集、シューベルト、シューマン&ブラームスの歌曲を収めたリサイタル盤などのソロ・アルバムでも高い評価を受けている。