青年バルトークの知られざる傑作「ピアノ四重奏曲」、ついに世界初録音。心震わせるハンガリー世紀末の響きが呼応しあう。~ベルリン出身の気鋭のピアノ・カルテット、ソニー・クラシカル・デビュー!
2019年7月来日記念盤|デビュー・アルバム|世界初録音曲収録
ハンガリアン・トレジャーズ
~バルトーク, ドホナーニ、コダーイ作品集
ノトス・カルテット
Notos Quartett / Hungarian Treasures - Bartók, Dohnányi, Kodály
■品番 1CD: SICC-30508 ■発売日: 2019年5月22日 ■定価: ¥2,500+税
■特記事項: Bluspec CD2 ■レーベル: Sony Classical
Ernst von Dohnanyi Zoltan Kodaly Bela Bartok
[収録曲]
ドホナーニ
1. ピアノ四重奏曲 嬰ヘ短調(1891-93)
コダーイ
2.弦楽三重奏のための間奏曲(1905)
バルトーク
3.ピアノ四重奏曲 ハ短調 BB13[作品20/Sz9](1898) [世界初録音]
[演奏]
ノトス・カルテット
シンドリ・レーデラー(ヴァイオリン) アンドレア・ブルガー(ヴィオラ)
フィリップ・グラハム(チェロ) アントニア・ケスター(ピアノ)
[録音]2016年2月29日~3月4日、ベルリン、ブリッツ・スタジオ [エクゼクティヴ・プロデューサー]シュテファン・ラング [レコーディング・プロデューサー]シビル・シュトローベル [レコーディング・エンジニア]トーマス・モンナヤーン
青年バルトークの知られざる傑作「ピアノ四重奏曲」、ついに世界初録音。心震わせるハンガリー世紀末の響きが呼応しあう。
■2007年にベルリンで結成され、現在ヨーロッパの室内楽シーンで大きな存在感を誇るピアノ四重奏団、ノトス・カルテットのデビュー・アルバムがRCA Red Sealから登場します。ギリシャ神話の「南風」(=ノトス:「ランポス(光)とファエトン(輝く者)という名の2頭の馬がひく戦車に乗り,太陽神の先駆けとなって大空をはせる女神」「〈ばら色の指をもてる〉〈サフラン色の衣をまとえる〉女神」)の名を冠すノトス・カルテットは、オランダのチャールズ・ヘンネン、イタリアのヴィットリオ・グイ国際などの室内楽コンクールなど、数々の国際音楽コンクールにて第1位や優秀賞を獲得。2014年の大阪国際室内楽コンクールでは、ピアノ三重奏及びピアノ四重奏部門で第2位を受賞しています。ロンドンのウィグモア・ホール、アムステルダムのコンセルトヘボウ、ベルリンのコンツェルトハウスなど、ヨーロッパの主要都市での公演や音楽祭への出演が目白押し。その音楽性の高さを「ファンタスティックなアンサンブルだ」(ズービン・メータ)、「素晴らしい、これこそ真の音楽性の高さだ」(リン・ハレル)、「メンバー同士のみならず、聴衆へのコミュニケーションの力が素晴らしい」(シュロモ・ミンツ)など、名だたる巨匠演奏家たちが絶賛しています。また若手の奏者を育成する「ノトス室内楽アカデミー」を通じて教育的活動にも力を入れています。
■結成10年を経てようやく実現したこのデビュー・アルバムには、20世紀ハンガリーを代表する3人の作曲家による室内楽3品を収録。中でも世界初録音となるバルトークのピアノ四重奏曲ハ短調は注目です。バルトーク17歳の1898年に書かれたこの作品は出版されておらず自筆譜も紛失されたと言われていましたが、ノトス・カルテットのメンバーらは何年もかけて探索しついにその楽譜を発見し、録音を実現。若きバルトークが渾身の力を込めて書き上げた作品はまさにブラームスを思わせるような後期ロマン派的作風の中に後年のバルトークの個性が明滅する傑作です。
■カップリングはバルトークと同世代のドホナーニによる、やはり若書きで作曲者没後に出版された唯一のピアノ四重奏曲、それにコダーイによる弦楽三重奏のための間奏曲と、いずれも極めて珍しい作品が選ばれています。いずれも19世紀末から20世紀初頭にかけての作品で、後期ロマン派的作風の中に新たな時代の胎動の萌芽を聴きとることができます。2017年の発売時にドイツの権威ある音楽賞「エコー賞」を受賞しています。
■2019年ノトス・カルテット来日公演
7月2日(火) 19:00 京都コンサートホール https://www.kyotoconcerthall.org/business/?key=1306
7月3日(水) 19:00 宗次ホール http://www.munetsuguhall.com/20190703M1.pdf
7月5日(金) 19:00 王子ホール http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2019/20190705.html
助成:ゲーテ・インスティトゥート
[演目]
バルトーク:ピアノ四重奏曲 ハ短調 Op.20, Sz9(日本初演)
ブライス・デスナー*:エル・チャン[*ブライス・デスナー=インディ・ロックバンド「ザ・ネイションズのギタリスト]
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 Op.25
■大切に育んできた夢の実現~ノトス・カルテット、大いに語る
――デビューCDとしてはとても刺激的で珍しいプログラムで、大変に大胆な録音ですが、このようなプログラムになった背景は?
私たちがこのディスクの録音にとりわけ熱中しこだわったのは、このレパートリーが、私たちがずっと以前から大切に育んできたある夢を象徴しているからです。未発見の作品やこれまでに演奏されたことのない作品がないかと捜していると、まさに宝石のような作品に出会うことがよくあります。そういうセンセーショナルな発見のひとつが、今までずっと書庫の中に埋もれていた、バルトークによる素晴らしいピアノ四重奏曲です。この作品はバルトーク自身によって一度演奏されたあとは1964年にハンガリーで行われたコンサートで一度演奏されただけでした。それだけに、この作品の録音を世に出せることは私たちにとってなおさら大きな喜びになっています。
――基準となる録音が存在しないために、レパートリーのほかの作品とは違うアプローチが必要だったということはありますか?
どの作品でも進め方は基本的には同じです。ただ、バルトークのピアノ四重奏曲を録音する初めての奏者になるというのは、私たちにとってはかけがえのない素晴らしい経験でした。もちろん、とりわけ興奮させられたのは、自筆譜から直に演奏できるということでした。バルトークが私たちに直接語りかけているような、自分たちはバルトークとつながっているのだという感覚がありました。この作品の録音がほかに1つもないということは、私たちが全くバイアスのかかっていない、先入観のない状態でこの作品に取り組むことを可能にしてくれたと思います。