マックスウェル、長くこの日を待ち続けたファンとの親密で感動の初来日公演&プレミアム・イベントを開催!
グラミー受賞歴も誇るR&Bシンガー=マックスウェルが約8年振りに来日し、8月18日(木)にはプレミアム・トーク・イベント、翌8月19日(金)には『アーバン・ハング・スウィート』でのデビューから20年で初となる来日公演が開催されました。「アイシテマス!」を何度も叫ぶなど、長くこの日を待ち続けたファンにとって、そしてマックスウェルにとっても歴史的な感動の2日間となりました。以下イベント&ライヴ・レポートです。
この瞬間を、どれだけ待ち焦がれたことか。『アーバン・ハング・スウィート』でのデビューから20年の歳月を経て、遂にマックスウェル初の来日公演が8月19日(金)新木場スタジオコーストにて開催された。しかも、キャリア最高傑作との呼び声高い7年ぶりのニュー・アルバム『ブラック“サマーズ”ナイト』のリリース直後という絶好のタイミングだ。
そんな日本のR&Bファンにとっての「歴史的記念日」を目前に控えた公演前日、マックスウェル本人が出演する超プレミアム・イベント『ア・ブラック“サマーズ”ナイト・ウィズ・マックスウェルが行われた。神秘的なアーティスト・イメージとは裏腹に、人懐っこい笑顔を振りまきながら登壇したマックスウェル。1998年のプロモーション来日以来の日本への帰還に、彼は「故郷に戻ってきたような気分だよ!」と喜びを露わにした。
今年でデビュー20周年を迎えるマックスウェルが、現在までに残したオリジナル・アルバムはわずか5枚。その寡作ぶりを問われた彼は「アイムソーリー!」と照れ笑いを浮かべると、一転真剣な面持ちで「ただ、僕は決して自分だけのために作品をつくっているんじゃないんだ」と告白。「リスペクトしている過去の偉大なアーティストたちをがっかりさせたくない。偉大な彼らに見合うだけの作品を自分もつくっていかなければいけないんだ」と、完璧主義の奥に秘めた真摯なミュージシャンシップを垣間見せた。
そして、日本での初めてのステージに向けて、マックスウェルは天に拳を掲げてファンにこう呼び掛けた。「ゴークレイジー!とにかくみんなには楽しんでほしい。もちろん踊ってもいいし、大騒ぎしたってかまわない。これはお祝いなんだよ、なんでもアリなんだ。2016年、みんなで盛り上がっていこう!」ーーそう、興奮しているのは我々だけではない。マックスウェルだって同じなのだ。「自分の20年のキャリアを振り返って気づかされたのは、みんなが僕を応援してくれたその思いなんだ。みんなが僕を破滅から守ってくれたってことを実感してるよ。世に作品を出すことで人々から注目されて、そうしたなかで賞賛されることもあれば非難されることだってある。人々にパーフェクトなイメージを抱かれて、その結果失望させてしまうのはアーティストにとってとても怖いことなんだ。それによって、自分が破滅しそうになった瞬間がこれまでに何度もあった。でも、それでもこうしてやってこれたのは、みんなが僕の音楽を聴いて感じ取ってくれた思いが空に舞い上がって、僕を守ってくれたからだと信じている。みんなは僕にとっての秘密の守護天使(ガーディアン・エンジェル)だと思ってるよ」
そして遂にマックスウェルがデビューから20年をかけてようやく日本のステージに立った。彼が夏に捧げた最高にロマンティックな音楽を、待ち続けたファンが夏の真っ只中に生で体感し、共に感動の時間を過ごした伝説のライブとなった。
(イベント・レポート: 高橋芳朗)
<マックスウェル初来日公演ライブ・レポート>
遂に!というか、まさか?の来日公演が実現したマックスウェル。デビュー20年目にして初の来日公演が8月19日(金)、東京・新木場スタジオコーストにて行なわれた。
プリンスのヒット曲「キッス」や短編映像に続いて、ファースト・アルバムのオープニング曲「アーバン・テーマ(夜のはじまり)」でスタート。なんとマクスウェルは日の丸を翻しながら登場。その瞬間、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。とにかく身のこなしがスマートで華麗。キレのいいステップに目が釘付けだ。「ダンス・ウィズ・ミー」〜「EVERWANTING:永遠の夜」〜「バッド・ハビッツ」と途切れることなく披露されるのは、如何にもネオ・ソウルのライブ進行。トークからスルリと歌へと移行しながら、終始ファンキーで甘味なグルーヴを届けてくれた。
バック・バンドの顔ぶれは、つい先ごろリリースされた7年ぶりの最新アルバム『ブラック“サマーズ”ナイト』とほぼ同じ。トランペット・ソロや、キーボード奏者との掛け合いなど、見せ場もたっぷり。バンドとしての醍醐味もしっかり見せ付けた。
「ディス・ウーマンズ・ワーク」のカヴァーでは、ケイト・ブッシュのオリジナルと対比させてドラマチックに演出(日本語訳のテロップも付けられた)。美しいファルセットや深い低音のみならず、ざらつきのある中域ヴォーカルの魅力も特筆ものだった。他界したプリンスやモハメド・アリに加えて、元千代の富士(九重親方)や永六輔、大橋巨泉といった日本の著名人たちの姿も映し出され、会場を沸かせた。
また、ひと際突出していたのが、最新作『ブラック“サマーズ”ナイト』からの「レイク・バイ・ジ・オーシャン」〜「1990X」での躍動感。オーディエンスをどんどん巻き込んでいく開かれたグルーヴが、現在の彼のポジティヴな状況を物語っていた。その後、「アセンション」で幕を閉じるまで、彼はピタピタのパンツと革靴にも関わらず、開脚ダンスなどをキメまくり、それに応えるかのように会場はシンガロングとダンスで熱く揺れ続けた。
実際、日本のファンの反応の良さには彼自身も驚いていたようで、「20年間待たせて悪かった!」と何度も繰り返し、「まさかこんなにみんなが僕の音楽を知ってくれてるなんて!」と、しきりに感激。日本のステージを大いに楽しんでいたマックスウェル。ステージを立ち去る間際の「またすぐ来るよ!」という言葉は、素直にそのまま信じて良さそうだ。
ライブ・レポート: 村上ひさし
photo by Masanori Naruse
▽セットリスト
01. アーバン・テーマ(夜のはじまり)
02. ダンス・ウィズ・ミー
03. エヴリシング
04. ラヴ・ユー
05. ホステージ
06. ディス・ウーマンズ・ワーク
07. ライフタイム
08. レイク・バイ・ジ・オーシャン
09. 1990x
10. サムシン・サムシン
11. ゲット・トゥ・ノウ・ヤ
12. フォーチュネート
13. アセンション
【最新リリース情報】
最新アルバム『ブラック“サマーズ”ナイト』
発売中
<日本盤CD>
2,400円+税 / SICP-4786
◎歌詞・対訳・ライナーノーツ付
収録曲
01. オール・ザ・ウェイズ・ラヴ・キャン・フィール
02. ザ・フォール
03. III
04. レイク・バイ・ジ・オーシャン
05. フィンガーズ・クロスド
06. ホステージ
07. 1990x
08. ゴッズ
09. ロスト
10. オブ・オール・カインド
11. リッスン・ヒア
12. ナイト
<配信>
iTunes購入リンク
https://itunes.apple.com/jp/album/id1120484859/?app=itunes&ls=1
*iTunes、iTunes Storeは、Apple Inc.の商標です。
【プロフィール】
N.Y.ブルックリン出身のR&Bシンガー。10代のころから曲作りを行い高校を卒業してからシンガー・ソングライターとして活躍。すべて作詞/作曲を自身で行う才能豊かなアーティストで、21歳の若さでコロムビア・レコードと契約。96年にデビュー・アルバム『アーバン・ハング・スウィート』をリリース。98年にはセカンド『エンブリア』、01年にサード『ナウ』を発売。すべてのアルバムでプラチナ以上のセールスを記録。
2009年に全3部作となるアルバム『ブラックサマーズナイト』の第一弾となる『“ブラック”サマーズナイト』を発売、全曲ライブ・レコーディング(一発録り)で行われたこの作品は全米アルバム・チャート1位を獲得。また、翌年に行われた「第52回グラミー賞」で6部門にノミネートされ、シングル「プリティー・ウィングス」で<最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス賞>を、アルバムは<最優秀男性R&Bアルバム賞>を見事受賞し、長いブランクを感じさせない完全復活を遂げる。それから約7年、3部作第2弾となる『ブラック“サマーズ”ナイト』を今年7月にリリース、そして8月19日には悲願の初来日公演を敢行した。