キース・ロックハート(指揮) ボストン・ポップス・オーケストラ
1995年2月,キース・ロックハートは,1885年の創立から数えて,ボストン・ポップス・オーケストラの第20代の指揮者に指名された。彼の前任者は,1980年から1993年までその地位にあったジョン・ウィリアムズだった。35歳で任命されたロックハートだが,1930年からだと,このオーケストラを率いる3人目の指揮者にすぎない。アーサー・フィードラーが,その年以来前例のない50年間ここの指揮者にとどまっていたからである。

  ロックハートは,ボストン・ポップスの指揮者として,7シーズン,多忙なスケジュールをこなしてきた。彼は500回以上のコンサートを指揮し,44のテレビのショーに出演した。その中には,PBSの「ポップスの夕べ」(Evening at Pops)のための27の新しい番組,ボストンのWCVB−TV5で製作され,A&Eで全国に放送された毎年恒例の「ポップス・ゴウズ・ザ・フォース!」(Pops Goes The Fourth!),同じくA&Eで放送された「ポップスの休日」(Holiday at Pops)などが含まれている。ロックハートは,またカーネギー・ホールでのボストン・ポップスの2回の演奏会を指揮し,16回の国内演奏旅行,日本と韓国への2回の海外ツアーも行なってきた。彼の指揮のもと,オーケストラは,ツアーの活動の幅を広げ,全国のコンサート・ホールやスポーツ・アリーナに詰め掛けた熱狂する聴衆に対して演奏をしてきたのである。2002年2月には,ロックハートとオーケストラは,ニューオーリンズのルイジアナ・スーパードームでのスーパー・ボウル36のプレ・ゲームのショーに参加し,マライア・キャリーとアメリカ国歌を,メアリー・J・ブライジとマーク・アンソニーと「美しきアメリカ」(America The Beautiful)を演奏した。

  1959年,ニューヨークのパキプシーで生まれたロックハートは,7歳のときに音楽の勉強を始めた。グリーンヴィルのファーマン大学と,ピッツバーグのカーネギー・メロン大学で学位を修めている。ロックハートがボストン・ポップスに来る前は,シンシナティでシンシナティ交響楽団およびシンシナティ・ポップス・オーケストラの副指揮者を務めていた。1998年以来,彼は,ソルトレークシティーのユタ交響楽団の音楽監督の職にもある。この2月,ユタ交響楽団の音楽監督として,ロックハートは,ソルトレークシティーで行われた冬季オリンピックの開会式に参加した。

  客演指揮者としては,ロックハートは,シカゴ,クリーヴランド,ダラス,ロサンジェルス,ミネソタ,モントリオール,ニューヨーク,フィラデルフィア,サンフランシスコ,シンガポール,トロント,ヴァンクーヴァーなどの著名な交響楽団を指揮してきた。他の重要な仕事としては,初めての大規模なオペラのプロダクションとなるワシントン・オペラでのダグラス・ムーアの『子鹿の伝説』(The Ballad of Baby Doe)があり,また,最近,ニューヨーク室内楽団,ヒューストン交響楽団,新日本フィルハーモニー(2001年8月)などにも初めて客演した。2002年7月ボストン・ポップスと4回目の来日公演を行う。