ジョー・ヘンリー
<文:松山晋也>
元々ボブ・ディラン・フォロワー的スタンスでデビューし、オルタナ・カントリー風の作品を何枚も発表してきたジョー・ヘンリーだが、オーネット・コールマンを自作のゲストに迎えたり、ソロモン・バークの作品をプロデュースしたりと、近年の脱ジャンル的活躍ぶりには目を見張らされる。
彼がアンタイに移籍したのは、実にリーズナブルに思える。その第1作『タイニー・ヴォイシズ』では、これまで以上にフォーク、R&B、フリー・ジャズ、ヒップホップなど多彩な音楽要素が美しいハーモニーを奏でている。
絶妙なエクレクティシズムとディープなロマンティシズムで他を寄せつけない、孤高のアメリカーナ(アメリカン・ゴシック)・ドリーマーである。