7/31 ジョージ・セル空前の名演3タイトルが登場!セルが生涯をかけて極め上げたシューマン解釈の最終到達点。タワーレコード x "Sony Classical" 究極のSA-CDハイブリッド・コレクション 第7回発売
タワーレコード x "Sony Classical"究極のSA-CDハイブリッド・コレクション第7回発売
シューマン:交響曲全集、メンデルスゾーン:交響曲第4番&真夏の夜の夢/ジョージ・セル(3枚組)
Schuman: Complete Symphonies & Mendelssohn: Symphony No. 4 & Midsummer Night’s Dreams/George Szell
■品番:SICC10273~5 ■ハイブリッドディスク3枚組|SA‐CD層は2ch ■発売日:2019年7月31日
■定価:¥6,600+税 ■音匠レーベル使用 ■各ディスクは通常のジュエルケースに封入し、三方背ボックスに収納
■レーベル:Sony Classical ■日本独自企画 ・完全生産限定 ■世界初SA-CDハイブリッド化 ■初出:2019/6/19
セルが生涯をかけて極め上げたシューマン解釈の最終到達点。
■1958年から1960年にかけて収録されたセルによるシューマンの交響曲全集は、同時期に録音されたコンヴィチュニー/ゲヴァントハウス管盤やクーベリック/ベルリン・フィル盤と並び称されたアナログ時代の名盤です。セルは、19世紀後半から20世紀初頭のシューマン観に則り、オーケストレーションに緻密かつ大胆な改訂を施すことで、各パートがクリアにしかも見事なバランス感を持って浮き彫りにされ、全体の響きに埋没しがちな重要な声部にも光が当てられています。カップリングのメンデルスゾーンの「イタリア」「真夏の夜の夢」「フィンガルの洞窟」と合わせ、セルはドイツ・ロマン派のレパートリーにおいてもクリーヴランド管を格調高く統御し、透明感のある響きと立体的な構築性を獲得しており、20世紀後半にオーケストラ芸術の頂点を極めたこのコンビの境地を現在に伝える最高の例の一つといえるでしょう。
■『セルが施した改変のルーツを探っているうちに、面白い発見があった。かのフェリックス・ワインガルトナーが、ベートーヴェンの交響曲のスコアをいかに扱うべきかに関して著作を残しているのは良く知られた事実だが、同じ人物がシューマンの4つの交響曲についても提言を残しており、その内容を検証した論文に行き当たったのである。非常に興味深いことに、同論文の記述に従う限り、ワインガルトナーが示唆したスコアの修正はかなりのところセルが実践した措置と一致する。拙稿がこれまで譜例として掲げた箇所は、いずれもそれに該当するものだ。セルほどの人が偉大な先人の文章に触れていなかったとは考えにくく(ワインガルトナーのシューマン解釈に感銘を受けた旨の発言も別項で確認できるとおりだが、その演奏が音源として残されていないことは残念至極)、もちろんそれに盲従こそしていないものの、かなりのところアイデアの源を得ていた可能性は高い。そしてそれは彼自身の言葉でいう“教養とスタイルを身につけた指揮者であれば誰でも知っている”ものとして、シューマンのスコアを扱う際の方法論として共有財産的に認識されていたことも想像に難くない。セルが若き日の修業時代を暮らしたウィーンの楽壇におけるオピニオン・リーダーがワインガルトナーであったことも鑑みれば、ここに残されたシューマン解釈が“1つの時代の証言”だという感を強く抱く次第である。』(木幡一誠、ライナーノーツより)
■LP発売時のジャケット・デザイン使用 日本独自カップリング
■36ページの別冊解説書 ライナーノーツ:①ジョージ・セル、シューマンの交響曲について語る(1960年)/ジョージ・セル、ミッチェル・チャリー、②時代の証言者たる解釈~セルのシューマンーーそのあくなき「明確化」のプロセス/木幡一誠 ③ジョージ・セル&クリーヴランド管弦楽団によるシューマン&メンデルスゾーン作品演奏記録 ④曲目解説 門馬直美、小杉圭子 ⑤リマスタリング・ノート/アンドレアス・K・マイヤー 図版:日本公演プログラムの公演曲目ページ(1ページ)、クリーヴランド管弦楽団のプログラム冊子の公演曲目ページ(1ページ)を含む8点
[収録曲]
シューマン
DISC1
1.交響曲 第1番 変ロ長調 作品38 「春」
2.交響曲 第2番 ハ長調 作品61
DISC2
3.交響曲 第3番 変ホ長調 作品97 「ライン」
4.交響曲 第4番 ニ短調 作品120
5.「マンフレッド」序曲 作品115
DISC3
メンデルスゾーン
6.交響曲 第4番 イ長調 作品60 「イタリア」
7.「フィンガルの洞窟」序曲 作品60
8.劇付随音楽「真夏の夜の夢」 作品61より
(1)序曲 作品21
(2)第1曲:スケルツォ
(3)第7曲:夜想曲
(4)第5曲:間奏曲
(5)第9曲:結婚行進曲
クリーヴランド管弦楽団
指揮:ジョージ・セル
[録音]1958年10月24日&25日(1)、1958年10月21日&24日(2)、1960年10月21日(3)、1960年3月12日(4)、1959年1月21日(5)、1962年10月26日(6、7)、1967年1月13日(8)、クリーヴランド、セヴェランス・ホール
[オリジナル・プロデューサー]ハワード・H・スコット(1-5)、トーマス・フロスト(6、7)、ポール・マイヤース(8) ADD/STEREO [アナログ・トランスファー、リミックス、リマスタリング・エンジニア] アンドレアス・K・マイヤー(マイヤーメディアLLC)
■リマスタリング・ノート
当ボックスはジョージ・セルとクリーヴランド管弦楽団がコロンビア・レコードに残したステレオによるシューマンとメンデルスゾーンの作品のうち、協奏曲を除く全ての音源を3枚のハイブリッドディスクに収録している。オリジナル・マスターはいずれも3トラックである。
シューマンもメンデルスゾーンもアナログLP時代から著名な録音であったため、CD化も早く、1980年代前半からLP発売と並行してCD化された名盤カタログ・シリーズ「Great Performances」(新聞の一面を思わせるシリーズ・デザインでカタログ番号がプリフィクスMYKで始まるタイトル)に含まれていた。その後、メンデルスゾーンは1990年代に始まる作曲家やテーマ別に編まれたソニー・クラシカル初のバジェット・プライス・シリーズであったEssential Classics(プリフィクスはSBK)でも再発されているが、これらCD初期のシリーズでのリマスターは、アナログ時代にコロンビアのプロデューサーだったハワード・スコットがデジタル化を手がけていた。今聴くとかなりシンプルなデジタル・リマスターであり、刺激的な高域や深みのない音色、アナログのコピーテープには付きもののヒスノイズやドロップアウトが耳につく。いちおう「リミックス」と謳われているので3トラックからリミックスしたと信じたいが、アナログ・テープの再生や修復にはあまり神経が払われていない可能性が高い。
シューマンの交響曲全集がこれら初期のCD以降で初めてリマスターし直されたのは、1996年のMasterworks Heritageのシリーズでの20ビットSBMテクノロジーによる2枚組(品番はMH2K 62349)であった。往年のコロンビアの名プロデューサー、トーマス・フロストの全面監修でスタートしたこのシリーズは、オリジナル・ジャケット・デザインを巧みに援用した美しいデジパック仕様のパッケージやオリジナルのイメージを再現したレーベル・デザインも美しいものであったが、サウンド面でもオリジナル・マスターを適正な環境で再生し、当時最先端の技術でデジタル化した点が画期的であった。セルのシューマンは、当時ソニー・ミュージック・スタジオでリイッシューを一気に手掛けていたルイーズ・デ・ラ・フエンテがリイッシュー・プロデューサーをつとめている。その後日本のソニー・ミュージックの要請で、セル没後30年の2000年にセルの音源の多くがDSDリマスターされたが、その時にはシューマンもDSDテクノロジーでリマスターされ、さらにメンデルスゾーンも初期CD以来初めて、新しくリマスターされることになった。そしてこのDSD音源は翌2001年にはSA-CDシングルレイヤーとして日本国内のみならずワールドワイドで発売されたが、シューマンのMasterworks Heritageの再発を手がけたデ・ラ・フエンテがDSD化も担当している。
今回はそれ以来約19年ぶりに新しくリマスターすることになったわけであるが、こうした過去のCDやCDマスターの一部も聴き比べつつスタジオでの仕事を進めた。オリジナル・マスターに刻み込まれた情報量と質をなるべく損なわずに、SA-CDという大容量のメディアに漏れなく盛り込むことができるよう、アナログ・テープの再生からリミックスのバランスにいたるまで、あらゆる段階で細心の注意を払った。それゆえ過去のCDと比較すると一聴したところの派手さは感じされないかもしれないが、耳を澄ましていただければオリジナル・マスターのダイナミック・レンジの広さ、鮮度の高さ、そして何よりもセルが気を配った精緻なオーケストラのバランスがこれまでよりも精細に再現されていることにお気づきになると思う。
アンドレアス・K・マイヤー