コンサート動画
日本にとって2016年は、ビートルズ来日(1966年)から50周年。
ジョージ・ハリスンの最初で最後の来日公演(1991年)から25周年。
そして・・・
ジョージ・ハリスンの没後(2001年)15年という節目の年でもある。
George Fest (Official Trailer)
George Fest - Handle With Care [Official Live Video]
George Fest - Here Comes The Sun [Official Live Video]
George Fest - I Me Mine [Official Live Video]
George Fest - Let It Down [Official Live Video]
ジョージ・ハリソンの息子ダニー・ハリスンを中心に音楽界屈指のビッグ・ネームが一同に会し、2014年9月28日ロサンゼルスのフォンダ・シアターにて開催されたジョージ・ハリスンのトリビュート・コンサート『GEORGE FEST』の模様が遂にCD&映像化。
ジョージ・ハリスンが73歳の誕生日を迎えるはずだった日の翌日、2016年2月26日にリリースされることが決定した。
曲目/アーティスト
* < >…所属バンド等 ( )…収録作品
DISC ONE - CD1
- イントロダクション
- オールド・ブラウン・シュー/コナン・オブライエン<TV「Conan」司会者>(ビートルズ「ジョンとヨーコのバラード」B面収録曲)
- アイ・ミー・マイン/ブリット・ダニエル<Spoon>(ビートルズ『レット・イット・ビー』収録曲)
- サー・フランキー・クリスプのバラード/ジョナサン・ベイツfeat.ダニー・ハリスン(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- サムシング/ノラ・ジョーンズ(ビートルズ『アビイ・ロード』収録曲)
- セット・オン・ユー/ブランドン・フラワーズ<TheKillers>(1987『クラウド・ナイン』収録曲)
- イフ・ノット・フォー・ユー/ハートレス・バスターズ(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- ビー・ヒア・ナウ/イアン・アストベリー<TheCult>(1971『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』収録曲)
- ワー・ワー/ニック・ヴァレンシ<TheStrokes>(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- 恋をするなら/ジェームスタウン・リヴァイヴァル(ビートルズ『ラバー・ソウル』収録曲)
- アート・オブ・ダイイング/ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- サボイ・トラッフル/ダニー・ハリスン(ビートルズ『ホワイト・アルバム』収録曲)
- フォー・ユー・ブルー/チェイズ・コールfeat.ブライアン・ベル<Weezer>(ビートルズ『レット・イット・ビー』収録曲)
- ビウェア・オブ・ダークネス/アン・ウィルソン<Heart>(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
DISC TWO - CD2
- レット・イット・ダウン/ダニー・ハリスン(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- ギヴ・ミー・ラヴ/ベン・ハーパー(1971『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』収録曲)
- ヒア・カムズ・ザ・サン/ペリー・ファレル<JanesAddiction>(ビートルズ『アビイ・ロード』収録曲)
- 美しき人生/アル・ヤンコビック(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- ビハインド・ザット・ロックト・ドア/ノラ・ジョーンズ(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- マイ・スウィート・ロード/ブライアン・ウィルソン<TheBeachBoys>(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- イズント・イット・ア・ピティ/ザ・ブラック・ライダー(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- エニィ・ロード/ブッチ・ウォーカー(2002『ブレインウォッシュド』収録曲)
- アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム/カレン・エルソン(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
- タックスマン/コールド・ウォー・キッズ(ビートルズ『リボルバー』収録曲)
- イッツ・オール・トゥー・マッチ/ザ・フレーミング・リップス(ビートルズ『イエロー・サブマリン』収録曲)
- ハンドル・ウィズ・ケア/ブランドン・フラワーズ、ブリット・ダニエル、ダニー・ハリスン、ジョナサン・ベイツ、ウェイン・コイン、アル・ヤンコビック(トラヴェリング・ウィルベリーズ『Vol.1』収録曲)
- オール・シングス・マスト・パス/アン・ウィルソン、ダニー・ハリスン、カレン・エルソン、ノラ・ジョーンズ&All(1970『オール・シングス・マスト・パス』収録曲)
DISC THREE - DVD/BD -Concert Film
CD1,2の楽曲のコンサート映像に加え、ハリスン家所有のジョージ・ハリスンの貴重な映像も挿入。バックステージやリハーサル中のミュージシャン達が、ジョージ・ハリスンから受けた影響について語るインタビュー映像も収録。
George Fest: A Night To Celebrate The Music of George Harrison
「ジョージ・フェスト:ジョージ・ハリスンの音楽を祝う夕べ」と題されたそのコンサートは、その名の通り、ビートルズ時代からソロ、トラヴェリング・ウィルベリーズへと至るジョージ・ハリスンの名曲の数々をジョージを敬愛するアーティスト達がカヴァー。息子ダニー・ハリスンとともに、ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン、ノラ・ジョーンズ、ベン・ハーパー、HEARTのアン・ウィルソン、KILLERSのブランドン・フラワーズ、JANES ADDICTIONのペリー・ファレル、THE STROKESのニック・ヴァレンシ、アル・ヤンコビック他豪華アーティストが集結。
プロデュースを手がけたのはダニー・ハリスンとデヴィッド・ゾンシャイン。ダニー・ハリスンはこうコメントしている。
「僕と同世代のミュージシャンが、小さなクラブで父のキャリアの中でもディープな楽曲を自由に演奏するショウを今までずっと思い描いていたんだ。そして、今回はまったく新しく鮮やかな形で、自分が一番大切に思ってきた音楽界のヒーローたちと再びステージを共にし、僕の人生で一番馴染みのある曲を演奏する自分がいた。…皆さんにもこの録音を僕と同じように楽しんでもらえますように。父の曲に、今までできると思いもよらなかった最高の解釈が施されています」。
DVD、BDにはコンサート映像に加え、ハリスン家所有のジョージ・ハリスンの貴重な映像も挿入されている。バックステージやリハーサル中のミュージシャン達が、ジョージ・ハリスンから受けた影響について語るインタビュー映像も収録される。
日本にとって2016年は、ビートルズ来日(1966年)から50周年、ジョージ・ハリスンの最初で最後の来日公演(1991年)から25周年となる記念すべき年であり、ジョージ・ハリスンの没後(2001年)15年という節目の年でもある。
参加アーティストについて── 藤本国彦氏ライナーノーツより抜粋
コナン・オブライエンのテレビ番組のハウスバンド“The Cabin Down Below Band”がバックを務め、ヴォーカリストが入れ替わり主役の歌を取り上げていくというのはトリビュート・コンサートの常道だが、ジョージの曲がいかに「若手」から「大物」にまで浸透しているかが、選曲からも出演者の顔ぶれからも伝わってくる。
では、実際のステージの中から見どころ・聴きどころを紹介してみる。全体的にはジョージの硬軟とりまぜた曲風が混ざり合った印象を受ける。曲調の幅の広さは、ハード・ロックとカントリー・ロックの合わせ技と言ってしまってもいいかもしれない。前者の代表は、マット・ソーラム(ガンズ・アンド・ローゼズ)をドラマーに迎えたニック・ヴァレンシの「ワー・ワー」やコールド・ウォー・キッズの「タックスマン」、後者の代表は、ダニーも加わったジョナサン・ベイツの「サー・フランキー・クリスプのバラード」やハートレス・バスターズの「イフ・ノット・フォー・ユー」、それにカレン・エルソンの「アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム」あたりだろうか。イアン・アストバリーが祈祷師のように声を震わせて歌う隠れ名曲「ビー・ヒア・ナウ」や、おどろおどろしいアレンジへと変貌したブラック・レベル・モーターサイクル・クラブの「アート・オブ・ダイイング」、曇りガラスを一枚はめこんだかのような緩いサイケへと生まれ変わったザ・フレーミング・リップスの「イッツ・オール・トゥー・マッチ」あたりは、ダニーが「最高の解釈」と言うのにふさわしい演奏である。
中でも白眉はノラ・ジョーンズだろう。「サムシング」と「ビハインド・ザット・ロックト・ドア」は、声を聴いただけで身震いするほどの素晴らしさだ。もちろんブライアン・ウィルソン(とアル・ジャーディン)の「マイ・スウィート・ロード」やベン・ハーパーの「ギヴ・ミー・ラヴ」、アン・ウィルソン(ドラムはマット・ソーラム)の「ビウェア・オブ・ダークネス」は、ザ・フレーミング・リップスの「イッツ・オール・トゥー・マッチ」と同じく、まさに適役、である。
一方、予期せぬ驚きだったのがアル・ヤンコビック。追悼コンサートにはモンティ・パイソンが参加していたように、この手の「お笑い芸人」的な人が加わるのもジョージがらみのコンサートならではだ。しかし、パロディで笑わせるのが本領なのに、ここでは意外に真っ当な(しかも説得力のある)ヴォーカルで「美しき人生」を聴かせているのだ。映像を観ると、それでもしっかりオチャラケているのはわかるけれども…。ジョージの遺作『ブレインウォッシュド』(2002年)から唯一取り上げられたブッチ・ウォーカーの「エニイ・ロード」の溌剌としたヴォーカルを聴いて、案外コミカルな曲だというのがわかったのも新たな発見だった。ペリー・ファレルの「ヒア・カムズ・ザ・サン」の微笑ましい演奏も味わい深い。
そうした中で個人的に特に印象に残ったのは、ブライアン・ベル(ウィーザー)がギターで加わったチェイズ・コールの「フォー・ユー・ブルー」と、ザ・ブラック・ライダーの「イズント・イット・ア・ピティ」の2曲。「フォー・ユー・ブルー」は、グランダディが映画『アイ・アム・サム』のサウンドトラックでカヴァーした「レボリューション」と同じく、その脱力感がたまらない。「イズント・イット・ア・ピティ」は、スザンナ・ホフス似のエイミー・ナッシュ(イアン・アシュトベリーの妻)のアンニュイなヴォーカルと、なによりエンディングの「ヘイ・ジュード」にさらにそっくりに仕上げたコーラスが最高だ。
とはいえ、主役はやはり息子ダニーだろう。ジョージの91年の日本公演(当時13歳)や2002年の追悼コンサート(同じく24歳)でもステージに立ったダニー。「息子」だと思うと、そのあどけない表情も含めてつい若い印象を持ってしまいがちになるが、この時すでに36歳。先に触れた『慈愛の輝き』をジョージが発表した年、というよりも、ダニーが生まれた時の父親の年齢になっているのだから、月日の経つのは早い。「サヴォイ・トラッフル」の安定感や安心感のある演奏はさすがだし、「レット・イット・ダウン」での、歌っている時にちょっと泣き顔が混じるような表情と声が、ひげ面も含めて父親とダブってしょうがない。
生きていれば2016年2月25日に73歳の誕生日を迎えるはずだったジョージ。『ジョージ・フェスト』での息子の勇姿を、父親はいまどんな思いで見守っているだろうか。
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