『Shadow Kingdom』世界同時発売。蘇るライヴの感動!
著名な方々より「私の観たボブ・ディラン」のコメントが到着!
あがた森魚 |
シンガーソングライター |
毎回、大好きな兄貴に会いに行く。そんな気分だ。 今年は81歳だよ。ディランだから永遠に歌うだろうと誰もが思うかもしれないが。 知る限り「行雲流水」をモットーとしているのか、観客に訴えるでもなく、歌唱性の高みを目指すでもなく、あえていえば、内省の営みにすらみえる。 今回は「ラフ&ロウディ・ウエイズ」だった。次回は「ライク・ア・ローリング・ストーン」と「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」は、聴かせてほしいな。 |
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天辰保文 |
音楽評論家 |
81才だから凄いのではない。その年齢で、こんなにも創意みなぎる試みをやってみせるから凄いのだ。最初から最後まで、つまり、土手で川の流れを見つめているところから、後ろには誰もいないときもあったと孤独な旅を振り返るまで、見事に構成された一大抒情詩、ボブ・ディランという名の物語だった。そして、この物語はきっとまだ続く。ぼくらをワクワクさせるために。それにしても、傑作をかいたら全てが「変わる」から「美しくなる」へとかえて歌われた瞬間、視界の色が変わった。 |
いしわたり淳治 |
作詞家/作家/音楽プロデューサー |
ライブを観ながら、賞というのは贈り物のようでいて容れ物なのだと思った。世界最高峰であるはずのノーベル賞という容れ物にすら、ボブ・ディランという人のオリジナリティーはほとんど収まっていないように見えた。賞をもらって喜んでいるうちはまだまだオリジナリティーが足りないよと言われたような、渋くしゃがれた夜だった。 |
浦沢直樹 |
漫画家 |
まさか2023年にここまで究極のパフォーマンスを見せつけられるとは!驚嘆と感謝の言葉しかありません。すべての概念をひっくり返されました。いい意味で最高の不良だと思いました。誰も真似できませんね。 |
大鷹俊一 |
音楽評論家 |
観られて一番感激したのが78年の初来日。 そしてもっとも畏敬の念を抱かされたのが45年後の今回のステージだった。 まだまだ続く旅の一風景に立ち会えたことに感謝!!! |
オカモトコウキ |
OKAMOTO'S |
グツグツに煮込まれたスープのようだった。スープの味はまさに「近代アメリカポピュラー音楽史」だ。カントリーもブルースもブギウギも、原型が残らないほど煮込まれてとてつもない旨味とコクを持ち、もはや新種のオルタナミュージックのような様相だ。余計な演出もなし、客電はついたまま、只々シンプルに鳴らしていくディラン。唯一無二のライブでした。 |
小倉エージ |
音楽評論家 |
驚いたのは(歌)声のでっかさ。しかも、歌う!というよりも(歌)詞を吟じる!! 詩人が一語一語を吟味しながら朗読するように。牧師が背筋を伸ばして説教するように。街角に立った吟遊詩人が神話や史実を聞かせるように。昔話を語り継ぐ物語の語り部のように。 (歌)声の強弱、高低を変化させながら、抑揚豊かに語り、唸り、叫び、そして、囁いて見せた。講釈師や講談師が合いの手を入れる張り扇にとって代わっていたのが、自ら弾くピアノだ。階段を上り下りするコードワークであっけにとられたかつてオルガン演奏とは違って、洗練されたオブリガードを挟み込みこんで相槌を打ち、ヒステリックに鍵盤を叩きつけて内的な感情をあらわにする。とりわけ叙情的なバラード曲では華麗で優雅な演奏を披露し、心情や情景を巧みに浮き彫りに。聞きもの、めっけものでした。 ディランと言えばSCRAP &(Re)BUILD、解体して(再)構築、というのが常だ。今回も編曲は装いを改め、最初の一言、一行を聞くまで〝一体、何を歌っているの?〟という曲当てクイズの連続!しっかり予習していた『ラフ&ロウディ・ウェイズ』からの曲は即座に分かった。昔馴染みの曲だとわかれば、一緒に口ずさんでたところ〝あれ。歌詞、違うじゃん!変わってる!〟 そか、一昨年の配信の『SHADOW KINGDOM』の時がそうだった、ってことを思い出した。もうすぐサントラ盤が出るから、新しい歌詞のチェックが楽しみだ。しかも、今回、同作収録の「マスターピース」や「トゥ・ビー・アローン・ウィズ・ユー」だけじゃなく、「ガッタ・サーヴ・サムバディ」に〝ラスヴェガスで楽しんだりして!〟なんて歌詞、昔、なかったよね。 ディランのセット・リストは曲の流れで物語を構成し、日によって曲が入れ替り、物語の展開が微妙に変わったりしたものです。今回は近作『ラフ&ロウディ・ウェイズ』が中心で、残りは『SHADOW KINGDOM』で新たに取り組んだ旧曲。自身の足跡を振り返る自伝的構成だと理解しました。ヒット曲、代表曲を並べて足跡を辿るという、一般的な趣向とは異なる、というあたりがディランらしい。 そして、ディランの〝今〟を語り、明らかにする。スローなバラード曲、ことに「キーウエスト」にそれを感じました。かつての〝終末観〟の流れを汲みながら、より個人的、つまりはディラン自身を浮き彫りにし、明らかにしているのではないか、と。つまりは、終活? 私は聞き逃しましたが、今回、話題になったグレイトフル・デッドのカバーの「トラッキン」。近著『ソングの哲学』でその曲について触れた最後「この歌を歌う男は、自分を演じ、自分を語っている。他人の要求に応じてではなく」と締めくくっているのが興味深い。今回のディランの公演は、まさにそれ、だったからです! |
亀渕昭信 |
元ニッポン放送社長 |
あのおトシで、自分の声をあんなに上手にコントロール出来る歌い手、滅多にいません・・・凄い! 歌だけではなく、バンドがこれまた素晴らしい。 あれは単なる歌の伴奏ではない、それ以上のもの。 会場うす暗く、姿はおぼろだったけれど、私は、それぞれ独立しているバンドの演奏とディランの歌とが、ステージ上で合体しているという摩訶不思議な現象を聴いているのだと感じました。 惜しむらくは会場。もっときちんとしたホールで聴きたかった・・・です。 |
北中正和 |
音楽評論家 |
80歳を超えてますます渋い歌と演奏に感銘を受けました。ファンとなれ合うことなく、新しい試みを続けている緊張感も素晴らしいです。高齢化社会の星であると同時に、若い人たちに対しても、同調圧力に負けないで、信じていることをやれと、エールを送っているように見えました。 |
工藤大 |
レコード・コレクターズ |
理想の音を実現できる頼もしいバンドを従え、期待を裏切ることなくステージ上最大の謎としてたたずむディランの姿に歓喜しました。が、その実、発せられたのは、てらいなく自身の現在の生理に沿った歌心で、この上なくストレートに私の胸へと届きました。今、この瞬間でしかありえない最新型のディラン、堪能しました。 |
小室等 |
シンガーソングライター |
4月16日東京公演。休憩無し、100分程の難解と感じたライブが終わった。 隣席の中川五郎氏に、言葉分かって聞いているんだよね、とソニー版対訳者でもある五郎ちゃんに馬鹿な質問をしていた。9曲が、ラフ&ロウディ・ウェイズ(R&RW)から。帰宅してすぐ、中川対訳と首っ引きでR&RWを聞く。言葉が聴こえてきた。詩、抑揚、韻、リズム、実にいい。ディランだからパフォーマンスは変化してた思うけど、さっきのステージは耳の奥で、まだ鳴っている。“グッバイ・ジミー・リード”は僕のお気に入りだ。82歳、ボブ・ディランは凄い! |
佐藤良成 |
ハンバート ハンバート |
今回のツアー、日によって若干の違いはあるものの概ね17曲演奏し、そのうち14曲目のカバー曲以外は曲目も曲順も固定でした。調べたところ他の国の公演もどうやら同じ。にも関わらず右のギターのBob Britt氏、全編斜め後ろを向き客席にお尻を見せていました。ボスがいつ何時どんなことをしだすかわからなくて目が離せないのだと思います。そこからもお分かりのようにスリリングで緊張感のある最高に楽しいライブでした。 |
佐藤良明 |
翻訳家 |
ステージとは別なところにボブが見えた。レジェンドの高みにいるボブは、レジェンドのプロを演じている。伝説の色をしたアルバムをつくり、その伝説を、お客様が神様ではなく自分が神様であるようなライブステージで見せてくれる。60年間、一貫しているのは、自分はポップスターの逆をいくという姿勢。彼は「否定のアーティスト」であり、「否定のアート」は枯渇しないことを、今回のツアーでも証明した。 |
ジョージ・カックル |
DJ |
What a fantastic live it was!!! 今まで何回も見ているが、今回のライブはFANTASTIC! 曲のエッセンスを十分残しながらいろいろとアレンジメントし、今なお新しいテイストを繰り広げていくところが素晴らしい。だからこそ、ボブ自身もノノリだったのだろう。家に帰ってすぐセットリストを聴き直した。日本公演のライブアルバムも出してほしいね。グレイトフルデッドの「Brokedown Palace」の演奏では、途中で次の曲「Goodbye Jimmy Reed」に変わっていくあたりも面白かった。All in all a great night of music! |
鈴木圭介 |
フラワーカンパニーズ |
圧倒的なソングライターであると同時に、圧倒的なボーカリストなんだと、今更ながら感嘆しました。凄く声が出ていたし、その声は他の誰とも似ていない。正に無敵!観れて良かったです! |
曽我部恵一 |
サニーデイ・サービス |
ライブの日、ちょうどうちの母も我が家に来ており、お母さんボブ・ディランと同じ歳やん、なんて話になった。母はそのことになぜか喜び、当日配られた号外を自室に貼るのだと持って帰った。 ボブ・ディランが来日するとみんなが浮き足立つ。ぼくもうちの母も。そんなことは知らぬそぶりで、82歳ディランの歌うロックンロール・バラードの色っぽさ、妖しさよ。ぼくは早く82歳になってディランと対決したいっ!と思ったのだった。 |
竹安堅一 |
フラワーカンパニーズ |
3度目の体験ですが、毎回他では感じた事のないドキドキに襲われます。 呪文の様なボブ・ディランのピアノに従う演奏。ボブ・ディランのメロディアス!な唱歌にどっぷり浸かりました。 |
友部正人 |
シンガーソングライター |
4月11日の東京公演に行きました。見終わった後の帰り道、誰にともなく「今回のアルバムは最高ですね」と言うと、「その前のも良かったよ」とその人はぼくに言いました。「Mother Of Muses」という歌が大好き、とぼくが言うと「えっ?」と聞き直されて、風が強かったので聞こえなかったみたいで、いつのまにか誰もいなくなっていました。 |
奈倉龍祐 |
岩波書店 |
バンドメンバーが小さな環となってシンガーを囲む。観客はステージを包むように見守り、壇上のどんなささいな変化も注意深く追っている。そこに居合わせると、「ディランが現前する」という高揚は融け、世界の中心にいる古老が張りのある声で語る伝承に耳を傾けている心地になった。古老は人の争いごとを幾度も目にし、それでも川の流れを眺めるように世の理を見通し、砂の一粒一粒に歌を込めようとしている。この歌の波動は消えない。 |
中川五郎 |
フォーク歌手、翻訳家 |
「現役」のライブだということを強く感じました。ボブ・ディランといえば、付いて回るのは「レジェンド」や「ベテラン」、「神様」や「重鎮」という謳い文句。確かに歌い始めて60年以上、81歳になるディランにはぴったりの言葉かもしれませんが、本人が少しでもそう思っていたら、そのライブは自分の集大成を見せつけるようなものになるはず。しかしそんなところは微塵もなく、ライブは新しいアルバムの曲を中心に、先を見据えた「現役」のもの。その「Forever Young」さ、「Younger Than Yesterday」ぶりに感動しました。 |
祢屋康 |
レコード・コレクターズ |
これまでもあまりに自由なボブ・ディランのライヴに接すると、驚くことばかりなのですが、今回も同様でした。国内外の偉大なミュージシャンの訃報も相次ぐ中、81歳で来日してくれたディラン。観客も異常なほどの集中力を要求されながら、アメリカ音楽の粋をこれでもかと浴びせられ、終わったときにはこちらもへろへろ。でも、それが心地よく感じられました。これからも、とにかくお元気でいてください。 |
丸山京子 |
翻訳家 |
入口で全員スマホ断ちさせられる所から始まった今回のボブ・ディラン公演。新作からの曲をほぼやり、代表曲はほぼやらない。一貫してRough and Rowdyな世界。かと思えば「こいつは刑事コロンボに出てた」「こいつはMaccaやBossやRocketmanとやった」と嘘とも真ともわからぬメンバー紹介を毎回やられてましたが、あそこ笑うべきでしたか(笑)? スマホ戻され、会場出て、ようやく安堵のため息。そこに込められた深意やジョークや色々なもの、まだまだ読み解けてないかもですが、やはりディランはワン・アンド・オンリーでした♪ |
茂木欣一 |
東京スカパラダイスオーケストラ |
僕にとって初めてのボブ・ディランの生ライブ体験。 それは、当たり前のように音が鳴り始め、当たり前のように歌声が聴こえて来たという静かなる衝撃でした。貴重な来日公演を目撃しているのに、肩肘張らずにすっと心に入って来るこの感覚は何だろう。「飾らなくていい。ありのままを生きればいい。答えは "音楽" っていう風の中にあるだろ」何だかそんな事を言われてるような気がしました。ありがとう、ディラン。 |
和久井光司 |
総合音楽家 |
バンドマンとしては1ミリも参考にならないライヴだったが、「政治家が時計を100年前に戻すなら、芸術家はタダイズムに立ち返るよ」とでも言いたげなノーベル文学賞作家の姿には感銘を受けた。すべてがエンタメ化してもはや芸術などなくなった時代への提言として、かつてのフォーク・シンガーは音楽的な整合性など無視することで、「歌が生まれる瞬間」を見せつけた。パフォーマンスをルポとする批評性を遺言としたいのかも。 |
50音順・敬称略
商品情報
歌いたいように歌う、現在進行形。
ボブ・ディラン『Shadow Kingdom』
Bob Dylan - Shadow Kingdom
CD
2023年6月 2日発売●解説・歌詞・対訳付●SICP-6512●定価:¥2,640(税込)
収録曲
1.マスターピース / When I Paint My Masterpiece
2.我が道を行く / Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)
3.クイーン・ジェーン / Queen Jane Approximately
4.アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト / I'll Be Your Baby Tonight
5.親指トムのブルースのように / Just Like Tom Thumb's Blues
6.トゥームストーン・ブルース / Tombstone Blues
7.トゥ・ビー・アローン・ウィズ・ユー / To Be Alone with You
8.お前の欲しいもの / What Was It You Wanted
9.いつまでも若く / Forever Young
10.プレッジング・マイ・タイム / Pledging My Time
11.悪意の使者 / The Wicked Messenger
12.川の流れを見つめて / Watching the River Flow
13.イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー / It's All Over Now, Baby Blue
14.シエラのテーマ / Sierra's Theme
LP
2023年6月 2日発売●完全生産限定盤●輸入盤国内仕様●解説・歌詞・対訳付●SIJP-143~4(2枚組) ●定価:¥6,380(税込)
収録曲
Side A
1.マスターピース
2.我が道を行く
3.クイーン・ジェーン
4.アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト
Side B
1.親指トムのブルースのように
2.トゥームストーン・ブルース
3.トゥ・ビー・アローン・ウィズ・ユー
4.お前の欲しいもの
Side C
1.いつまでも若く
2.プレッジング・マイ・タイム
3.悪意の使者
4.川の流れを見つめて
5.イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー
6.シエラのテーマ
Side D
*音源は未収録で盤面にエッチング・デザインされています。