『ピアノ・マン』 50周年 × 来日記念
世界中で愛され続ける唯一無二の “ピアノ・マン” =ビリー・ジョエルの名曲たち__。
あなたの人生に寄り添う1曲に出会えるかも知れない。

ビリー・ジョエル|ピアノ・マン50周年

現代に暮らす人々のありふれた苦悩や葛藤、
生きる喜びを鋭い観察眼で捉えた歌詞と、
親しみやすい極上のメロディー。

時に激しく、時に優しい
変幻自在の歌唱による名曲の数々に、
誰もが親近感を覚え、
自分の人生を重ね合わせることが出来る。

ビリー・ジョエルは私たちの
<人生のサウンドトラック>だ。

 

ビリー・ジョエルを知るための名曲4選

    • ピアノ・マン|Piano Man (1973年)

土曜日の夜はこのメロディーでつかの間の感傷旅行

哀愁漂うハーモニカと、ワルツ風の曲調が印象的なビリー・ジョエル初のヒット曲。ロサンゼルスのバーでしがない “ピアノ・マン”(客のリクエスト曲を演奏するピアノ弾き)に甘んじていた不遇時代の実体験を歌にしている

歌詞に登場するキャラクター達は実在の人物で、タダ酒を回してくれるバーテンダーはビリーのマネージャー、酔っ払いを上手にあしらっているウエイトレスは当時の妻エリザベスだ。そして、酒で孤独を紛らわせる客をピアノ演奏で気分よくさせているのは、もちろんビリー自身。歌詞の中で 「こんなところで何やっているんだ?」 と客に鼓舞されているように、ビリーの音楽的才能は誰の耳にも明らかで、ほどなくコロムビア・レコードから声がかかったことでビリーは約6か月間のピアノ・マン生活を卒業するとともに、そこでつぶさに観察した市井(しせい) の人々の様子をこの曲に永遠に刻みつけた

コロムビアからの第一弾シングルとして幸先よくヒットを記録したものの、この曲以降、しばらくはヒット曲に恵まれず、“一発屋” の汚名を着せられたビリーは、“ピアノ・マン”のイメージを払拭しようと躍起になり、この曲をコンサートの序盤で早々に演奏したり、一時はセットリストから外すこともあった。ところが、1980年代末に久々にコンサートで歌ったところ、大合唱が巻き起こり、以降、「ここぞ」という重要なポジションで演奏するようになった。「1番を歌ったら、後は観客が大合唱してくれるから楽なんだ」 と笑い飛ばすビリーは、もはや押しも押されもせぬ“ピアノ・マン”だ。

ミュージック・ビデオの中で、小説家を目指す不動産屋ポール(サングラスの人物)を演じているのは、映画 『メン・イン・ブラック』シリーズや日本の缶コーヒーのCMでお馴染みのトミー・リー・ジョーンズ。当時無名だった彼も、今や押しも押されもせぬ“名優”だ。

    • 素顔のままで|Just The Way You Are (1977年)

気の利いた会話なんていらない。そばにいてくれるだけで幸せだから

“ピアノ・マン” 以来の大ヒットを記録し、ビリーがスーパースターの仲間入りを果たすきっかけとなった大名曲。1978年に全米3位を記録。この曲の大ヒットに導かれるように、収録アルバム 『ストレンジャー』 も大ヒットを記録し(全米最高2位)、コロムビア・レコードの最高売上記録を抜き去るほど、売れに売れまくった。「素顔のままで」 自体も、第21回グラミー賞で<最優秀レコード賞>と<最優秀楽曲賞>の主要2部門の栄冠に輝いている。

あの元ビートルズのポール・マッカートニーが「自分の曲だったら良いのにと思った曲は?」 と聞かれた際、この曲を挙げている。そのポールが名曲 「イエスタデイ」 を夢の中で書いたのと同様に、ビリーもこの曲のメロディーを夢の中で書いている。歌詞は苦楽を共にした当時の妻エリザベスに向けたものだが、彼女は元々、バンド時代のメンバーの妻だった人物。二人は略奪婚だった。ただ、ジョージ・ハリスン(元ビートルズ)とエリック・クラプトンがそうであったように、同じ女性を愛し、互いに別れた後も、その元亭主との友情関係は続き、今もビジネス・パートナーであり続けている。ミュージック・ビデオの監督として後に成功したその人物(ジョン・スモール)によれば、「素顔のままで」 はビリーからバレンタイン・プレゼントとしてエリザベスに贈られたものだという。

この曲のミュージック・ビデオは、大ブレイク直前の1977年秋に撮影されたもので、カーリーヘアにギョロっとした大きな目で熱唱する若々しいビリーの姿を見ることができる。そのルックスは、ちょうど同時期に大ヒットしていた映画 『ロッキー』 の主人公を彷彿とさせた。この曲の日本盤シングルのジャケットでは、ボクシング・グローブを背負った写真が使われていて、ますますロッキーを連想させたが、実際にビリーはボクシング経験者。アマチュアながら22勝4敗の好成績を残している。一見、‘バラード・シンガー’ というソフトな印象が強いビリーだが、生粋のニューヨーク育ちだけあって、ハードな側面を持ち合わせており、背景を知れば知るほど、奥深いミュージシャンだ。

    • オネスティ|Honesty (1978年)

思いっ切り落ち込みたい時に浸るならこのメロディー

憂いのある美しいメロディーに一瞬で耳を奪われる名バラードだが、演奏もビリーのボーカルも実にパワフルで、「オネスティ(誠実さ)」 を求めるビリーの心の叫びを聴いているかのよう。日本でも特に人気が高く、当時のトップ・アイドルだった西城秀樹や郷ひろみも日本語カバーを残している。この曲を収録したアルバム 『ニューヨーク52番街』 は初の全米チャート1位を記録し、前年に続いて再びグラミー賞を獲得し、ビリーは時代の寵児となった

曲作りの際は、曲を仕上げた後で歌詞をつけるのがビリーの作曲法だが、中々この曲の歌詞を書けずにいたところ、当時のドラマーが ‘オネスティ’ とはとても似つかない下品な歌詞を勝手につけて歌い始めたため、慌てて作詞したという逸話が残っている。

この曲のミュージック・ビデオに登場するビリーは、『ニューヨーク52番街』 のカバー写真と同じ衣装を身にまとっているが、シャツにネクタイをルースに締め、ジャケットで決めていながらも、ボトムはジーンズにスニーカーというカジュアルさが斬新で、ファッション面でも若者に大きな影響を与えた。今ではすっかり定着したこのファッションだが、流行のきっかけはこのカバー写真だ。ちなみにビリーがこの時期に好んで履いていたジーンズは日本のEDWIN製だったと言われている。

ティーンエイジャーの時からエンタメ業界に身を置き、大成功を収めるまでも、そして成功を収めてからも、不利なマネージメント契約や腹心マネージャーの横領など、数々の嘘や裏切りに振り回されてきたビリー。「‘誠実’ とは何てむなしい言葉」 とこの曲で歌ったが、4度目の結婚をして、2人の幼い娘(8歳と6歳)の親になった今現在のビリー(74歳)は、ようやく真の 「誠実さ」 を見つけることができたのかもしれない。

この「オネスティ」、日本では過去に何度もTV-CMやドラマなどで使用されたり、中学や高校の音楽の教科書に掲載されたりしていることから、ビリーの名前を知らずとも、大半の日本人が必ずどこかで聴いたことがある “想い出のメロディー” と言っても過言ではないだろう。

    • アップタウン・ガール|Uptown Girl (1983年)

愛は勝つ、きっと勝つ! 脳内再生でテンションUP

どこを聴いてもサビのような怒涛の美メロで構成されたキャッチーな大ヒット・ナンバー(1983年全米3位)。当時付き合っていたトップ・モデルのクリスティ・ブリンクリーを ‘アップタウン・ガール’ に見立て、‘ダウンタウン・ボーイ’ ビリーの恋心を、古き良きアメリカン・ポップス風の歌詞に仕立てて歌っている。ミュージック・ビデオには実際にクリスティも登場し、「‘美女と野獣’ のカップル誕生」 とゴシップ紙の見出しが躍った。「付き合う女性で男はこうも変化するものなのか?」 と思えるほど、ビリーの髪型や服装もこの時期、急に垢抜けた感があったのはご愛嬌。1985年3月、ビリーの恋心は成就し、クリスティとめでたく結婚、12月には長女が誕生した。

ビデオの終わり、ビリーはクリスティを乗せたバイクで颯爽とダウンタウンへ繰り出していくが、オートバイはビリーの趣味のひとつ。カスタム・バイク屋を経営するほどの熱の入れようで、その顧客リストには盟友ブルース・スプリングスティーンの名もある。

闘病の末に惜しくも先頃亡くなったシンガー・ソングライターのKANさんは、常々ビリー・ファンを公言し、代表曲 「愛は勝つ」 はこの曲を目指して作ったという。2021年にはアメリカの若き歌姫、オリヴィア・ロドリゴがヒット曲 「デジャヴ」(全米3位)の歌詞の中でこの曲のタイトルと ‘Billy Joel’ について触れている。これが縁で、2022年8月のマジソン・スクエア・ガーデン公演にオリヴィアがゲスト出演し、「デジャヴ」 と 「アップタウン・ガール」 をビリーとデュエットし、喝采を浴びた。

後にクラシック音楽へと傾倒していったビリーだが、2022年のインタビューでこの曲を振り返り、ドラムやギターなどの演奏をそぎ落としてメロディーに注目すると、モーツァルトの調べのように流麗で、ロック・アーティスト時代も常に自身の根底にはクラシック音楽の土台があったことを認めている。また、別のインタビューでは、今現在も日々作曲活動を続けており、歌詞さえつければロック・ソングになるものもあるとのことだが、メロディーで感情を表現するクラシック音楽のスタイルが今の自分には心地良いという。text:ソリアーノ・タナカ

ビリー・ジョエル - バイオグラフィー

ビリー・ジョエル|バイオグラフィー

アメリカのNY州サウス・ブロンクス出身(1949年5月9日 生まれ)。

ポップなメロディーと都会的なコンテンポラリー・サウンドに加え、現代に暮らす人々のありふれた苦悩や葛藤、生きる喜びなどを等身大かつリアルな筆致で切り取った歌詞が特徴的で、1970年代後半から1990年代前半にかけて世界的ヒットを連発。

クラシックの素養を持ちながら庶民的な “味” も出せるピアノのスタイルと、情感豊かにドラマを語れるシンガーとしての技量を併せ持ち、今なお世界中で愛され続ける唯一無二の 「ピアノ・マン」。

わかりやすい言葉をはっきりした発音で歌うビリーの歌唱スタイルと、独特な哀感を帯びた美しく親しみやすいメロディーは、日本人の感性にもストレートに響き、英語が完璧に分からずとも全ての “普通の人々” がそれぞれに情景を思い浮かべて自身の思い出を重ねることが出来る様な<人生のサウンドトラック>たりうる普遍性を持っている。ビートルズやカーペンターズらと並び、洋楽史上最も日本人に愛される海外アーティストの一人として、ビリー・ジョエルの作品はここ日本でも時代と世代を超えて生き続けている。

記録&受賞歴

  • 1977年、通算5枚目のソロ・アルバム 『ストレンジャー』 が世界的に大ヒット。
    コロムビア・レコード史上最大の売上記録を樹立(1985年にこの記録を破ったのはマイケル・ジャクソンの 『スリラー』)。
  • 1979年、第21回グラミー賞でシングル 「素顔のままで」 が、<最優秀レコード賞>と<最優秀楽曲賞>の主要2部門を制覇。
  • 1980年、第22回グラミー賞でアルバム 『ニューヨーク52番街』 が、<最優秀アルバム賞>と<最優秀男性ポップ・ボーカル賞>の2部門を受賞。
  • 1981年、第23回グラミー賞でアルバム 『グラス・ハウス』 が、<最優秀男性ポップ・ボーカル賞>を獲得。3年連続でグラミーに輝く。
  • 1982年、世界初のCDとして 『ニューヨーク52番街』 が選ばれる。これを記念し、ソニーのプレス工場(静岡)にはモニュメントが設置された。
  • 1987年、東側のソビエト連邦(現ロシア)で初めて本格的なロック・コンサートを開催。モスクワ市民に西側のロックの洗礼を浴びせる。
  • 1991年、長年の功績が認められ、グラミー・リヴィング・レジェンド・アワードを受賞。現在までにビリーは6つのグラミー賞を獲得、ノミネートは23回に及ぶ。
  • 1994年、ビルボード・センチュリー・アワードを受賞。
  • 1999年、ポール・マッカートニー、ブルース・スプリングスティーンらと共に 「ロックの殿堂」 入り。
  • 2014年1月、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで毎月1回コンサートを行う‘レジデンシャル・ショー’の開催をスタート。
    2015年7月には同会場での公演回数が通算65回目に達し、エルトン・ジョンの最多公演回数を更新。
    通算150回目となる2024年7月の公演を以って、‘レジデンシャル・ショー’は終了予定。
  • その他、「ソングライターの殿堂」入り(1992年)、「トニー賞」(2003年)、「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイム」(2004年)、「ケネディ・センター名誉賞」(2013年)、「ガーシュウィン賞」(2014年)……等々、多数の名誉ある賞に輝く。
    今日までに総レコード売上は全世界で1億6000万枚に達し、アメリカ単独でのレコード総売上は第6位(ソロ・アーティストとしては第3位)に入るなど、‘生ける伝説’と化している。

来日公演情報

16年振り、一夜限りの来日公演!ONE NIGHT ONLY IN JAPAN

BILLY JOEL IN CONCERT

2024年1月24日 (水) 東京ドーム

<問>ウドー音楽事務所:https://billyjoel2024.udo.jp/

劇場公開情報

16年振りの来日公演にむけた、2夜限定のプレミアムな<前夜祭>!
「奇跡の夜」と称されるビリーの伝説的なコンサートがスクリーンに甦る!!

ビリー・ジョエル|ライヴ・アット・シェイ・スタジアム

ビリー・ジョエル|ライヴ・アット・シェイ・スタジアム

12/25(月)、28(木)TOHOシネマズ日本橋ほか全国42館にて公開
(TOHOシネマズ日本橋とTOHOシネマズなんばの2館は1週間上映)

 

配給:カルチャヴィル
日本公開HP:https://www.culture-ville.jp/billyjoel
(上映劇場一覧はこちらのページにてご確認頂けます)

リリース情報

最新リリース

半世紀に及ぶキャリアを各年代の名演で一望できる、ライヴ版 『ビリー・ザ・ベスト』!

ビリー・ザ・ベスト:ライヴ!

Live Through the Years -Japan Edition-

ビリー・ジョエル|ビリー・ザ・ベスト:ライヴ!
  • 高品質Blu-spec CD2仕様
  • 2枚組全32曲収録(うち世界初CD化13曲、日本初CD化6曲)
  • 2023年最新マスタリング
  • 歌詞・対訳・解説付

 

2023年12月20日発売/デジタル配信
※フィジカル商品:CD2枚組|品番SICP31669-31770  税込¥3,000(税抜価格¥2,727)

好評発売中

日本でリリースされた全シングル曲とミュージック・ビデオを網羅した最新・最強ベスト。
ビリー・ジョエルのすべてがここに!

ビリー・ジョエル|ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-

ビリー・ジョエル|ジャパニーズ・シングル・コレクション

3枚組(2CD+DVD)¥4,400(税抜価格¥4,000) SICP 31510~2 2021年作品

 

DISC1|CD: 高品質Blu-Spec CD2仕様 全20曲収録(2021年デジタル・リマスター)

DISC2|CD: 高品質Blu-Spec CD2仕様 全19曲収録(2021年デジタル・リマスター)

DISC3|DVD: ミュージック・ビデオ 全42曲収録(うち4曲が世界初、5曲が日本初DVD化)

 

  • 1975年~1994年に日本で発売された全シングル曲(12㎝マキシ・シングルを除く)を、発売順にUS7インチ・シングル・ヴァージョンに準じて収録(DISC1、DISC2共にCD収録時間の限界に迫る79分超え!)
  • DISC3(DVD)には、ビリーがこれまでに発表した全てのミュージック・ビデオ(貴重なライヴ映像も追加した全42曲)を収録
  • 日本盤全シングル・ジャケット写真を復刻再現して掲載したカラー52Pスペシャル・ブックレット+モノクロ80Pブックレット(解説・歌詞・対訳)封入