『阿久津カメラマンのライヴ・レポート “BIG SHOT”(第一回)』~ジョン・レノンに捧ぐ・・・
今年2018年あとわずか。2018年は初来日公演から40周年だったビリー・ジョエル。12月26日には『ストレンジャー 40周年記念デラックス・エディション』 (日本初リリースの5.1ch音源や日本初CD化の貴重なボーナス・トラック5曲を追加収録。特典満載の 7インチ紙ジャケット仕様のSACDマルチ・ハイブリッド盤)が発売となる。1995年より今日に至るまで、ビリー・ジョエルの公認フォトグラファーとして、コンサート写真を撮影し続け、ビリーに最も近い日本人ともいえる写真家阿久津知宏氏がビリー・ジョエルについて語る不定期連載『阿久津カメラマンのライヴ・レポート “BIG SHOT”』がスタート。阿久津氏ならではの、普段ではお目にかかれないビリーの姿やとびきりのネタ満載。また、蔵出し写真を含む阿久津氏撮影の貴重な写真にも注目していただきたい。
『阿久津カメラマンのライヴ・レポート “BIG SHOT”(第一回)』~ジョン・レノンに捧ぐ
LIVE PHOTO BY TOMO AKUTSU
今日は、ビリー・ジョエルのちょっと良い話を紹介したいと思います。
2006年の12/9(土)福岡でビリーのソロ・ライヴが行われました。 東京、札幌、大阪、福岡、名古屋の5大ドーム・ツアーの後半と言うこともあり、私は「この辺で何かサプライズがあればファンが喜ぶのに」と考えながら福岡入りしました。 でも、正直なところ、この時点ではどんな曲がサプライズになるのかさえ浮かばなかったし、私ごときがよほどの大義名分でも無い限りセット・リストに口出しなんか出来るはずもありませんでした。
(日本ではレア曲の「マイアミ2017」(大阪))
一般のファンからすれば「ビリー、この曲を聴きたいんだけど」とリクエストすれば簡単に何でもやってもらえると思うのかも知れませんが、実際の現場はそうではありません。 セット・リストとは、ライヴに関わるすべての人間が完璧に動けるようにする為の計画書なんです。 確かにビリーが突然セット・リストから外れた曲を演奏し始めることがあるのは事実です。 でも、原則論としては、バンドや照明スタッフ、音声、会場スクリーン用のカメラマンと言った裏方達への事前連絡が必要になります。 つまり、セット・リストの1曲を変更することはとっても重いことなんです。
(ファンサービスのウィンク?(福岡))
リハーサルも終わり、各スタッフには当日のセット・リストが配られました。 「あぁ、大きなサプライズは無いな」とこの時点では諦めかけました・・・。
本番5分前、ステージへの登り口のところでビリー・バンドのトミー・バーンズとビリーがタバコを吸っている姿が目に入りました。 それを見た瞬間、私の頭の中にちょっとしたアイデアが浮かんだのです。 私は彼らに近寄り話しかけました。
(「マイライフ」の間奏では後ろの観客にもアピール(札幌))
私「あれっ?ビリー、またタバコを吸い始めちゃったの?」
ビリー「うん。禁煙するのは得意なんだけど、突然、吸い始めちゃうことがあるんだよ。せっかく20年間も吸わなかったのにな・・・笑」
私「ところでトミー、今日が何の日か知ってる?」
トミー「さあ?」
私「アメリカ時間では今日がジョン・レノンの命日なんだよね」(日本時間では時差的には12/9になっていた)
するとビリーがピクッと反応しました。
ビリー「ジョンは日本では人気あったの?」
私「勿論!! 特にビリーファンはジョンのことを大好きだと思うよ」
ビリーは何かを考えるような遠い目をしながらそのままステージに上がって行きました。
(「ハートにファイア」(福岡))
この日のステージは最初からビリーのコンディションが良さそうでした。
1曲目から22曲目の"You May Be Right"まで一気に走り抜け、会場は総立ち状態。本編が終了して会場内が暗転すると、私はラストの"Piano Man"をステージ横から撮影する為にステージ下へ駆け込みました。そして、私がステージ下に到着するのとほぼ同時にビリーはアンコールの拍手に迎えられ再びステージ上へ。 "Only The Good Die Young"が演奏されるとビリーは暫く歓声に笑顔で応えていました。 さあ、いよいよラストの"Piano Man"です。いつものイントロが始まると思った瞬間、なにやら違うメロディーが耳に飛び込んで来ました・・・「んっ!?」・・・「うわぁ~イマジンだ!」 そう。ビリーはなんと、何の予告もなしにジョンの"Imagine"をピアノで弾き歌いし始めたのです。もう会場は凄い歓声です。 そして、1コーラス目を歌い終えるとそのまま"Piano Man"に・・・。
(「愛はイクストリーム」でシャウト(札幌))
全ての演奏が終わったとき、私はステージ下でビリーを待っていました。
駆け足でステージを降りてきたビリーは私を見つけると一言
ビリー「どうだった?」
私「最高 !!」
ビリー「良かった !!」 最後に眉毛をチョコッと上げて彼は車に飛び乗り会場を後にしました。
ビリーが会場を去った後、このやり取りの一部始終を見ていたソニーのSさんと「なんてカッコイイおやじだろう!」と思わす顔を見合わせてしまいました。
(「シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン」を終えて(大阪))
BILLY JOEL IN CONCERT 2006
2006年12月9日 福岡Yahoo! JAPANドーム・セットリスト
1.ANGRY YOUNG MAN/怒れる若者
2.MY LIFE/マイ・ライフ
3.VIENNA/ウィーン
4.HONESTY/オネスティ
5.THE ENTERTAINER/エンターテイナー
6.ZANZIBAR/ザンジバル
7.NEW YORK STATE OF MIND/ニューヨークの想い
8.ALLENTOWN/アレンタウン
9.DON'T ASK ME WHY/ドント・アスク・ミー・ホワイ
10.THE STRANGER/ストレンジャー
11.JUST THE WAY YOU ARE/素顔のままで
12.MOVIN' OUT(ANTHONY'S SONG)/ムーヴィン・アウト
13.AN INNOCENT MAN/イノセント・マン
14.THE BALLAD OF BILLY THE KID/さすらいのビリー・ザ・キッド
15.SHE'S ALWAYS A WOMAN/シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン
16.I GO TO EXTREMES/愛はイクストリームス
17.THE RIVER OF DREAMS/ザ・リバー・オブ・ドリームス
18.Higway To Hell/地獄のハイウェイ*
19.WE DIDN'T START THE FIRE/ハートにファイア
20.BIG SHOT/ビッグ・ショット
21.IT'S STILL ROCK AND ROLL TO ME/ロックン・ロールが最高さ
22.YOU MAY BE RIGHT/ガラスのニューヨーク
……………………アンコール……………………………
23.ONLY THE GOOD DIE YOUNG/若死にするのは善人だけ
24.IMAGINE~PIANO MAN/イマジン~ピアノ・マン
(*AC/DCのカヴァー)
(「ピアノマン」を歌い終えて歓声に応える(福岡))
(「地獄のハイウェイ」で観客の間近まで(名古屋))
【最新作品】
●『ストレンジャー-40周年記念デラックス・エディション-』
SACDマルチ・ハイブリッド盤(7インチ紙ジャケット仕様)
SICP10129-10131(2枚組) 特別価格¥5,000+税 <完全生産限定盤>
大都会ニューヨークの孤独と躍動感を音像化した、ポピュラー史上に燦然と輝くビリーの代表作、『ストレンジャー』日本発売40周年記念!
思い出のアイテムの数々を初復刻した、ファン垂涎の永久保存盤(日本独自企画)!!
DISC1|ストレンジャー<SACDマルチ5.1chハイブリッドディスク仕様>
■SACD層(全9曲) Multi 5.1ch|Stereo 2ch 日本初リリース
2000年DSDマスタリング(オリジナル・アナログマスターより)
Remastered for SACD by テッド・ジェンセン
5.1ch サラウンド Mix Produced by フィル・ラモ—ン
■CD層(全14曲) Stereo 2ch 日本初CD化5曲を追加収録
2011年デジタル・リマスター(オリジナル・アナログマスターより)
Remastered by テッド・ジェンセン *ボーナス・トラックを除く
1. ムーヴィン・アウト
2. ストレンジャー
3. 素顔のままで
4. イタリアン・レストランで
5. ウィーン
6. 若死にするのは善人だけ
7. シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン
8. 最初が肝心
9. エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム
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10. 素顔のままで * 日本初CD化
11. ウィーン * 日本初CD化
12. さすらいのビリー・ザ・キッド * 日本初CD化
13. 最初が肝心 * 日本初CD化
14. 夏、ハイランドフォールズにて * 日本初CD化
(* CD層に収録のボーナス・トラック:ライヴ・アット・ナッソー・コロシアム Dec11, 1977)
DISC2|ライヴ・アット・カーネギー・ホール June3, 1977<Blu-Spec CD2仕様>(全12曲)
1. マイアミ2017
2. プレリュード/怒れる若者
3. ニューヨークの想い
4. 素顔のままで
5. シーズ・ガット・ア・ウェイ
6. エンターティナー
7. イタリアン・レストランで
8. バンド・イントロダクション
9. キャプテン・ジャック
10. 楽しかった日々
11. さよならハリウッド
12. スーベニア
<商品仕様と封入特典>
・DISC1:SACDマルチ・ハイブリッドディスク仕様
・DISC2:高品質Blu-Spec CD2仕様
・18cm×18cmの7インチW紙ジャケット仕様
・オリジナルLP(US初版)内袋復刻
・オリジナルLP(国内盤)初版帯復刻
・オリジナルLP(国内盤)風レーベル面CD
・『ストレンジャー・ツアー』1978年初来日公演パンフレット(6面三つ折り:リサイズ)<40年振り復刻>
・『ストレンジャー・ツアー』1978年4月23日(日)サンプラザホール公演チケット(実寸大)<40年振り復刻>
・『ストレンジャー・ツアー』初来日公演告知チラシ(おもて面は東京版、裏面は大阪版を再現:リサイズ)<40年振り復刻>
・『ストレンジャー』日本盤発売当時の告知ポスター(2種:リサイズ)<40年振り復刻>
・『ストレンジャー』からカットされた日本盤アナログ・シングル・ジャケット 3種(実寸大)〈40年振り復刻〉
・『ストレンジャー』オリジナルLP(国内盤)帯2種(初版を除く第2刷以降:リサイズ)<40年振り復刻>
・『ストレンジャー』2008年レガシー・エディション ブックレット(カラー24P:リサイズ)
・1978年発売のオリジナルLP(国内盤)ライナー・ノーツに加え、2008年の30周年記念盤に寄稿された英文ライナーノーツ
完全翻訳と、78年リリース当時の日本の担当ディレクターが寄稿した<『The Stranger』発売の頃>、更に新規ライナーノー
ツと歌詞・対訳を掲載した日本語ブックレット(モノクロ60P)
【配信リンク】
■ビリー・ジョエル プレイリスト(Apple Music & Spotify)
https://SonyMusicJapan.lnk.to/BillyJoelPlaylists
■ビリー・ジョエル ハイレゾ・アルバム全17作品配信中(13タイトルが新規追加)
https://mora.jp/artist/11425/h?sortColumn=3#discArea
(詳細はhttps://mora.jp/topics/news/billyjoel_hires/)
【関連リンク】
●http://www.billyjoel.com/ (アーティスト公式ページ)
●http://www.sonymusic.co.jp/artist/BillyJoel/ (日本のソニー・ミュージックのアーティスト公式ページ)
【ビリー・ジョエル プロフィール】
アメリカのNY州サウス・ブロンクス出身のシンガー・ソングライター(1949年5月9日 生まれ)。ポップなメロディーと都会的なコンテンポラリー・サウンドに加え、高い芸術性を持ちつつ、現代に生きる“普通の人々”の挫折、葛藤、希望などをリアルな筆致で切り取った歌詞が特徴的で、1970年代後半から1990年代前半にかけてヒットを連発した。全世界で1億枚以上のレコード・セールスを記録し、アメリカでのレコード総売上第6位のアーティストとなっている。代表曲に、「ピアノ・マン」、「素顔のままで」、「アップタウン・ガール」、「ストレンジャー」、「オネスティ」などがある。日本人の感性にマッチした親しみやすく哀切を帯びたメロディーに、英語が分からなくても、全ての “普通の人々”がそれぞれに情景を思い浮かべて自身の思い出を重ねることが出来る様な、<人生のサウンドトラック>たりうる普遍性を持っており、ビリーの作品はここ日本でも時代を超えて生き続けている。