アルカザ-ル
 アルカザールが結成されたのは1999年。当時Lundstedtはすでにソロ・アーティストとして成功を収めており、Tessは音楽劇のディレクター、そしてAnnikafioreはアバのミュージカルでフリーダ役を演じ、初ステージを務めていた。Andreasは次の作品でスウェーデン語から英語に切り替える決心をし、プロデューサーのAlexander Bard、 Anders Hanssonらと話し合いを進めていたが、そのとき友人のTessとAnnikafioreに参加してもらいバンドを結成するというアイデアがふと浮かんだのだ。それがアルカサールの誕生であり、わずか数週間後にはBMGスウェーデンと契約を結ぶに至る。

 そしてそんなメンバーそれぞれの音楽や劇場経験の意欲と関心を、ひとつの大きなメルティング・ポットに投げ込んだ結果、生まれたのがデビュー・アルバム「カジノ」である。このアルバムには、シングル「Crying At The Discoteque」(Sheila B Devotionのフランスのディスコ・クラシック“Spacer”をサンプル)や「Paris In The Rain」といったパーティ系のトラックから、「Don’t Leave Me Alone」、「Transmetropolis」(ヒューマン・リーグと比較されることは間違いない)、エスニックな雰囲気の「Ritmo Del Amor」やJacques Brelのカヴァー曲「Seasons In The Sun」、美しいバラード「Tears Of A Clone」、ドラムン・ベースの「Salome」、そしてビッグなダンス・アンセム「Stars Come Out At Night」や「Baby Come Back」といった楽曲が収録されている。



その後、シングル「Crying At The Discoteque」の売り上げが70万枚を超え、アルカザールがバクテリアのように世界中に拡大する機会が再びやってきた。今回は今まで以上に強力だ。

「アルカザールはただ歌ったり踊ったりするだけのものじゃなく、ライフ・スタイルそのものになったのよ。私たちはメンバー同士のみならず、ファンたちとも強い絆で結ばれているの。まるでファミリーみたい」Tessはそう語る。

 ・・・それは新メンバーMagnus Carlssonが加入したことで、さらにビッグになったファミリーである。(Magnusはスウェーデンで成功したシンガーでソロ・アーティスト)

「ぼくはアルカサールの国際的なサクセスに従ったんだ。“Crying At The Discoteque”と“Sexual Guaranteeがヨーロッパのチャートを支配したのを見てきたよ。どういうわけか自分のキャリアの次のステップは、アルカサールと同じ方向性を持っているだろうと考えたんだ」

とMagnusは言う。

4人目のメンバーとしてMagnusを迎え入れたアルカザールは、さらにキラキラと輝く存在になった。今彼らは前作の続きとなる最高に強力なアルバムを携えている。それはソウルとフックから生み出される、高いエネルギーのディスコ・ポップだ。

 この新作には最高のソングライターたちが寄稿しているが、ポップの美学ともいうべきペット・ショップ・ボーイズが、他のアーティストに楽曲提供することは極めて稀なことであり、「Love Life」というトラックがアルカサールに贈られたことには大きな意味がある。アルカサールはポップ・カルチャーの暗闇を照らす光だ、とクリス・ロウは言っている。楽曲「Love Life」は、ペット・ショップ・ボーイズのクラシック・ポップといえよう。

 またファースト・シングル「This Is The World We Live In」は現在ヨーロッパ中のラジオ・チャートを席巻中で、スウェーデンでは最も急速にチャートを上昇するシングルになりそうな勢いだ。すでにスウェーデンでは成功を収めた「アルカライズド」は、今世界中に向けて発信されようとしている。ヨーロピアン・エディションは2004年夏の終わりにリリース予定となった。

ダンス・ミュージックとは創造力と変革の音楽である。しかしその殆どが、DJたちや一時的なゲスト・ヴォーカリストに仕切られるようになり、音楽業界も従来通りのロック・バンドかティーン・ポップをプレイするボーイズ、もしくはガールズ・バンドにばかりフォーカスするようになってしまった。しかしアルカサールは革新的で多様なダンス・ミュージックを製作することで、そういった溝を埋めようとし始めており、本格的なパフォーマンスと完成されたショーをオーディエンスに届けている。これまでスカンジナヴィア諸国は、大文字のAではじまる数々のポップ・アーティストたちを生み出してきたが、この伝統を継承する最新のアーティストこそアルカサールなのである。「Crying At The Discoteque」は70万枚以上のセールスを上げた・・・。「This Is The World We Live In」はきっとその記録を上回るに違いない!
テス

アンドレアス・ルンドステッド

アニカフィオーレ