12の未発表スタジオ録音から成るジミ・ヘンドリックスの新作『ピープル、ヘル&エンジェルズ(People, Hell & Angels)』。オリジナル・エクスペリエンスとは別に躍動していた伝説のギタリストの姿をはっきりと映し出す特別なアルバムだ。1968年以降、ジミ・ヘンドリックスは何かに急かされるように、旧友や新編成を従えて新たな素材の開発に意欲的に取り組んでいた。エクスペリエンスをロック界最大の興行収益を叩き出すアーティストとして確立するとともに、彼らのアルバムを2枚同時に全米売上チャートのトップ10内へと押し上げた巨大な聴衆の目の届かないところで、ジミは密やかに自身の音楽的声明作りに勤しんでいた。
12の録音はそれぞれ独自のサウンドとスタイルを有しており、さまざまな要素が組み入れられている——管、鍵盤、パーカッション、セカンドギターなど、いずれもジミが自身の新たな音楽に加えたいと思っていたものだ。史上屈指の輝きを見せるギターワークを収めた本作『ピープル、ヘル&エンジェルス』は、ソングライター、ミュージシャン、プロデューサーとしてのジミ・ヘンドリックスの成長ぶりを感動的なほど色鮮やかに見せてくれる。