フィリー・ソウル 紙ジャケットコレクション

2010年8月25日発売 5タイトル

● イエロー・サンシャイン
● サークルズ / シティ・リミッツ
● エドウィン・バードソング
● ディック・ジェンセン
● ミッドナイト・ダンサー / シルク

2010年7月21日発売 5タイトル

● オール・シングス・イン・タイム / ルー・ロウルズ
● アイ・ラヴ・ユー・ライク・アイ・ラヴ・ユー / ジェリー・バトラー
● ザッツ・ハウ・ロング・アイル・ビー・ラヴィング・ユー / バニー・シグラー
● ホエン・ラヴ・イズ・ニュー / ビリー・ポール
● サマータイム / MFSB

2010年6月23日発売 5タイトル

● タイム・イズ・スリッピング・アウェイ / デクスター・ウォンゼル
● ハリー・アップ・ディス・ウェイ・アゲイン / スタイリスティックス
● パーティーズ・オーヴァー / アーチー・ベル&ザ・ドレルズ
● ジーン・カーン / ジーン・カーン
● クッド・イット・ビー・マジック / アンソニー・ホワイト

2010年5月26日発売 5タイトル

● マクファデン&ホワイトヘッド / マクファデン&ホワイトヘッド
● メッセージ・イン・ザ・ミュージック / オージェイズ
● ジョーンズ・ガールズ / ジョーンズ・ガールズ
● アイム・イン・ラヴ・アゲイン / パティ・ラベル
● パスト、プレゼント&フューチャーズ / フューチャーズ

2010年5月26日発売 5タイトル

● テディ・ペンダーグラス / テディ
● テディ・ペンダーグラス / テディ・ライヴ!コースト・トゥ・コースト
● テディ・ペンダーグラス / TP
● テディ・ペンダーグラス / タイム・フォー・ラヴ
● テディ・ペンダーグラス / 歌の贈り物
● テディ・ペンダーグラス / ヘヴン・オンリー・ノウズ

流れるような旋律、漆黒のグルーヴ。コレがフィリー・ソウルの新定番。 今なおR&B/HIPHOP、ハウスに影響を与え続けるフィリー・ソウルの名門Philadelphia International Recordsから、 スムーズ&グルーヴィーなキラー・チューンをコンパイル!!

フィリー・グルーヴィー PHILLY GROOVY

フィリー・グルーヴィー PHILLY GROOVY

マクファデン&ホワイトヘッド、アーチー・ベルズ&ザ・ドレルズ、オージェイズ、イエロー・サンシャイン他、全18曲収録

フィリー・メロウ PHILLY MELLOW

フィリー・メロウ PHILLY MELLOW

パティ・ラベル、スタイリスティックス、ジーン・カーン、シルク、フューチャーズ、テディ・ペンダーグラス他、全16曲収録

2010年、なぜフィリー・ソウルなのか!?(選曲監修:音楽ライター 林剛)

フィラデルフィア・ソウル。それは70年代のソウル・ミュージックの象徴だった。ケニー・ギャンブルとレオン・ハフが設立したフィラデルフィア・インターナショナル・レコーズ(PIR)を中心に展開されたその流麗で躍動感溢れるソウル・ミュージックは、60年代のモータウン・サウンドにとって代わるようにUSシーンを席巻し、ここ日本でもフィリー・ソウルという愛称で親しまれ、今も根強い人気を誇っている。ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツの“If You Don't Know Me By Now”、ビリー・ポールの“Me And Mrs. Jones”、スリー・ディグリーズの“When Will I See You Again”といったポップでキャッチーな名曲の数々。だた、フィリー・ソウルと言うと、どうしてもそれら70年代前半のヒット曲ばかりが懐メロ的なノリでコンピレーションなどに収録され、「華麗なストリングスが響き渡る洗練されたソウル」と紋切り型の紹介をされるだけで終わっていたように思う。実際にはもっと様々なスタイルの曲があったのに。

もっとも、この20年ぐらい、日本では76年以降のPIR音源(“後期PIR”と呼ぼう)の発売権がなかったため、フィリー・ソウルの魅力が広く伝わらなかったということもあるのだろう。だが、後期PIRの発売権を有した現在なら、その魅力をトータルで伝えることができる。そこで今回は、これまで親しまれてきた名曲は名曲として評価しつつ、現代的な感覚で評価されているフィリー・ソウルの曲にも光を当てて新たなスタンダードを提示しようではないかということになった。その手始めとして、「GROOVY」「MELLOW」という分かりやすいキーワードを使った2種類のコンピレーションを用意したわけだ。

フィリー・ソウル・ファンならご存知のように、75〜76年頃のPIRはレーベルの転換期にあった。詳しく述べるスペースはないが、ひとつ言うなら、70年代中盤以降はシグマ・サウンド・スタジオの常駐音楽集団であるMFSBの陣容が変わり、PIRの作家陣もデクスター・ウォンゼルやシンシア・ビッグスらが幅を利かせ始め、シカゴ・ソウルのクイントン・ジョセフ(ドラムス)がセッションに参加するなどしてサウンドが変化。結果、00年代のネオ・フィリー・サウンドにも繋がるようなモダンでメロウな曲が増え、いわゆるディスコ・ブギー的なダンス・チューンも登場し始めた。そんな後期PIRの看板アーティストとして(ソロで)活躍したのが、過日他界したテディ・ペンダーグラスだった。

「今でもラジオをひねれば僕たちが昔作った曲の断片がどこからか聞こえてくる」と得意げに話していたのはギャンブル&ハフ。そう、PIRの曲はR&B / ヒップホップをはじめとする数多くのアーティストにカヴァー / サンプリングされてきた。特にサンプリング・ソースということで言えば、使用頻度の高い楽曲は後期PIRのものが多く、それらはロイ・エアーズなどが再評価されたのとよく似た感覚でレア・グルーヴ文脈でも人気を得ている。後期PIR音源のリイシューが進んでいたUKではDJのノーマン・ジェイらがそうした視点からコンピレーションを編纂するなどしていたけれど、ようやく日本でもそれに近いものが組めるようになったわけだ。もっとも、それでもリリースの許諾が下りない曲があり、収録出来なかったものも少なくない。が、そんな裏事情はさておき、まずはここに収録された名曲たちの粋なフィリー・グルーヴを楽しんでもらいたい。