darren
darren hayes




SWEDEN

僕は、スウェーデンはストックホルムのホテルの自室にいる。また始まったってことじゃないかな? 仕事に戻って、僕の音楽について、国際政治に対する考えについて、そして自分の髪の毛の色について語る旅に出ているというわけだ。人の関心を自分に向けるために取る行動って、ときにはバカげてる。でも僕の仕事は本質的にバカげてるから。僕はスーツケースいくつかに荷物をつめて、何かを探し、何かを説き、願わくば何かを学びつつ世界を回る。その間中ずっと、君に、そして僕自身にも、もっとほほえんでほしいと思いつつ。まあ、最近非常にそういう感じになりつつあるんだけどね。
ステレオではナタリー・インブルーリアがかかってる。今日、彼女のニューアルバムを買ったんだ。ずいぶん前にもらったのがあったんだけど、サンフランシスコの家においてきてしまった。今朝テレビをつけたら、最新ビデオクリップの中で彼女は小突き回されていた。僕はアルバムがすごく聴きたくなったし、彼女のはかなさと強さ、そして正直なところパフォーマンスにもすごく感動した。それで、寒くて雨まで降っているという突然の冬模様の悲惨な天気の中を、彼女の癒し声を求めて走り回るハメになった。でも今や部屋には彼女の「バタフライズ」が流れていて、僕は幸せというわけだ。メランコリー気分の日に落ち着くには、メランコリーなメロディだよね。
そういう日も好きなんだけどね。雨が降って、寒くて、風が強くて、でも僕はホテルの部屋にいて、部屋の中はうれしいことにあったかくて、それで、窓から通りを見下ろして、人生についていろいろ考えたりしてる。マジでナタリーのこのアルバムは好きだな。
僕は本当に今、感謝の気持ちでいっぱいなんだ。僕は大好きな人たち大勢と一緒に旅に出ている。マネージャーのリオーニが僕にとって、一番大切な友達よりも大きな存在であることは明らかだ。彼女は本当に何の苦もなく、指示を出したりリーダーシップを発揮したりするこの新しい役割に専念してくれている。そして彼女は、とても純粋で親しみやすい人たちで僕の周りを固めてくれるという、驚くべき才能の持ち主でもあるんだ。例えば、彼女の子供のときからの親友、シャロン・ミリントンが僕の今のトレーナーだ。世界一才能のあるヘアスタイリスト、トロイ・ブレナンも昔からリオーニと一緒に仕事をしている。・・・そしてとにかく二人とも、僕を世界にお目見えさせるという仕事に目下没頭中なんだ。僕の言いたいのはつまり・・・二人とも本当にクールで親切で、僕は非常に幸せなんだ。トロイはイカれてて、知ってる中でもっともゆかいなヤツだ。全くもって不敵な笑いのセンスの持ち主だけど、心は純真なんだ。彼はほどんと一日中シャロンをからかっていて、シャロンはずっと愚痴ってて、二人にはさまれてると、何年ぶりかって感じにめちゃくちゃ笑い続けてしまう。それで、家からも愛する人と一緒にいる幸せからも遠いということが忘れられて、まるで初めてのときみたいに旅を楽しんでいる。
日本で所属レコード会社のソニーから、一生懸命働いたごほうびとしてデジタルカメラをもらった。日本では本当に忙しかったよ・・・。何とか全部こなしたけどね。いつかベンツを買ってくれるまで、 "一生懸命"働き続けようと思ってる。また手紙書くね。ここに載ってるのは、だいたいトロイと一緒に過ごしてた、スウェーデンでのオフの日に撮った写真だ。新しいカメラを持ったらアンディ・ウォーホルになった気がして、それで精いっぱい芸術家ぶってぼかした感じに撮ってみた。トロイは使い捨てカメラでいろいろ実験して、僕のデジタル兵器に張り合おうとしてた・・・。ところで、トロイは鼻の穴の間の軟骨にとがった鉄のピアスをしてて、僕はそれを「鼻槍」って呼んでるんだけど、とにかく昨晩・・・、彼はその鼻槍を排水溝に流してしまった。それで今日、現像所から写真を受け取ったんだけど、彼は鼻槍によって撮影テクニックを授かっていたのかもしれないという仮説に到達したよ。彼の視覚的才能が、鼻槍と一緒にお風呂の排水溝に流れていってしまったということかもしれない。ヘアメイクの名手とはいえ、デヴィッド・ラ・シャペル(マライア・キャリーのビデオクリップを手がけたこともある著名な写真家)っていうわけじゃないからね。今日現像した中でもとりわけひどいフィルム(ほとんどすべてのショットに、彼の指がレンズ越しにぼやけて写ってる)を使っていつか、「使い捨て」ってタイトルの写真集を出版してほしいもんだ。トロイは僕の意見にカンペキに納得してるわけじゃない。彼はまだ、ジャケットのポケットの中にある未現像フィルムの中には珠玉のショットが隠れていると思ってるんだ。また後日ご報告まで。トロイの言葉を借りれば、問題は彼の被写体の選び方にあるのかもしれない・・・。彼は「とにかく何でも撮っちゃう」んだ。



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