darren
darren hayes




2002年10月2日 水曜日

僕はいま、マンチェスターにいる。今日はオフの日で・・・夜の街のお散歩から 帰っ てきたばっかりのところなんだ。マンチェスターって、クールな街だよね。ホント に たくさんのグルーヴィーな音楽がこの街から生まれてきたっていうのも、納得でき る なあと思ったよ。そういうものを生み出す空気が、街にただよっているという感じ な んだ。

まあ、とにかく・・・、ただぶらぶら、夜の街を散歩してたんだけどね。そういえ ば、先日、ケンブリッジでのライヴのあと、まったくもってすばらしい経験をする こ とができたんだ。まず第一に、その夜は、オーディエンスが僕らをノリにのせてく れ たという感じだった。これははっきりしてることだと思うんだけど、オーディエン ス のみんなが、あまりにも一生懸命ライヴに夢中になってくれていたから、演奏して い る僕たちのほうも、その夜、ちょっと普通じゃあない、かなり特別な状態で演奏し よ うっていう気分に、どんどん駆り立てられていったんだよね。それで、ライヴが終 わったあと、僕は会場の外にぼーっと出て行って、人ごみの中をみんなと一緒に なっ て歩いてたんだけど、そこにいた人々はほとんど誰も、僕がそこにまじっていたな ん てわからなかったんじゃないかな。ホントにクールな気持ちを味わったよ。なぜっ て、僕は、ライヴを見終えたあとの人々が発散するエネルギーをどっぷり感じるこ と ができたわけなんだけど・・・それはしかも、僕自身が演奏してたライヴを味わっ た ことによって生まれたエネルギーなんだもんね。そして僕は、そのエネルギーを たっ ぷり味わいつつ、月明かりをあびながら、踊るような足取りで歩いていたというわ け なんだ。

それはさておき・・・、僕がなんで会場の外に出て行って駐車場なんかにいたかっ て いうと、伝説の男、ウィリー・ウィリアムズを探してたからなんだけどね。彼のこ と、知らない人たちのために説明をしておくと・・・、彼は僕のツアーを手がけて い るデザイン・チームのかたわれなんだ(照明デザイナーのブルース・レイマスが、 も う一方のかたわれなんだけどね)。このデザイン・チームなんだけど、僕にホント に いろいろな方面においてクリエイティブなアイディアを与え続けてくれている二人 組 なんだ。彼らはU2のライヴの仕事を手がけてきたことで非常に有名な二人なんだ け ど・・・、サヴェージ・ガーデン時代の最後のツアーでも僕と一緒に仕事をしてく れ た経験があるし、もちろん、今回のツアーでも二人に仕事をお願いしているんだ。 と ころで・・・、ブルースのほうはっていえば・・・、彼はツアーを通してずっと、 僕 の“相棒”状態なんだよね・・・、われわれと一緒に旅をして、ライヴのときも会場 にいて照明機器や音響機器のオペレーションをやってるんだけれども・・・、で も、 ウィリーのほうときたら、ツアーの最中、見かけることなんてほとんどないんだ。 だ から、ウィリーがライヴ会場にひょっこり姿をあらわすことを決めたとなると、そ れ は、僕たちにとって、非常にめったにしかないお楽しみデーとなるわけなんだ。

僕とブルースとウィリーの三人、それから、ウィリーが照明チームのバスに乗せて 連 れてきた、信じられないような数の大勢の人たちみんな(それでもって、その人た ち は実際のところ、だあれも僕のライヴを観てないという状態なんだけど・・・。み ん なはただただ、ウィリー・ウィリアムズその人に会うためだけにやって来たという わ けなんだ!)は、一緒になって、その照明チームのバスに乗り込んで数時間を過ご し、照明チームにおいて流通しているところの、“変わり者”なる称号を頂戴するこ とができた。みんないままで、その称号がほしくてたまらなかったんだよね。照明 業 界ではどうも・・・、階級というものは、“変わり者”からスタートして、さまざま な称号を経て、最終的には最上級の“ダイヤモンド散りばめプラチナ級の変わり者” に到達するということになるらしいんだよね。まあ、いろいろあるんだけど、それ は ツアーとはまた、全然別の話なんだけどね。

僕がその照明バスに乗り込んでからも・・・大勢のファンがそのバスを取り囲んで い て、僕が出てくるのをずっと待っていた(ホントにありがとうね・・・みんな、僕 に さよならのあいさつをするために、ずっとずっと待ち続ける羽目になってしまった ん だから)・・・。僕たちは、まだしばらくの間そこにいたんだけれども、どの人の 顔 もみんな、笑顔で輝いていた。

つまり、その日は一日を通じて・・・晴れ晴れとした、幸せな時間を過ごしたとい う わけなんだ。そのときのこと、これで君にも、いろいろとわかってもらえたってい う 感じかな?


キス、D


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