八木海莉のデビュー曲「Ripe Aster」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生 追憶編』主題歌)が2022年3月16日(水)に発売となる。
作詞は八木海莉、作曲は八木、おかもとえみ(フレンズ)の共作、編曲をebaが手掛けたこの曲は、儚くも美しいメロディと<揺るがない 譲れない 此処にいる / 信じ続けて>という歌詞が共鳴するミディアム・バラード。
透明感と芯の強さを同時に感じさせるボーカル、彼女自身の感情を投影した歌詞を含めて、アーティストとしての無限の可能性を感じさせる楽曲だ。
TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』にて主人公のヴィヴィの歌唱を担当し、大きな注目を集めていた八木海莉は、2002年9月生まれ、広島県出身の19歳。
小学校4年生からダンスをはじめ、地元・広島のダンススクールに通いはじめたのがアーティストへのスタート地点だった。
「叔母にオーディションに連れてかれたんです。“グランプリを取ったら賞金がもらえる”という大手ダンススクールのオーディションだったんですけど、私は犬が飼いたくて、何気ない気持ちで参加しました(笑)。そして、参加したら本当にグランプリをもらえて。そこからは本格的にレッスンを受け始めました。」
「学校はあまり好きじゃなくて、小学校の頃はスクール中心の生活でした。夢や目標があったわけではなくて、ただ楽しいからやってるという感じでしたけど」という彼女だが、小学校6年生のときに一つ目の転機が訪れる。スクールの発表会を見た関係者業界関係者の勧めで、東京でオーディションを受けたとき、歌うことの気持良さを初めて実感したのだという。
「演技や歌のオーディションでした。西野カナさんの『私たち』を歌ったんですけど、その時、なぜかすごく気持ちよくて。たぶんオーディションの緊張感から解放されたからだと思うんですけど、そのときに“もっと歌いたい”と思って。それからは“歌って踊れるアーティストになる”って言ってました」
中学の3年間もスクールに通い続け(ボーカルの個人レッスンも受けていたという)、卒業後はすぐに上京。アルバイトをしながら高校に通い、ボイトレを受け、オーディションを受ける日々を送り始める。
「デビューが決まっていたわけではないのですが、1人で東京に来たんです。オーディションがあればすぐに受けられるし、チャンスを増やしかったので。最初は“一人暮らし、最高だな”と思ってたんですけど、途中から大変でしたね (笑)。実家のときは夜、ギターを弾いて大声で歌っても大丈夫だったんですけど、東京だとそれもできなくなったし、知っている人もいなかったので。でも、広島に帰ろうとは思わなかったです。東京に来るとき、親に“ダメだったら帰っておいで”と言われたんですけど、“絶対に帰らん!”って言ってきたので(笑)」
オーディションでも思うような結果が出せず、ライブもできない状況が続くなか、彼女が始めたのがYouTubeでの弾き語り映像の投稿。
「だから僕は音楽を辞めた」(ヨルシカ)、「会いたいわ」(iri)、「MILABO」(ずっと真夜中でいいのに。)、「クロノスタシス」(きのこ帝国)、「フロントメモリーfeat.川本真琴」(神聖かまってちゃん)などのカバー動画をアップし、少しずつ再生数を伸ばしていった。
同じ時期にオリジナル曲の制作もスタート。自らの力で、アーティストとしての地力を身に付けてきた。
「弾き語りの投稿は“見てもらえたらラッキー”くらいで始めたんですけど、反応が増えてくると嬉しくなってきて、自分なりに工夫するようになりました。
オリジナル曲は、人に勧められて作り始めました。ピアノも弾けないし、ドラムの知識もまったくなかったのですごく大変ですけど、曲を作るのは楽しいし、細かい作業も好きです」
上京から2年近くが経ち、「めっちゃ焦り始めた」という彼女に大きなチャンスが訪れる。TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』にて主人公のヴィヴィの歌唱を担当。
主題歌「Sing My Pleasure」は大きな反響を集め、八木は「レコチョク上半期ダウンロードランキング2021・ 新人アーティストランキング」で1位を獲得した。
「リリースするためのレコーディングは“Vivy”が初めてで。最初はすごく緊張して声が震えました。2回くらい歌って自分の歌を聴いたときに、“これ以上、最低の歌はない。震えがなくなれば大丈夫。あとは上がるだけだ!”と思ってからは大丈夫でした。
アニメの放送が始まるときに“私が歌った曲がオンエアされます”ってツイートするときも手が震えましたけど(笑)。すごくカッコいい曲だし、たくさんの方に聴いてもらえて本当に嬉しかったですね。
“Vivy”の楽曲をみなさんに聴いてもらえたのは、曲と歌詞の力が大きいと思っていて。そんな素敵な作品に関われた事を本当に感謝しています。」
そして12/18には“八木海莉”名義のデビュー曲「Ripe Aster」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生 追憶編』主題歌/2021年12月31日(金)23:57より放送)が配信リリースされた。
作詞は八木海莉、作曲は八木、おかもとえみ(フレンズ)の共作だ。

「まず自分でデモ音源を作って、えみさんにアイデアをいろいろもらいながら広げて、いい曲になった!という満足感がありましたね。
アレンジもすごく豪華で歌詞は“追憶編”の原作を読んで、自分との共通点を探しながら書きました。達也、深雪の変わらない思い、どんなトラブルがあっても一緒に居続ける姿を歌詞にしたくて。
私も活動の状況はいろいろ変わってきたけど、やりたいことはずっと変わらないので。タイトルにある“アスター”の花言葉にも、“変化”追憶“という意味があるんですよ」

ミュージックビデオは静岡で撮影。森のなかで歌うシーン、アトリエで絵を描く場面など、彼女の多彩な表情が楽しめる映像に仕上がっている。

「静岡に行くのも森のなかで撮影するのも初めてで楽しかったです。大きなキャンバスに絵を描いたこと事は今までなかったので、不安だったんですが、良い感じに完成して良かったです。」

現在は好きなアニメや漫画、ゲームを楽しみながらも、4月27日に発売となる1st EPの制作が追い込み中のようだ。
「よく“マジメだね”って言われるんですけど、好きなことをやってるだけなので、自分ではマジメとは思ってないんですよ(笑)」と笑顔で話す八木海莉はこれから、アーティストとしての無限のポテンシャルを発揮することになるだろう。
「曲もたくさん作りたいし、ギターもライブで披露できるくらい上手くなりたくて。やりたいことはいっぱいあるので、みなさんと一緒に楽しんでいきたいですね」
Text : Tomoyuki Mori
Photo : Seiya Fujii