例年にも増して、たくさんのカウントダウン・パーティが開かれた1998年末。その中でも、テクノ、ハウス、ドラムンベース、ヒップホップといった、多岐に渡るジャンルのトップDJ達が顔を揃えた『MILLENNIUM』は、日本を代表するカウントダウン・パーティの趣さえ感じられる程の盛り上がりを見せていた。今回はなんと4,000人以上ものクラウドが会場の恵比寿ガーデンホールに集まったそう！ありとあらゆるダンスミュージック・ファンが垣根を超えてハッピーな空間を共有した大晦日の夜は、世紀末の不安も不況もをブっ飛ばしてくれそうな(?)熱狂の渦の中で新年の幕開けを迎えた。 ドラムンベースのトップDJ、 DJ FORCEのプレイで華やかに幕を開けた『MILLENNIUM』。DJ FORCEに引き続くDJ陣は、何と、SUBLIME RECORDSのYAMA、SUBVOICEのDJ SHUFFLEMASTER、CO-FUSIONのメンバーでありSUBLIMEのレーベルパーティ『CYCLE』のメインDJであるWADA、とテクノ界の重鎮DJ達だった。パーティののっけから超満員のクラウドが彼等のプレイの一挙一動に盛り上がる様子はまさに圧巻といった感じ。CAPTAIN FUNKやCO-FUSION等のアルバムのリリースやワールドツアーによって、飛躍的にそのレーベルの評価を世界に知らしめたSUBLIME RECORDSとそのレーベルパーティ『CYCLE』、カリ・レケブシュやSUBHEADといったテクノ界の著名アーティストとのコラボレーションで大活躍したSHUFFLEMASTERの人気の高さが伺える。炸裂するテクノ・ビートを繰り広げるWADAのプレイに、もう誰にも止められない！といった調子でヒートアップしていくクラウドの熱気が最高潮に達し、遂に1999年へのカウントダウンが始まる！ 昨年もカウントダウンを盛り上げてくれた真打ちサワサキヨシヒロは、羽織袴にポニーテール姿でブースに登場すると、待ってました！とばかりに歓声がさらに沸き起こる！ WADAのプレイに乗って、カウントダウンの秒読みスタート！ブースには、DJ達も勢ぞろいし、遂に1999年！ 新年一発目のDJはYO-Cだ！お祭りごとにこれほどぴったりなキャラクターはそうそういないに違いない人気者YO-C。いつも以上にさらにハッピーでアッパーなプレイでレーベルの盟友TOMOにバトンタッチ。元気いっぱいのワープハウス・ファンの大歓声に、手を上げて答えながらプレイするTOMO。 引き続くQ'HEYは、ブースの前の台に両手を上げて立ちはだかり、『AMAZON』をプレイ！大喜びのクラウドが続々とフロアからDJブースにかけ上って、大暴れしまくり、まるでロックのコンサートのようなノリ（笑）。 YO-C→TOMOの流れと打って変わった、マッドなハードテクノ＆変則アシッド系ミニマルがうねりまくるが、クラウドはひるむどころか逆に絶叫して大喜びしているのがスゴイ。 今年リキッドルームでカウントダウンのDJを務めたEMMAがQ'HEYに引き継ぎ、ヒット曲満載のハウスチューンへと展開していく。MISSIONの土曜の人気DJ HIRAGURIはハードハウス寄りの選曲で、またBPMを上げていったところで、今度はCAPTAIN FUNKのエレクトロ・ファンク＆テクノ、ディスコ、ドラムンベース、ワープハウス、ハードテクノ、ハウス、ハードハウス...！と、まるでメリーゴーランドのようにくるくる変わっていく展開がお祭り気分を嫌が応にも盛り上げてくれる。 疲れ知らずのクラウドが踊り狂う中、ニューエナジー大王、ヨージ・ビオメハニカ登場！ビキビキのトランシーなニューエナ・サウンドがフロアに響き渡る、迫力のプレイ。NAO NAKAMURA、そしてSHINKAWAと、またワープ・ハウス勢がフィナーレを飾るまでフロアは上がりっぱなし。最後まで加速し爆走し続けた。 メインフロアとは対照的に、セカンドフロアは、ブレイクビーツ、アブストラクト、ヒップホップ、ハウス等の和み系のサウンドを提供していた。 しかし、ヒップホップ界のドンDJ KRUSHと、アフリカ出身のパーカッショニスト、ツンデ・アヤンミィのセッションやDJ YASとMCによる男気溢れる熱いプレイも、メインフロアに勝るとも劣らない盛り上がりを見せていた。 昨年以上にバラエティ溢れるジャンルのアーティスト、クラウドが一同に介した『MILLENNIUM』、どのジャンルのアーティストも各シーンの底力を競合しあうような熱気に溢れたプレイを見せてくれた。1999年もそれぞれのシーンでの活躍やジャンル同士のクロスオーバーが拡大して新しい音楽を生み出してくれる、そんな予感を感じさせてくれるグッド・パーティだった。