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4月14日から、台湾のタイペイ、タイのバンコク、シンガポール、フィリピンのマニラ、と4か国をツアーし、その中の3か国でDJパフォーマンスを披露したケンイシイ。日本人のテクノ・アーティストがこれだけのアジアの大都市を大がかりにツアーしたというのは初めて。アジアのダンスミュージック・シーン、そしてケンイシイ自身、双方にとって新鮮でエキサイティングな体験だったようだ。

KEN DJingツアーの封切りは、タイペイの『@live』。
ご存知の方も多いかもしれないが、ここタイペイは、日本のダンスミュージック・シーンと深い繋がりがあるところ。ここ2、3年の間にテクノを中心としたダンスミュージックに対する関心が非常に高くなり、Q'heyやYo-C、Mayuriなどの人気DJがタイペイでプレイをしている。媒体での注目度も一番高く、大きなグループ・インタビューが行われたり、2000人ほど集まったオーディエンスのノリ的にも熱気に溢れていて、初日を飾るのにふさわしい華々しいパーティになった。

シンガポールの『Zouk』というハコは毎週海外からの有名DJがプレイするハコとして有名なところだ。リゾートっぽい雰囲気にあふれ外国人が多く大人向けのクラブといったイメKEN ISHI in ASIAージ。ケンのプレイしたメインフロアの他に、ラウンジやハウスをかける『Velvet』、ハイテク風の内装の『future』と名付けられたそれぞれのフロアがあり、洗練されたパーティを皆楽しんでいたようだった。

バンコクでは、タナカノリユキ氏のヴィデオ撮影の為の立ち寄り。異国情緒溢れるお寺の中での撮影やボートの上でのヴィデオ・シューティングなどが行われたそうなので、このあたりの模様は10月リリース予定のタナカ氏のヴィデオを楽しみにしていて欲しい。

Interview in Hongkongホンコンは、一昨年、デリック・メイ、ジェフ・ミルズ、ケンイシイ、石野卓球、田中フミヤなどがプレイした『MIDEM HONGKONG』、昨年の香港中国返還パーティやケンイシイの年末のDJ パーティが開かれたりして、日本のテクノ・ファンにも一番なじみがあるところだと思う。ホンコンでのプレイは、『ニュー・ワールド・ハーバート・ビュー』で行われた。ココでのパーティはセレビリティやモデルの人といったお金持ちっぽい人達も多く、ファッショナブルな感じに溢れていたのが印象的だった。

ツアーのラストを飾ったのは、マニラ。
シンガポール、ホンコン、タイペイといった東アジアの国々と比べて、そういったクラブシーンのあまりなじみのない国かと思いきや、実は、一番テクノ・シーンが根付いているという印象があった。ローカルのオーガナイザー&プロモーターとDJ達が集まった
『Groupe Nation』という集団によるパーティだったのだが、この『Groupe Nation』、年4回のイベントを400yenくらいの低料金でオーガナイズしている集団だ。
このパーティでは、アミューズメント・パーク『star city』の中の倉庫を使ったウェアハウス・パーティを自づからオーガナイズし、倉庫の壁一面をプロジェクター映像を流していたのが印象的だった。
このマニラの感じは、日本のテクノシーンの黎明期の感じととても似ているという印象があり、有志が集まったアンダーグラウンドのクリエイター集団とメディアやレコード会社というメジャーが一体となって新しいテクノ・ムーブメントを作っていってくれそうな予感があった。

ケンのプレイは、全体のツアーを通して、東京でプレイしているケンのスタイルに、アジアの状況を鑑みて盛り上げ系の曲を織り交ぜるといった感じのプレイ。ブレイクビートも4つ打ちもアリでフロア・オリエンテッドな選曲を心掛ける彼のプレイにどの国でもオーディエンスの反応は日本以上の盛り上がりといってもいいくらいの熱気があった。

ケン自身の感触としても、ヨーロッパ以外のアジア諸国でもテクノが盛り上がっていることが実感できたのが大きな収穫だったようだ。そして、自分の音楽を熱狂的に受け入れてくれていることにも率直に喜んでいた感じだ。特にラストのマニラでのオーガナイザーやクリエイター達の努力には感銘を受けていたようで、なんと予定を大幅に伸ばして3時間近くプレイ。本当に素晴らしいパーティ体験だったようだ。

さて、アジア諸国でのソニー・ミュージック・アジアでは、ヨーロッパとは違う独自のムーブメント、アジアの中でスターを作っていきたい、という動きがあり、そういった中でこのケンイシイのアジア・ツアーも行われた訳だが、今後、このような盛り上がりの中で、各国のどのようなテクノ・ムーブメントが生まれていくのか、そして、その中で日本発のアーティスト、ケンイシイがどのように受け入れられていくのか、将来が非常に楽しみだ。日本から近いのに今までなぜか遠かったアジア、ソニーテクノ読者も、ぜひ、このアジアの国々に興味を持ってみて欲しい!

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