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"生演奏とエレクトロニクスの自然な融合"



『remix』6月号〜スクエアプッシャー ・インタビュー / テキスト 青木美幸 / 通訳 ICHIKO

"生演奏とエレクトロニクスの自然な融合"

スクエアプッシャー(本名:トム・ジェンキンソン)が作りだす音楽には、そんな言葉がぴったりはまる。

父親の影響で、幼い頃から様々な音楽に親しみ、小年期にはドラマーとして、

ベーシストとして、様々なバンドに参加。その頃の彼は、70年代のジャズやフュージョンに興味を持っていたようだ。そんな彼が初めてエレクトロリック・ミュージックを耳にしたのは、LFOの名曲「LFO」。

それをきっかけとして、彼独自の音楽が今ここに誕生しているといえるだろう。

これまでに彼は、ステレオライプ、ランブル1、デューク・オブ・ハリゲンなどの名義でも作品をリリースしている。その後彼が尊敬するアーティスト、リチャード・ジェームスが主宰するレーベル、リフレックスと契約し、そこからリリースした作品「スクエアプッシャー・プレイズ」(96年5月)、アルバム「フィード・ミー・ウィアード・シングルス」(96年6月)で、幅広い音楽界に衝撃を与えた。同時期にワープともに契約した彼は、同レーベルからシングル「ハード・ノーマル・ダディ」をリリースした。

この作品からも感じ取れる、ジャズ、ダブ、ドラムンベースなど様々なテイストを持つ彼の音楽性は、もはやエレクトリック・ミュージックを超えてまさに"現代の音楽"と呼べるものである。まだ21歳のスクエアプッシャー。今後もどんどん進化していくだろう。そんな彼に電話でインタビューを試みた。

ニューアルバムは、レトロな感じのジャズ・テイストあり、もっていかれそうなドラムンベースあり、とまたまたいろいろな要素が詰め込まれたアルバムだなと私は感じました。一つの物語のように展開がいろいろあって…。あなた自身は新作についてどのようなコメントを持っていますか?またそこに込めたメッセージはありますか?

「こんな風にいろいろなトラックを一度にやるのは初めてなんだけど、ある意味どのトラックにも関連性があるんだ。今まではどちらかというと独立した個々の作品が集まったものという形になっていたけど、今回は初めて同じ次元で次から次ぎへと流れていくアルバム全体の流れを意識しているんで、また違った形で聴いてもらえるんじゃないかと思ってる。特にメッセージ的ばものはないんだ。聞き手がそぞれ意味を見い出してくれればいいと思うし、リスナーにこんなことを感じ取ってほしいみたいな思いを音楽に込めることは僕はしない。したとしてもそれをこんな意味があるんだなっていう風に人に言ったりはしないよ。リスナーが僕の音楽からそれぞれの物語を読み取り何かを感じてくれることが、やってて一番興味深い点でもあるからね。」

前回のインタビューで(本誌67号ロンドン・レポート)、あなたは何でもサンプリングしてみる、と言ってましたね。今回のアルバムではどんな新しいことに挑戦しました?

「そうだね、日常生活の中で自分を取り巻いている様々な音から常にいろんなノイズを生み出してはいるけど、どうかな…。今までの作品とは違う何か革命的なことに挑戦したってことでもないし、根本的な作り方は以前と変わっていない。変わったことといえばアルバムのために全曲同時期に作ったってことぐらいかな。もちろん自分自身の中の変化ってものはあったと思うし、一年前、二年前の作品とは違ったものが自分の中から出てきているけどね。曲を作る時は自分がどんな気分でいるかとか季節の変化とかに影響されるってことはあんまりないんだ。それよりもどんなゲームにハマっているかみたいなことが反映されているんじゃないかな(笑)。最近では一昔前のアナログ色の強いゲームにハマってるんだ。本当に基本的なシンプルなやつ。サッカーゲームとか夢中になってる。(笑)。けっこううまいんだよ。」

プログラミングはやっぱりドラムマシーンで?コンピューはまだ使っていませんか?

「そうだね。プログラミングはBOSS DR-660でやっている。他の機材はAKAI S950のサンプラー、FOSTEXマルチトラック、ROLAND SH-101とか基本的なもので、他にいくつかその時々で使い分けている」

アルバムの制作時期は?

SQUAREPUSHER  FACE「去年の夏に作ったものなんだよ。それ以降もけっこう精力的に新作を作っているよ。アルバム・リリースの2カ月後ぐらいに7曲入のミニLPがリリースされる予定があるしね。それも全曲完成していてあとはリリースを待つのみさ」

このアルバムを作ってみて、新たに生まれたアイディアなどはある?

「アルバム制作中は一曲作り終えるごとに新しいアイディアがどんどん生まれて制作のペースもかなり早かった。アルバムが完成した後も次々にアイディアが湧き出てくるんだ。まるでとどまることを知らないかのようにね。時にはそれがエレクトリックな側面だったりジャズ色の強いものだったり、ベースをふんだんに使ってみたかったりするときは複雑なベースアレンジを楽しんだりって感じでその時によってずいぶん違ってくる」

あなたは楽器を演奏して、そしてそれをエレクトリックなものと融合させていますよね。そのことはあなたにとってどんな意味をもつのでしょう?「ごく自然なあなた自身の音楽の形」なのでは?と私は感じます。あなたはこれまでに様々な音楽に関わり、楽器にも親しんできたんですよね。

「生の音とエレクトリックなものの融合は僕の音楽の中でかなり重要な要素だと思う。いろんなバンドに参加していろんなミュージシャンと一緒にプレイしていた経験から音楽を学んできたわけだし、僕の音楽知識はそんな歴史の中でつちかってきたものだから、今作ってる音楽にはそんな要素があるってことは僕の音楽知識はそんな歴史の中でつちかってきたものだから、今作っている音楽にそんな要素があるってことは僕の中ではとても自然なことだからね。」

アコースティックな音楽とエレクトリック・ミュージックとはあなたの中でどんな結び付きをしている?

「アコースティックな音もエレクトリックな音も無数に存在する音の一つでしかない。僕のなかでは音が何から作られているかなんてことは関係ないんだ。 キーボードの音もハンマーでラジオを叩き壊す音も僕の中では同じなんだ。 伝統的なアコースティックな楽器の音とサンプラーの音との違いなんてものはないと思ってる。すべてが音なんだからね。中にはエレクトリックな音で人間の感情は表現できないなんて思ってる人もいるけどそんなことはない、それはただ今までに試みた人がいないってだけだよ。どっちにしたって録音したり再生したりっていうのにはエレクトリックなハードが使われるわけだからね」

それではあなた自身のことについて聞かせて下さい。あなたは少年のころから、様々な音楽を聴いて育ったそうですね。

「そうだね、いろいろ幅広く聴いてきた方だと思うよ。 最初に聴き初めたのはダブだったかな。 父親の影響が大きかったな。 家にあったテープやレコードを聴いてるうちにどんどんハマっていった。 子供の頃ってなんでも興味をもつもんだからね。 ラジオでかかっているポップとかにも興味を持った頃もあったし、学生時代は仲間同士で持ってるテープを交換したり、楽器を初めてからはその時々に参加してたバンドの音楽を聴いてた。 最初に参加したバンドだったんで当時はフラッシュメタルばっかり聴いてたりとかね。 その後はファンク・バンド、そしてジャズってな具合にいろんな音楽を経験してきた。 今はほんとに何でも聴くって感じかな。」

どんな子供でした?

「ハイパーアクティブ。 とにかくじっとしてられない子供だった(笑)」

その頃憧れていたことはありましたか?

「うーん特にないな。ヒーローみたいな存在はいなかったけど、7歳くらいの時からミュージシャンになるんだみたいなヴィジョンは持っていた。とにかく音楽をやりたいって気持ちはあったな。小さい頃から兄弟や友達を集めてフライパンやナイフやフォークやスプーンでバンドの真似事なんかするのが好きだった。それに子供の頃から独立心が強かったように思う。学校はとにかく退屈で授業なんか聞いてても2分ともたない。すぐに立ち上がって自分の興味あるものを探しにいっちゃうような子供だったからね」

あなたは大学で芸術(ファイン・アート)を学んでいたそうですね。音楽も含めて、広い意味でのアートの世界にあなたは昔からいたのですね。

「そうだね。今は昔ほどファインアートに興味を示さなくなったけどアルバム・カヴァーなんかのヴィジュアルには意見を出したりすることもあるね。」

今のあなたにとって一番大切なもは何?

「幸せであることかな」

今後あなたはどんなアーティストとして活動していきたいですか?

「とにかく新しいものに向かって探究を重ね前進していくことかな。 誰も訪れたことのない所にたどり着くとか、今までに起こってないことを経験することか、まったく新しい視野で物事を見るとかね。 新しいものの見方っていうのは僕の中でとても重要なことなんだ。 一つものも見方によっていろんな形に成り得るからね。そういう風に進化していきたいと思う。」

では最後に今後の予定を教えてください。

「ベースライン抜きのDATに生ベースって感じのライブなんだけど、5月にはイギリス国内のツアーが予定されてるんだ」



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