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TV BROS INTERVIEW

ハードでノーマルなダディの”オレ”激白!?




TV BROS MAY

READ THE ARTICLEドラムン・ベースのドラム・パターンを極端におしすすめた驚愕のブレイクビーツ・サウンドと、ジャズ・フュージョンのテクニックに支えられた生ベースの融合、あるいはアブストラクトな音処理を加えることによって、全く独自の音響空間を作り上げるスクエアプッシャーことトム・ジェンキンソン。何にも属さないその音楽は、エレクトロニック・ミュージック明日を切り拓くか?


『 T V ブロス』5月24日号〜スクエアプッシャー 特集・インタビュー / 取材・文 井上薫

 '96年にリリースしたデビューアルバム以来、騒がれっぱなしのミスター・スクエアプッシャーが、ハイテクロウファイ・ジャズ・フュージョン&プログレッシブ・ドラムン・ベースな待望のセカンド・アルバムリリースを期に、インタビュー嫌い、電話嫌いを克服して我々ジャパニーズの前についに姿を現す!

 スクエアプッシャーってどういう意味だ! というワケで電話インタビューとなったのだが、実際の質疑応答は通訳の方が行いインタビュー自体もかなり限られた時間の中で行われたことを、予めお断りしておきます。




---音楽を始めたきっかけは?

「両親が音楽好きで、物心つく前から様々なレコードを耳にしていた。ほとんどノンストップで。それから自主的にラジオを聴くようになて、音楽的にハマっていった。で、12歳からベースを始めて、ジャズ・ファンクとかロックとか、一通り色々なスタイルのバンドに参加して、15歳頃からエレクトロニク・ミュージックに目覚めたんだ。自分でそういうエレクトロニクスを使って曲を作るようになったのが17歳くらいからで(現在22歳)……まあそんな感じだね」

---なんでベースだったんですか

「さあ、何でだろう。サウンドに魅了されたんじゃないかな。でも子供の頃は実際にベースがどんな音の楽器なのか、レコード聴いても区別がつかなかったし、自分でプレイするようになって初めて聞き分けることができるようになったんだけどね。ベースは最初から独学で学んでいったんだ」

SQUAREPUSHER IN THE ROOM---スクエアプッシャーを始めるまでの経歴をもうちょっと教えてもらいたいんですけど。

「うーん、とにかくベースを始めてから18歳くらいまで、ずっと何かしらのバンドに加わってた。こじんまりした街で育ったから、ミュージシャン同士の交流なんてすぐに広まるし、気がついたらあらゆるプロジェクトに手を貸してて、くっついたり離れたりの繰り返しだった。ロンドンに引っ越してから一人でライブをやるようになって、あるときリチャード・ジェイムスがライブ会場にやって来た。エイフェックス・ツインは前からファンだったから、彼とそこから交流を持つようになって、すぐに彼の家へ遊びに行って、100曲くらいのデモ・テープを渡してきたんだ。で、リフレックスからファースト・アルバムをリリースすることになったワケ。あれは僕とリチャードの共同作業で、そのデモ・テープに入ってたものをまとめてアルバムにしたような感じだった」

---イギリスではあのファーストはどんな反応を得たんですか?

「……あんまり良くなかったね。気に入ってくれたジャーナリストはせいぜい1人か2人くらい。どういう風に解釈していいかわからなかったらしい。まるでおフザケと思われてるかも」

---ところでスクエアプッシャーってどういう意味?

「意味なんてあるワケない!音の響がかっこいいから付けただけ。トム・ジェンキンソンって憶えにくい名前よりキャッチーでいいかなって思って」

---じゃあ新作のタイトル『ハード・ノーマル・ダディ』は?

「これも響が好きな言葉を3つ並べただけで、意味なんてないんだよね。曲に名前を付けること自体意味のあることに思えないから、大体タイトルはそういう無意味な名前にする」

---新作は自分1人で制作したんですか?

「そう、全て最初から最後まで自分だけ。自分以外の連中の音楽観を理解しようとするのは、もうはるか前にあきらめたんだ。他人を理解することなく、自分だけで曲をどんどん作っていった方が有益だって思ったワケ。アイディアに困ったことはないし。アルバムは去年の7月から3カ月間くらいかけてもう曲は完成していたから、暇をみて適当にレコーディングしていった」

---新作でもドラムン・ベース的なアプローチが多いですが、ドラムン・ベースだったらどんなところから影響を受けてる?

「うーん、正直言って、僕はあまりドラムン・ベースを聴いてない。少しは耳にするけど、最近だったら90年代のハードなブレイクビーツもの、ジャングル以前のものがいいね」

---今、機材はどんなものを使ってるんですか?

「たいしたものは使ってないよ。アカイのサンプラーボスのリズム・マシーンDR-660、ローランドのTR-707とか。ベースはフェンダーのジャズベース、アイバニーズのロードスター2、ライブではミュージックマンのスティングレイだね」

---ライブはどういったかたちでやってるんですか?

「DATにラフ・ミックスしたトラックや、DR-660をバックに流しながら、それに合わせてベースを−っていうパターンが多いね。そういえばぼうしばらくやってないな」

---一人でやるスタイル?

「基本的には一人。以前は誰かと一緒にやっていたこともあったけど。バンドやってるいる時、いつも自分がやろうとしていることが実現できなくてフラストレーションを感じていた。最近になってやっと、イメージ通りの音作りが出来るようになってきた。曲の構成面、アレンジ面共に、普通のバンドでは難しすぎて演奏できないものばかり作っていたからだろうね。ライブはまあ、エレクトロニクな音楽を作るようになって、昔からベースを使ってたこともあって。そういうスタイルになった。それが一番やりやすいから」

----あなたの音楽はどういうカテゴリーに入ると思います?

「さああね。それって重要なことなのかな。大体僕の音楽を聴いている人がいるなんて思えないな。音楽を言葉で表わすなんて不可能だよ。僕は自分の音楽を説明したことがないし、するつもりもない」

---日本では充分注目されているんですけど。

「そりゃオカシイね。」

---日本について何か特別なイメージってある?

「リチャード・D・ジェイムスから話は聞くけど、僕は全く知らないんだ。何だかスゴいことになっているみたいだね!カラフルでスピードがすごく速くて、一度に色々なことが起きているって印象がある」
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READ THE ARTICLEシーンから逃げる音楽とトム

『 T V ブロス』5月24日号〜スクエアプッシャー 特集 / 文・佐久間英夫

おもしろい話がある。

スクエアプッシャーがにわかに注目を浴びはじめた頃、みんな日本からなんとか彼に接触してインタビューを執り、来日させようと考えていた。

実際にぼくもそいうった一人なのであるが、トム・ジェンキンソンは一向に捕まらない。なんでも引っ越したとか、電話がないとかで彼の周辺の人物を当たっても、「今トム・ジェンキンソンは捕まらないよ」っていう。困り果てた末に父親に電話してみると、父もトムが捕まらないという。なんだかんだで捜索しているうちに彼は携帯電話を買ったという噂が広まってきた。それで何とかそれを聞きだし、インタビューに応じてくれるということで朝っぱらに彼が寝ている時に電話しインタビューに成功した。

しかしちゃんとインタビューに成功したのはわずかですっぽかされたとこもあるらしい。

まるで必死でトムのことを追いかける我々をもてあそぶかのように、いやまあたまたまこういうことになったんだろうが、スクエアプッシャーは逃げまくっていた。




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ROOTS & INSTRUMENTS

『 T V ブロス』5月24日号〜スクエアプッシャー 特集 / 文・佐久間英夫

ROOTS

HERBIE HANCOCK / SEXTANT(ソニー SRCS - 7047)

HARBIE HANCOCKハービー・ハンコックがファンキーで有名な「ヘッド・ハンターズ」と同年にリリースした超アブストラクト盤。

エレクトロニクスを有機的にアンサンブルに溶け込ませることで、ジャズはおろかフュージョンも飛び超えてしまった、何にも属さない意欲的な実験精神は、スクエアプッシャーにも受け継がれているかも。

WEATHER REPORT / WHEATER REPORT(ソニー SRCS- 9138)

WHEATHER REPORT後にジャコ・パストリアスが加入して、ジャズ界にフュージョン旋風を巻き起こすことになるウェザー・リポートの、記念碑的アルバム。

ジョー・ザヴィヌル、ウェイン・ショーター、そして初代ベーシスト、ミロスラフ・ヴィトゥスによる、フュージョン前夜のアーシー&ファンキーかつアートなテク至上主義。

JACO PASTORIUS / WORD OF MOUTH(WEA WPCR-507)

JACO PASTORIOUS希代のバカテク・ジャズ・ベーシスト、ジャコ・パストリアスを聴いて育った、というかアイドル・ベーシストだったのでは、ということでまず。

ウェザー・リポート脱退後、ハービー・ハンコックやマイケル・ブレッカーらを迎えた驚愕のアブストラクト・フュージョンバンドを率いてのソロ傑作。

INSTRUMENTS

●Fender Jazz Bass

FENDER JAZZ BASSベースと言えばまずコレ、って感じの定番のひとつ。インタビュー中にもあるように、この他に初心者向けと言われるアイバニーズのもの(他人が使ってないからという理由で多用しているらしいが、単に安いからというウワサも)、ライヴではプロ仕様のベース、ミュージックマンのスティングレーを仕様。

●Roland TR-707

ROLAND TR-707ダンス・ミュージックには欠かせない音満載の、ローランド・ドラム・マシーンTRシリーズ。テクノやハウスでは、TRの音のみでリズム・トラックが性格づけられることもしばしばある。それにしても808〜909が一般的だが、何事においても他人と差別化を計っているのか、これしか手に入らなかったのかは不明。

●Boss DR-660

BOSS DR-660こちらもドラム・マシーンで、DR=ドクター・リズム・シリーズのひとつ。小型軽量ながら、多彩な音色を内臓しており、一つのドラム・キットにつき55音色を割り当て、39キット組み立てられる。エフェクターも内臓。持ち運び便利ゆえ、ライヴにもコレごと持ち込んで、リズム・トラックに使用しているらしい。

●AKAI S-950

AKAI S-950サンプリング・マシーンの革命的大ヒット作、

S-1000時代の廉価版サンプラー。S-1000以降のアカイ・サンプラーが16ビット・サンプリングなのに対し、12ビットによるサンプリング方式で、サンプリング周波数を低く落とせるため、独特の荒れた質感の音を出せるということで、ブレイクビーツ派にはいまだに愛好者多い。


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