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AXIS COMPILATION 「THE OTHER DAY」発売記念
ジェフ・ミルズのエレクトロニック・セミナー

JEFF MILLS

ミックスアップ・ナイトの興奮冷めやらぬ翌日5/4日曜日、ジェフ・ミルズによる「エレクトロニック・セミナー」が新宿のロフト・プラスワンにて開催されました。

お題目は「ミニマリズムとは」。

司会進行役はエッセイストの三田格、通訳に最近フロッグネーションという会社を興したKEN=GO→。

このセミナーの開催については、ミックスアップ・ナイト時に配布されたフライヤーのみで、あまり大きな告知をしなかったため多くの人にその情報が伝わらなかったと思いますが(申し訳ありません。会場がすごく狭いものですから)、ジェフの音楽に対して音だけでなく精神的な部分にも興味を持つ人々が集まり、参加者同士の討論も行われるなど、非常に活気のあるものとなりました。



黒のネクタイを締めて颯爽と登場したジェフ。まず、「多くの質問を歓迎しますが、今回の話に関係のないような質問等は受け付けません。例えば『URの再結成はないのか』とかはね。」と、あくまでも真剣にこの会に挑むという姿勢を見せました。

さっそく「ミニマル・テクノ」とはどういうものなのかを説明。
彼によると、「ミニマルとは、無の中にある生なんだ。同じリズムやフレーズが反復することによって、聴く人にそれを覚えさせることを用意にする。そしてそれが安心感に繋がるんだよ。」とのこと。

そして彼が「ミニマル・テクノ」を制作するに至った経緯。
面白かったのは、「ある日ホテルの部屋で貰ったCDを聴いてたんだけど、それがとってもひどい内容のものでね。それでも聴いていたら、曲と曲の間の空白がすごく良いものであることに気付いたんだよ!それからボクはミニマル・テクノを創ることにしたんだ。」これには会場も大爆笑。

参加者も積極的に質問してきます。
「テクノという自由なもの対して、ミニマルにこだわることによってジェフさんはその世界を狭いものにしてるとは思いませんか?」という問いに対して、「それは正しいかもしれないし、間違っているかもしれない。ただボクはボクなりに自分の世界を見つけたんだ。もちろんそれを誰かに強制する気はないよ。テクノのようなほんの短い歴史しか持たない音楽に、今の段階でその枠を決めることなんてできないと思う。ロックだってジミ・ヘンドリックスが登場するまでものすごい時間を必要としたんだからね。」と、納得のいく説明をしてくれました。

これを発端に参加者同士が討議し合う局面になり、ヒートアップする中ジェフも「こういうのはいいね!キミはミニマルをどう思う?」と司会の三田氏に振り、「え?オレ?」なんて一瞬戸惑うという場面も。

「1小節単位の繰り返しをミニマルとしていますが、例えば3分間のお気に入りのポップ・ソングを繰り返し聴くこともミニマルとは言えないんでしょうか?」という質問には、「確かにそうだね。究極的には同じことになると思うよ。ただやっぱりその曲の持つインパクトとか質感は違うと思うな。もしこの中にテクノを創るプロデューサーがいたら、マドンナとかのポップ・ソングも聴いてみることをお薦めするよ。自分の創るものとの違いを確かめる上でとっても重要なことだと思うからね。」と、これまた積極的な答えを返してくれます。

実際彼はかつてラジオ局の仕事等でポップ・ソングを含めたいろんな音楽に携わってきたのだけれど、「テクノに巡り会って本当に良かった。ボクはこれからも一生テクノをやり続けていくことになると思う。」と、力強い言葉を聞かせてくれました。

その後に青山のマニアック・ラブでのプレイを控えていたため、2時間ほどでこのセミナーは終了することになりましたが、予想以上に盛り上がったことにジェフ本人もご満悦のよう。
「こういう講義は初めての試みだったけど、本当にうまくいったよ。機会があったらまたやりたいね!」

「テクノの哲学者」と呼ばれるジェフ・ミルズの生の声を聞くことのできた、実りのあるセミナーだったのでした。

1997 (C) Sony Music Entertainment (Japan) Inc.

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