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SYSTEM 7

ライブ・レポート

2/7(金)、新宿リキッドルームにおいてシステム 7の来日公演が開催。
さらに名曲E2E4を生み、デトロイトを中心とした多くのアーティストからテクノのオリジネーターとして賞賛されているマニュエル・ゴッチングと彼が率いるアシュ・ラ・テンプル、花電車という3つのライブに加え、ケン・イシイがDJプレイをするという、プログレッシブ好きにはたまらない超豪華な顔ぶれとなった。
それぞれのアーティストに様々な思いを込めた人々が集って、フロアーを程よく埋め尽くし、いわゆる普通のクラブ・イベントとは一風変わったおもしろい雰囲気の夜である。
ステージ上でスティーブ・ヒレッジとミケット・ジロディーのシルエットが浮かびあがったのは、ケン・イシイのDJの後、およそ3時頃だっただろうか。
そしてそれは、1年程前に発表されたアルバム「パワー・オブ・セブン」の1曲め、"INTERSTATE"で幕を開けた。
ノイの曲をサンプリングしたこの曲は、アシュ・ラ・テンプルや往年のゴング等しか知らない人々にも優しいものだったに違いない。
そこにはスティーブ・ヒレッジの人柄が出ていたようにも感じ取れる。

思えば前回の来日はON-AIRの最終イベントでのオービタル、アレックス・パターソンという組み合わせでのプレイだった。
その時人気としてはオーブタルに押され気味だったものの、彼等の発していた音そのものは、オービタルのそれよりもクオリティーが高かったように記憶している。
ギター1本を携え、あらゆる音をコントロールしていた彼の姿は、懐古的でもあり未来的でもあった。
今回のライブでもやはりギターは使用するものの、全体的にはコンソールに向かって作業している時間が多かったようだ。
よりテクノ・ユニットな方法論を取り入れてきているようである。
横ではミケットがシンセサイザーをモジュレートしている。
盛り上がってくると年齢を全く感じさせないセクシーな振りで踊ってみせる。
彼女の存在は、曲作りの上でもパフォーマンスの上でも、非常に重要な意味を持っている。

全体的に割と新しめな曲を演奏していたが、驚いたのは"ALFA WAVE"の"PLASTIKMAN REMIX"を披露したこと。
TB-303が徐々にモジュレートしていくあの曲をそのままに、そこに彼等なりの上モノを被せたプレイは、いかなるものも吸収しスタイルにこだわらない彼等の雑食性、あるいはバレアリック魂を感じることが出来た。
クラブ・トラックとしても大ヒットした曲だけに、フロアーの方も多いに盛り上がっていたようだ。

アンコールもなく静かに幕を閉じたステージだったが、前回の来日公演以上に充実し、プログレッシブの過去と未来を模索するかのようなこのイベントのラストを飾るにふさわしいライブだったと言えよう。


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