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Derrick May Interview!



急遽プロモーションのために来日したデリック・メイに2月24日、インタビューを行いました。 1990年以降全くアーチストとしての活動を行わず、DJとして世界中を飛び回っていた彼が遂に発表する新作について、そしてもちろん話題の「ミックス・アップVol.5」についても聞いてみました。



まず、今回のミックス・アップVol.5について聞きたいんですが、このアルバムは比較的新しい曲から「ダンス」や「フレンチ・キッス」のようなクラシック・トラックまでがすごくバランス良くミックスされてるように思ったんですが。

そう、DJをやる時もそうだけど、新しいものばかりに片寄らずそこにクラシック・トラックも入れ、そうやって自身のスタイルを表現しているんだ。 僕は決してテクノだけだとか、一つのスタイルに止まるような人間じゃないからね。

聴いててすごく出来のいいアメリカのラジオ番組のテープを聴いてるような感じも受けたんだけど、以前デトロイトでラジオ番組をやってたことがあるんですって?

うん、1988年から1990年までの間、WJLBというデトロイトで当時イチバンの人気ステーションで「メイデイ・ミックス」という1時間番組をやってた。みんな僕のことを、今もなんだけど「メイデイ」って呼んでたからね。 すごく自分にとって貴重な経験だった。 すごくタフな作業で、毎週やってた当時ですら1時間の番組のためにまるまる1日を費やしていた。 その頃はこんなに忙しくなる前だったからそれが可能だったんだけど、それでも毎回あらゆるスタイルのトラックを一つにミックスしてゆく「メイデイ・ミックス」の作業は本当に困難なものだった。 今回のミックス・アップVol.5では、この「メイデイ・ミックス」をやったんだ。 

と言うことは機材も? ハードディスク・レコーディングなんかはやっていなんですか?

すべてテープ編集でやってるよ。 当時のラジオ番組と同じやり方。 もちろんこれをターンテーブルだけでやれって言われても不可能だけどね。 UKやヨーロッパのアーチストやDJたちはそういう新しいやり方に走るけど、そこにソウルを入れることを忘れているよ。 DJスタイルにしても、アッパーなトラックばかりを1、2時間だけ回すだけだろ? DJのプレイというのには上り坂や下り坂、ストーリーが必要だし音を旅しているような感じが大切なんだ。 もちろんすべてのDJが退屈な音をプレイしているとは言わないけど。

けど、そこにはあなたやデトロイトの音に影響を受けたという人が少なくないですよ。 

そう言ってるやつのほとんどは実際デトロイトに来たことすらないよ。 少なくとも「デトロイトに影響を受けた」と言うためには一度は実際にデトロイトを訪れてみなければダメだ。 そうしないうちはいくら影響を受けたと言っても、それはほんの一部に過ぎないね。

レコーディングにはどれくらいの時間を? 

4日まるまるかかったよ。 何しろラジオ番組やんなくなって、もう7年たってんだから。 (レコーディングの)最初の頃は、「メイデイ・ミックス」の頃の自分がココあたり(と言って彼は両手で両膝あたりをさした)までしかきてなくて、終る頃には全身「メイデイ・ミックス」になってたけどね。 マジに大変なんだから、この仕事は。 (笑)

次に遂に発表されるあなた自身の作品について聞きたいんですけど?

Ah!  「攻殻機動隊」のサントラからの曲のことだね。 「To Be Or Not To Be」という曲なんだけど、あれはダンス・トラックじゃないね。

と言うとリスニング系ってこと?

う〜ん、そうだな、「実験的」音楽だな。 すごくファンキーだけど、すごくクレイジーでもある。

レコーディングはいつごろ行われたんですか?

去年の10月頃だったね。

アルバムは作ってるところですか?

ああ、マイペースだけどね。

特に締切とかはないんですか?

ないよ、僕に関してはね。

「俺が法だ!」だって?(笑)

ハハ、「デリック・メイに締切はない」ってところかな。

けど、自分ではいつごろ出そうとかいう考えはないんですか?

今年中には出そうと思っているけどね。

ボーカル・トラックは入る予定ですか?

それも面白いね。 まだ決めてはいないけど、僕はDJとして、アーチストとして、広く視野を持つことを心がけているから実験的なトラックやダンサブルなものなど、いろんな側面を持ったものになると思うよ。

誰かとコラボレートしたりは?

例えば?

ホアン・アトキンスとか。

そうだね、デトロイトの人間とのコラボレートはあるかもね。

他のアーチストのリミックスとかの予定はないですか?

リミックスはもうやらない。 自分の一部を切り売りするようなことはやりたくないんだ。

最近の新しいアーチストで注目しているひとはいます?

そうだなぁ、トニー・ドレイクかな? 彼はダンス・トラックをやるミュージシャンじゃなくて、エレクトリック・ジャズのミュージシャンなんだけど、トランスマットから1枚「テクスチャー」というアルバムを発表している。 あと、名前はド忘れしてて思い出せないけど、アセッション・レーベルから出しているイギリスのミュージシャンにもいいのがいたな。

自分の中で、今後の方向性についての考えはあります?

方向性はすべてへ向かっている。 すべてのものを吸収しているし、すべての方向性のものをプレイし、クリエイトしてゆくんだ。



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