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MTV STATION -ID Contest'96 Special
アンプナイト
MTVが実施した映像コンテスト、「STATION-ID Contest '96」グランプリ作品を始めとする受賞作品がついに発表。そしてDJ田中フミヤとMTVスタッフによる音楽と映像のコラボレート・ショー。

2.13(THU)
AMP NIGHT@ ON AIR EAST
MTVと田中フミヤの組み合わせ!??、DJとして彼が繰り出すシリアス&ハードなミニマルサウンドを知る者なら誰もがアメリカ的ミュージックビジネスの権化、MTVと彼との組み合わせには少しばかり違和感を感じるだろう。AMP NIGHTは、そのMTVで4月から始まるテクノをフィーチャーした新番組の告知イベントとして2月13日に渋谷ON AIR EASTで行われたのだ。

同会場でのMTV STATION-IDコンテスト授賞式を終えた後、正面ステージの照明が付き、UTOPIA/JEFF MILLSの浮遊感漂うシンセ音とともに、DJブース内のフミヤの姿が浮かび上がる。JEFF MILLSのMIX-UP Vol.3と同じ曲でのスタートに固唾を飲んでステージを見つめる観衆は、やはり彼の登場を心待ちにしていたようだ。

突然、四つ打ちのキックが鳴り響きフロアから歓声が沸き上がる。今日のフミヤは出だしからガンガンに飛ばしまくる。ADVENTのBAD BOYやSTEVE.BICKNELLの曲など、いわゆる「フミヤ系ミニマルトラック」が目白押しなのだ。目一杯にハードな選曲の上に、鋭いカットインや二枚がけ、JEFF MILLSばりに小刻みな縦フェーダーの動きでマスター音量を一瞬ミュートしたりなど、トリックプレイの連発と来れば、フロアはいやがうえにも一気にヒートアップ。

中盤はDJ FUNKなどシカゴハウス的なサウンドへと展開。彼としては珍しくCDJも使っていたようなのだが、ループのタイミングをミスしたせいか、針が飛んだようなループになることもあった。しかし慌てるそぶりも全く見せず、片手を腰に片手をあごにあててポーズを作り、逆に観衆を沸かせるところなど、エンターテイナーとしての成熟ぶりというか、落ち着きをうかがわせる場面もあった。

終盤へ向けて再びハードなミニマルサウンド色が強まって行き、In from the night/LUKE SLATERから、彼自身がMIX-UP Vol.4の曲解説にて「真にダンスフロアの為のTRACK」とコメントしたi9/JEFF MILLSに繋いでDJ終了。まさしくMTVへの挨拶代わりと言わんばかりの、フミヤらしい実に男らしく力強いDJingだった。

わずか1時間ばかりのセット時間ということもあり、物足りなく思った人もいたと思うが、実はこのイベント、前半部分でのMTV STATION-IDコンテスト授賞式に藤井フミヤがコンテスト審査員として登場していたということもあって、おそらく半分以上の来場者がテクノやクラブといったものにほとんど触れたことがないような雰囲気であった。そんな中で彼が1時間とはいえ、いつも通りのプレイを、いや1時間だからこそ、というほどに内容の濃いハードなプレイを繰り広げたことの意義は決して小さくは無いだろう。

クラブでの本当の「田中フミヤ」の姿を知る者には物足りなくとも、初めて彼のDJを聴いた人の心を掴むには、おそらく充分であろうほどの覇気が感じ取れるプレイだったと思う。そして、おそらくフミヤとしては、わずか1時間では、まだまだ足りないという諸君には、そのままその足でAMP NIGHT当日もいつも通りに行われた、彼の6時間にわたるロングプレイが楽しめることで有名な「DISTORTION」@YELLOW(毎月第二木曜)への来場を期待するといった気持なのだろう。

What is VJ?
さて今回のAMP NIGHTはステージ両脇に大型のプロジェクタースクリーンを配置し、ステージ上でもDJブースを取り囲むように大小のモニタが幾つも配置され、かってないほどに映像と音楽との融合をコンセプトにしたイベントでもあった。田中フミヤのDJingに合わせ1時間にわたって、VJを務めたのは西郡勲という青年である。彼は昨年のMTV STATION-IDコンテストにおいてグランプリを獲得し、その後も海外のビデオコンクールにおいて彼の作品は高い評価を獲得している。

このイベントに限らず、テクノ/クラブシーンの中で今や欠かすことの出来ない存在となっている割には、今まであまり取り上げられることの無かったVJという役割について少しでも知識を得ようと、まだイベント終了直後の彼をインタビューしてみた。

Interview
Q:まず今回、やってみてどうでしたか?
A:VJやるのは一年振りぐらいだったんですけど、コンピューターを使ってのエフェクト等、色々やれたと思います。
Q:最近はクラブに来てる人の間でも、DJがどんな風にMIXしたりしてるかっていう知識はかなり豊富になってきてると思うんですけど、VJが何をやってるかについては、あまり知らない人が多いと思うんで、具体的にどうやってVJしてるか教えてもらえますか?
A:基本的にDJがターンテーブルを2台使うのと同じように、素材のテープを入れたデッキが2台あってそれをスイッチして切り替えるという感じです。VJには「曲」がないのでDJより複雑かもしれないですね。「曲」というまとまりがなくてそれこそ「素材」を組み合わせて使うという点ではジェフミルズ並みですね。
Q:DJが田中フミヤということは意識されましたか?
A:はい、そうですね。ミニマルということでBPMが130から140ぐらいの素材をかなり多く用意しました。
Q:やはりBPMというのは意識するものですか?
A:はい。ものすごく意識します。音っていうのが抽象的なのに比べ、映像っていうのは具体的なんで、そこらへんがムズカシイですね。
Q:今日はステージ上のかなり目立つ位置でVJされてたんですが、今まではどんな場所でVJされてました?
A:それこそPAの横とか、まあ、そんな感じの目立たない所ですね。
Q: 「DJが主でVJは従」っていう風には思ってますか?
A:いや、VJは単なる脇役ではなくてDJとは対等な関係だと思ってやっています。
Q: VJ中にお客とのコール&レスポンスっていうか、「今、客を盛り上げてるぜー!」みたいな手応えを感じることはありますか?
A:ありますね。DJが曲を選ぶのと同じようにひとつの「イメージ」を選んでます。 それを具体化してるって感じですかね。
Q: 今日はありがとうございました。

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